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第33章:M.E.L.L.Y.

誰も動けなかった。


ソリスの遺体の上に立つ『それ』は、他の怪物たちとは全く異なっていた。怪物テラーは計画など立てない。怪物は待つことなどしない。彼らはただ、最も近くにある温かいものにぶつかり、何も残らなくなるまでぶつかり続けるだけの存在だ。

だが、こいつは違った。この戦闘の全行程において、こいつはずっと後方に控え、鎖に繋がれたまま戦況を観察し、全員が疲弊しきるこの瞬間を『待って』いたのだ。


M.E.L.L.Y. の皮膚は、真紅の筋肉繊維と黒い鉄のような外殻が格子状に絡み合ってできていた。その巨躯には無数の穴が空いており、冷たい空気の中で微かに蒸気を吹き出している。ドレッドヘアのような触手が大きく広がった。手首にボルトで打ち付けられていた長方形の分厚い鎖は、今やすっかり千切れ、その先端を地面に引きずりながら自由に揺れていた。


クザイ(Kuzai)が最初に動いた――緑と赤の残像。蓄積されたすべてのエネルギーを、たった一発の蹴りに乗せて解き放つ。


その一撃を、怪物の手首の『枷』が受け止めた。

カンッ。

平坦で、ひどく高密度の金属音が響いた。傷一つ、へこみ一つついていない。


「そいつから離れろ!」コージの声が引きつった。


残りの守護者ガーディアンたちが前へ押し出し、強引にグループと怪物の間に割って入った。シェウは心臓を早鐘のように打たせながら、その混沌越しに M.E.L.L.Y. の動きを追った。

あらゆる攻撃が、全く同じ反応で弾き返されていた――怪物が手首の枷を盾のように掲げ、打撃を吸収し、ただそれを受け止める。何度攻撃しても、全く同じ。


まるで、何かを『待っている』かのように。


コージが手元のロッドを最大長まで展開した――重量五百キロに達する黒鉄の柱。それを大きく振りかぶる。


「コージ、ダメだ!」


遅すぎた。全力のフルスイングが直撃する。

そして、その強固な『枷』が、粉々に砕け散った。


爆発デトネーションは、瞬時に起きた。

凄まじい突風が外側へ向かって爆発的に放射され、完璧な円を描いて周囲の草を薙ぎ倒し、大量の土砂を空高く吹き飛ばした。

突風の中で、M.E.L.L.Y. がゆっくりとその全高まで身を起こす。吹き荒れる空気の中で、ドレッドヘアの触手が狂ったようにのたうち回った。


その顔に刻まれた、あの文字の『笑み』が、さらに深く歪む。


そして、その瞳がモトを捉えた。


その目の中で、何かが動いた。飢えではない。それは明確な『認識』だった。


モトは足を踏みとどまった。彼の脈拍は今すぐ逃げろと警鐘を鳴らし続けている。


M.E.L.L.Y. が身を沈めた。瞬きをする間に、それはすでに空中にいた。その片腕が、本来の腕の長さをはるかに超えて、ゴムのように異常な距離まで伸びてくる。

コージがその軌道上にロッドを投げ入れた――黒鉄の柱が真っ二つにへし折れる。打撃の軌道は逸れたが、止まりはしなかった。


その後に続いたのは、戦闘というよりも『解体作業』だった。

拘束から完全に解放された M.E.L.L.Y. の四肢は、あらゆる方向へ鞭のようにしなり、伸びた。そのリーチは全く予測不可能であり、着弾する一つ一つの打撃は、まるで高所から巨岩を落とされたかのような威力を伴っていた。

守護者たちが一人、また一人と倒れていく。コージが片膝をつき、血を吐き出した。クザイは視界の外まで吹き飛ばされ、彼が地面に叩きつけられる鈍い音だけが遠くから聞こえてきた。


地面に叩きつけられたシェウの悲鳴が、途中で途切れる。


モトは周囲を見渡した。彼一人だけが立っていた。


彼は、自分の手から包帯を引き剥がした。

その下にある傷跡は生々しく、醜く、深く炭化していた。掌から煙が滲み出す。それは本来あるべき量よりも、はるかに濃く、黒かった。


M.E.L.L.Y. の巨大な影が彼を覆い尽くす。


彼はそれを圧縮し始めた――煙を、熱を。発火の限界点ギリギリまで押し込んでいく。腕が小刻みに震えた。肉体の構造そのものを破壊するような激痛が走る。


「やめて」背後の地面のどこかで、シェウの声がした。


「これしか方法がねえんだ」彼はその腕を挙げた。「どうせ、この手はもう使い物にならねえんだからな」


M.E.L.L.Y. の腕が、限界まで引き絞られたバネのように後方へコイル状に巻き上がる。


その時、背後から伸びてきた手が、モトの手首を強く握りしめた。


「その干しビルトンみたいな腕はしまっとけ、坊主」


アンドザニ(Andzani)が、彼の横を通り抜けて前へ出た。


彼は戦場の惨状を見渡した――倒れたコージ、吹き飛ばされたクザイ、泥にまみれたシェウ、散り散りになった守護者たち。

ここまでずっと感情を読み取りやすかった彼の表情が、どこかひどく冷たく、極めて『具体的』な殺意を帯びたものへと変わった。


「……高くつくぞ、この代償は」


空気が弾けた。彼の体に取り付けられたすべての工具や刃物が、明確な殺意の延長線上にあるものへと変貌する。

M.E.L.L.Y. が両腕を鞭のように大きく振り回し、大地を抉りながら迫る。アンドザニは低く沈み込み、刃を黒い外殻の隙間――赤い筋肉の露出部――へと正確に滑り込ませた。刃が深々と突き刺さる。

M.E.L.L.Y. の悲鳴は、金属を削り合わせるような、ギザギザとした異質な音だった。直後、怪物の黒い外殻がトラバサミのように勢いよく閉じ、突き刺さった武器を粉々に噛み砕いた。


アンドザニの手は、すでに次の武器へと伸びていた。彼は小型の爆薬を M.E.L.L.Y. の顔面に貼り付け、カウンターの打撃をあえてその身で受け止め――彼の脇腹で何かの骨が折れる鈍い音がした――そして、爆薬を起爆デトネートさせた。

煙が晴れると、M.E.L.L.Y. が咆哮を上げながらその中から飛び出してきた。


鞭のようにしなる腕がアンドザニの肋骨を捉える。彼は地面に叩きつけられたが、即座に跳ね起きた。ショルダーストラップのバックルを外し、四本のナイフを解放する。両手に二本ずつ。

M.E.L.L.Y. は両腕を高速回転させ、空気を切り裂く巨大な渦を作り出した。アンドザニは前の二本のナイフを投擲した――それらは渦の障壁に触れた瞬間に粉砕されたが、ほんのコンマ五秒の隙を作った。彼はその騒音の真下を低く滑り込み、再び赤い肉へナイフを突き立てる。

今度は、外殻が閉じるよりも早く、刃を引き抜いた。


彼はリズムを掴んだ。

露出した肉を打ち、外殻が閉じる前に引き抜き、相手が反撃してくる前に移動する。何度も、何度も。M.E.L.L.Y. がその動きに補正をかけようとするよりも速く。

怪物の攻撃範囲が徐々に鈍り始めた。腕が伸びるまでの時間が長くなる。咆哮の響きが、先ほどよりも弱弱しくなっていく。


そして、最後の一太刀。アンドザニが怪物を地面へと縫い留めた。


荒い息遣いを除いて、戦場は完全に静まり返った。


彼は脇腹を押さえながら、ゆっくりと背筋を伸ばした。


「こいつは、ただの野良の群れじゃない」と彼が言った。


コージが片目を腫れ上がらせたまま、土の上に血を吐き出した。「なら、一体誰がこんな真似を?」


その戦場からはるか遠く。ゼンの防壁を越え、傷だらけの谷を越え、空気が淀み空が赤錆色に染まる国境を越えた先――ゲヘンの薄暗い部屋の中で。

上半身裸の男が、赤い髪を顔に垂らしたまま座っていた。彼がそこにいるだけで、その質量が何の努力もなく部屋全体を圧迫していた。


彼は傍らに立つ男たちを見上げた。


「どうやら、連中の防衛力は『軍隊』と呼べるほどのものではなかったようだな」


その顔に浮かんだ笑みは、すでに『すべてを決定し終えた者』のそれだった。


「次の標的ストップは決まった。パシ(Pasi)を片付けた後で、な」

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