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10-4 軟皮と硬い言葉

黑稻相癸です。第四節。


亜倫のこれまでの行いが、少しずつ見えてきました。


鉄港を建てた。北方の事情も知っている。吉布斯とは旧友。七賢には顔が利く。


この男、一体どれだけのことを、どれだけの時間をかけてやってきたんでしょうか。

 亜倫が行くと言えば、本当に行く。


 宿に装備を取りに戻らず、計画も話し合わず、あたしたちの準備ができているかさえ聞かずに——そのまま南へ歩き出した。


 あたしは小走りで後に続いた。札卡が黙ってついてきた、槍を背に斜め掛けにして。凡斯と艾琳が並んで最後を歩く。帕夫の籠があたしの腰に下がって、四匹の子どもがぎゅうぎゅうに固まっている、外の世界はまだ何も知らない。


あなたはいつも先に飛び出してから考えるんだから。


 心の中でぼやいた。でも足は遅らせなかった。


 少し歩いたところで、艾琳の声が後ろから聞こえてきた。


「亜倫」


 振り返らないが、耳をわずかに向けた——それが彼の「聞いている」サインだ。


「なぜ彼らを助けるの?」


 艾琳の口調は世間話ではなかった。声がいつもより少し低くなって、あのはねっかえりな好奇心が薄れて、その分——真剣さが滲んでいた。


「つまり、ここをよく知っているのが分かる。何度か来たことがある、という程度のよく知り方じゃなくて」


 亜倫はすぐに答えなかった。


 歩き続けた。物干し繩がびっしり張られた狭い路地を抜けて、地べたに座って草編みの籠を売る老婦人を避けて。


 しばらくしてから、口を開いた。


「ここを建てる手伝いをしたから」


 あたしの足が一瞬止まった。


 彼の口調があまりにも平たかった。


 平たいこと、まるで——「何軒か家を直す手伝いをした」みたいな言い方だった。


 でもその言葉があたしの頭の中でゆっくりと広がっていくにつれ、体がほんの少し硬直した。


 建てた?


 鉄港を彼が建てた?


 頭の中で、議事堂でのことを素早く振り返った——吉布斯が彼を「何十年も見ていなかった古い部品」と呼んでいたこと、バラクが片目で確かめるように彼を見ていたこと、吉布斯が「下水道の配置はまだ覚えているか」と聞いていたこと——あの問いの裏の言葉は「地図を見たことがあるか」ではなく「当時自分が引いた設計図を覚えているか」だった。


 彼はここに来たことがあるんじゃない。この城市の誕生に最初から携わっていたんだ。


「初代の七賢と——」艾琳の声に一瞬の震えが混じった。


「ああ、一緒に建てた」亜倫が遮った、その話題にあまり留まりたくないみたいに。


「こういう和やかな雰囲気が好きだから。それで手伝った」


 それだけだ。五百万人の城市を建てることが、隣人のために垣根を直すのとたいして変わらないような言い方で。


 目を丸くしたくなった。でもこらえた。


「じゃあなぜ七賢の中にあなたがいないの?」艾琳が聞き続けた。


「断った」


「断った?」


「自分の責任はそれだけじゃないから」


責任。


 その言葉を使ったことが引っかかった。


 以前に彼が言っていた——この世界を修繕する旅をしていると。その頃は、人を治療したり、屋根を直したり、嵐の中で人を救ったりすることだと思っていた。


 でも今、あたしが理解していた「修繕」がいかに小さかったか、突然気づいた。


彼は城市を一つ建てた。


 通りがかりに手を貸したんじゃない。基礎から、下水道の設計から、七つの種族が初めて同じ円卓を囲んだあの場から——彼はその全てに関わっていた。


 それから去った。


 この城市を残して、その全ての温もりと、和やかさと、噴水と灯火を残して——身を翻して次の荒野に踏み込み、次の場所を修繕しに行った。


 まるでそれだけのことが、立ち止まる理由にはならないかのように。


 急に胸の中がざわついた。怒りではない。


 ただ、胸の中に何かが詰まったような感じ。


 誰かが傷口に薬草を貼り続けているのを見る感じ。でもその傷口は実は自分自身のもので、振り返りもせずに他人の傷を治して回っている。


「でも、なぜそこまで執着して他人を助けに行くの?」艾琳の声がまた聞こえた。


 亜倫の肩がわずかにこわばったのに気づいた。


 ごくわずかに。


 ずっと見ていなければ、見間違いかと思っただろう。


 彼は答えなかった。


 「答えるのが面倒」という種類の沈黙ではない。——言葉にしようとしているが、どうしてもまとまらない、という種類の沈黙だ。


 艾琳は待たなかった。


「もしかして……あなたの永生は呪いじゃないんじゃないか?」


 声がひどく軽かった。路地に吹く風にほとんど散らされそうなほど。


「あなたの最初の願いは、本当に叶ったんじゃないか?」


 亜倫が足を止めた。


 速度が落ちたのではなく、止まった。背後から誰かに呼び止められたみたいに。


 彼の背中を見た。顔は見えない。でも手が見えた——ポケットの中で握り拳になって、それからゆっくりと開いていった。


「大予言家が言ったから」


 艾琳が唐突に話し続けた、口調が変わった。もう試しているのではなく、ある言葉を復唱していた。


「『あの子はまだ自分のものでもない責任を果たしているのか』って」


 亜倫の背がわずかに震えるのが見えた。


「あの時はあたしたちもよく分からなかった」艾琳が続けた、語速を落として。


「大予言家はそれ以上話を続けるつもりがないみたいだったから」


 沈黙。


 長い沈黙。


自分のものでもない責任?


 突然、ずっと昔のことを思い出した。


 ある雨季に、部落の薬草園が嵐に流された。あたしは一人で林に走り込んで、丸二日雨に打たれながら、見つけられる薬草を全部掘り出して植え直した。手の平が擦り剥けて、爪の中に泥が詰まって、膝が泥の中で跪き続けてあざになった。


 植え終わった日、老祖母が見て言った:「この子は、大人のやることを心配しなくていいんだよ」


 丸二日、彼女とは口を利かなかった。


 彼女が間違っていたからではない。


 ただ——手がもう擦り剥けていたから。


 ……


 百年。


 彼は百年間、それをやり続けてきた。


 口を開いた。


 何か一つ聞こうとしていた。


 でも言葉が喉まで来て、また飲み込んだ。


 彼の背中を見ていたら、急に聞けなくなった。


 凡斯がそばで動かないでいたが、目が言っていた、言葉を消化しようとしていると。札卡は何も分かっていないみたいな顔だった——でも耳が頭に押し付けられていた、周りの空気がおかしいと感じた時の反応だ。


 亜倫が再び足を踏み出した。


 口調は変わらない。歩き方も乱れていない。外から見れば、何もなかった。


 でもやっぱり読めなかった。


 以前の沈黙はある程度読み取れた——苦さ、自嘲、過去への何かの受け入れや受け入れられなさ。でも今回の沈黙は白紙の壁だ。何もない。あるいは——全てがある、でも全部が底の方に押し込められていた。


 誰も何も言わなかった。


 あたしたちは長い間、静かに歩いた。


 ……


 さらに半刻ほど歩いたか。


 変化は突然ではなかった。


 ある角を曲がったら急に変わった、というわけではない。


 水温がじわじわ上がるみたいで——気づいた時には、もう熱くなっていた。


 最初に変わったのは音だった。


 昨日の「みんなが同時に出す混沌とした楽しい雑音」という城市の底の音が、じわじわと薄くなっていた。


 通りの人が減り、

 歩く速さが増し、

 話す声が小さくなった。


 店のいくつかは扉を半分閉めていた、今日開けるかどうか決めかねているみたいに。


 それから視線が来た。


 昨日の大通りでは、通行人があたしたちを見るのは「買い物の邪魔になるか」を確かめるためだった。


 でもここでは、視線が変わっていた。


 数秒余分に見てくる人がいた——好奇心ではない。


 警戒だ。特にあたしと札卡の方を見る時。


 あたしは獣人で。

 札卡は半獣人で。


 鉄港の大通りではなんでもない。でもここでは——


 空気の匂いが変わっていた。


 物理的な匂いだけじゃなかった——確かに風の中に何か微弱な、少しおかしな匂いが混じっているのは分かる、何かがゆっくり酸っぱくなっていくような。


 もっと多くは、雰囲気の匂いだった。


 張り詰めた、抑え込まれた、何か見えないものに覆われているような。


「ここの空気がおかしい」あたしは低く言った。


 凡斯がわずかに頷いた。手がいつの間にか弓袋に触れていた。


 亜倫は何も言わなかったが、歩みを緩めた。観察している。


 そこへ——


「お前だ!」


 声があたしの後ろで炸裂した。


 掠れた男の声で、突き刺すような感情を帯びていた。


 振り返ると——


 一人の人間の男が道の向こうからあたしに向かって歩いてきていた。


 中背で、

 服がくちゃくちゃで、

 顔に何日も剃っていない無精髭と深い隈があった。


 目が血走るほど赤かった——いや、何日もまともに眠れていない目だ。


 指がまっすぐあたしを指していた。


「お前を見たことがない——外から来た奴らがやったんだろう!」


 頭がガンと鳴った。


「な……何?」


 声がかすれた、思っていたよりずっと小さく。体の最初の反応は戦闘ではなかった、半歩下がることだった。


 子どもの頃に一度、部落の干し肉の棚が野犬に倒された。


 なぜかは分からないが、大人たちはあたしのせいだと思った。


 一日中、飯を食わせてもらえない罰を受けた。


 片隅にしゃがんで、腹が鳴り続けた。


 頭の中にひと言しかなかった。


あたしじゃないのに。


 その感覚が突然戻ってきた。


 胸が詰まった。


 鼻が痛くなった。


 何か言おうとした。


 でも喉が詰まったみたいに。


「あたしは——」


「お前だ!」


 男がまた一歩近づいた。声が震えていたが、怖いからではなく——堪えきれないところまで来ている震えだった。


「うちの娘がまだ熱を出しているんだ!」


「三日も!」


 声が一拍断ち切れた。


「薬を買う金もなくなった——」


 彼の右手が拳になった。指の節が白くなっている。


 あたしの耳が頭に押し付けられた。尻尾が本能的に太ももに張り付いた。


「人間……」


 札卡の声があたしの後ろから届いた。


 低かった。


 石が地底でゆっくり割れる音みたいに。


 彼が前に一歩出た。


 槍の影が男の足元に落ちた。


 男の足が止まった——怖いからではなく、初めて札卡を見たからだ。自分より二回り大きな半獣人が、槍を手に、無表情で立っている。


 周りの通りで、いくつかの窓が静かに細く開いた。


 低い声でひそひそ話す人がいた。


 堂々と戸口に出てきた人もいた。


「落ち着いてください」


 亜倫の歩みは急ぎでも遅くもなかった。


 男との距離は近すぎず、脅威にはならない。


 でも離れすぎず——相手が動いた瞬間に止められる距離だ。


「あたしたちは昨日鉄港に着いたばかりです」


「これを調べに来たんです」


「調べる?」


 男の唇が歪んだ。


「ふざけるな。何人来て、何人去った?お前たちの身元が本物かどうか、誰に分かる?」


 隣の家から顔を出す住民がどんどん増えていった。


 老婆が一人、戸口の奥に立って、手巾で口を押さえ、目があたしたちと男の間を行き来していた。


 若い矮人の荷担ぎが足を止めて、腕を組んで壁にもたれながら見物していた。


「ハハ」


 亜倫が笑った。


 嗤いではなく、苦さを少し帯びた、場を収める笑い声だった。


「では」口調が急に軽くなった。


「あなたにも、あたしたちが毒を入れたという証拠はないはずですが」


 男が口を開いた。


 閉じた。


 また開いた。


 亜倫は反論する間を与えなかった。


「娘さんが病気だというのは、辛い」


 声は大きくない。


 でも一言一言が揺れなかった。


「でもあなたは今、来たばかりの旅人を路上で指差して、犯人だと言っている」


「明日、あなたの隣人があなたをそうやって指差したら?」


 男がはっとした。


 亜倫が彼を見た。


「毒を入れた人間は、あなたたちが互いを疑うことを望んでいる。あなたが騒げば騒ぐほど、喜ぶ」


 男の拳が緩んだ。


 説得されたわけではなく——言い返せなくなっただけだ。目が一層赤くなって、唇が数度震えてから、何かを言いかけてまた飲み込んだ。


 あたしは彼を見た。


娘が熱を出している。三日も。


 あの地精の子どもの話と寸分違わない。


「俺は——」男の声が割れた。一歩下がり、また一歩下がった。


「あんたたちは……ちゃんと誰かが管理しているのか……」


 最後のひと言は、あたしたちに問いかけてはいなかった。空気に——この城市に、知らない賢者たちに、目の前に来ないはずの責任者全員に問いかけていた。


 彼が背を向けて、来た方角へ戻っていった。足が速く、でも肩が震えていた。


 巷の入口に消えるまで見送った。


 手の平が汗ばんでいた——あたしがずっと握り締めていたから。


 艾琳がそばで、亜倫のあの一言に引き出された笑いがかすかに口元にかかっていた——でももう笑えないでいた。目が男の背中を追ったまま、長い間離れなかった。


 札卡が元の位置に戻った。何も言わなかった。でも尻尾が脚を一度一度叩いていた——不満なサインだ。


 あの男への不満じゃない。


 こういう状況への不満だった。


「行こう」亜倫が言った。


 深く息を吸った。鼻腔に男の匂いが残っていた——汗、廉価な石鹸(昨日のあの地精の子とそっくりだ)、それから酸っぱい、腐敗に近い疲労の匂い。


 歩き出そうとした——


 ドン。


 音が南から届いた。


 音だけではなかった——気流だ。微弱だが、足下の石畳が一度揺れるほどには十分だった。帕夫が籠の中で悲鳴を上げて、四匹の幼獣が転げ回り始めた。


 艾琳の笑顔が消えた。


「何——」


 ドン。ドン。


 さらに二度。最初より重く。近く。


 目を上げて天際線を見た——南の空に、何かが昇り始めていた。


 煙じゃない。炎だ。槌が鉄砧を打つリズムで——一度、一度、一度——橙紅色の火柱が地平線の端から噴き上がって、あの小さな空を灼く暖色に染め上げていた。


 港の方向だ。


「何かが起きた」


 亜倫はもう走っていた。


 振り返りさえしなかった。声がまだ風の中に漂っているうちに、彼の体は十数歩先へ飛び出していた。


 考える間もなかった——両足が追いかけていた。

お読みいただきありがとうございます。


身に覚えのない責めを受けるのって、本当に辛い。


小さい頃に似たような経験をした方も、きっといると思います。あたしもあります。何も言えなくて、ただ胸が詰まって——それだけで十分しんどい。


でもそれはさておき。


爆発が起きました。


港の方角から火柱が上がって、亜倫はもう走っています。次回は港の現場へ向かいます。どうぞ期待していてください。


——次回、第五節「鉄鯨と碧の潮」

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