6-2 松脂と血腥
黑稻相癸です。第二節。
あれ、何か起きてますよ。
早く来て。
あたしたちは森葉林の外縁をさらに二日歩いた。高度が下がるにつれて、息が詰まるような松の香りはさらに濃くなり、足元の腐植土はさらに柔らかく湿った。本来なら生命に満ち溢れているはずのこの場所に、今朝から異様な雰囲気が霧のように纏わりついていた。
静かすぎる。
高原の死の静寂ではない。抑圧された恐慌だ。
「止まれ」先頭のザカが突然しゃがみ、湿った土に片手をつけた。豹の耳が神経質に後ろへ扁平になった。
「おかしい……静かすぎる」
ふさふさした大きな尾を持つ**松果鼠**が慌てて足元を掠めた。いつものように立ち止まってこちらを観察することもなく、命がけで山の方へ逃げていく。背後に天敵よりも恐ろしい何かがいるかのように。続いて**林雲雀**の群れが低く羽ばたいて掠め飛んだ。鳴き声一つ出さずに。
「どうした、ザカ?」あたしは声を潜め、無意識に腰の薬包へ手を伸ばした。そこにあるのは人を救うものばかりで、殺すものは何もないが。
「この匂い……くっ」ザカが歯の間から言葉を絞り出した。鼻翼が激しく動き、その目は石像ガーゴイルと相対した時のように鋭くなったが、そこに気づきにくい、微かな……怯えが混じっていた。
「血の匂いだ。濃い。木が焦げた匂いと混じってる。野獣の食事ではない、……人間だ」
亜倫は何も言わなかった。ただ黙って背架のビール樽の縄を締め直し、あたしたちに手で合図した——*身を低くして、俺についてこい。*
あたしたちは大路を外れ、幽霊のように鬱蒼とした冷杉の林を縫って進んだ。あの匂いがどんどん強くなる。焦げた匂い、鉄錆の匂い、言葉にできない悪臭が混ざり合い、胃が波打った。あたしの髭が自然と震え出す。これは極度の不安を感じる時の本能的な反応だ。
最後の層の、棘だらけの濃い低木を掻き分けると、目の前の光景に思わず冷たい息を吸い込んだ。
それは少し幅の広い林間の商道だった。今、頂葉杉の丸太で頑丈に作られた荷馬車が路肩に横転していた。車輪の一つはすでに外されて地面に転がっている。散らばった荷物——南方から運んできたらしい布地と陶器——が乱暴に泥の中に踏み込まれていた。
馬車のそばに、三具の遺体が俯せに倒れていた。背中に羽矢が刺さっている。鮮血が松葉を赤く染めていた。
きちんとした服を着た中年の商人が短剣を手に固く握り、背後の二人のおびえた子供と赤ん坊を抱いた女性を庇っていた。大腿に矢が突き刺さっており、荷箱にもたれてかろうじて倒れずにいた。
彼らを取り囲んでいるのは、七、八人の雑然とした革鎧の男たちだった。高原の探険者のような信念は欠片もなく、それぞれの顔に、家畜を見るような、見るだけで吐き気を催す表情が浮かんでいた。
「来るな……来るんじゃない!」商人が短剣を振りかざし、恐怖から声が裏返った。
「荷物は全部持っていけ! 銭袋は車座の底にある! 俺たちを行かせてくれ!」
顔に凶悪な刀傷のある男——明らかに頭目だ——が足先で地面の一具をのろのろと蹴り、鼻で笑った。
「荷物? こんなぼろ布と割れた泥がいくらになる?」刀傷の男が逆鉤の匕首を弄びながら、商人を越えた視線を、ぬめぬめと背後の人たちの上に止めた。
「今の世の中で一番高く売れるのは**労働力**だ」
「頭、あの二人の小僧は見た目がしっかりしてる。東の鉱山に売っても酒がたっぷり買える」隣の痩せた猿のような盗賊が手を擦り合わせ、その賊眼が女性の体をうろついた。
「あの女は……へへ、兄弟たちもずっと葷を食ってないからな」
「お前たちこの畜生が!」商人が絶望して怒鳴った。
「畜生? 笑わせるな」刀傷の男が唾を吐いた。
「大災害の後、生き残る力のない奴が原罪だ。恨むなら運の悪さを恨め。今日俺の稼ぎに引っかかったのが運の尽きだ」
彼は手を振り、天気の話でもするような気楽さで言った。
「さっさとしろ。男は殺せ、女と子供は縛れ。傷つけるな、傷物は値が下がる」
「はい、頭!」
あの剥き出しの悪意、同族を荷物と玩具として見るその目つき、閉ざされた紅樹林の集落では見たこともないものだった。頭の中でじんと爆発が起き、抑えきれない怒りが頭頂まで突き上がり、爪が無意識に構えられた。
「やめろ!」
体が脳より先動き、本能的に飛び出そうとした。
だが一本の手があたしの肩を死にもの狂いに押さえた。その手はとても力強く、鉄の鉗子のように微動だにしなかった。
「亜倫! 放して!」あたしは振り向いて睨み、声を殺して怒鳴った。
「あいつらが何をしてるか見えないの? あそこに子供がいるんだよ!」
亜倫の表情は恐ろしいほど平静だった。あたしを見ず、あの深い目がただ冷ややかに前方の戦場と、戦場周囲の樹林を見渡していた。
「見えている」声に一分の波もなかった。
「でも今飛び出したら、お前はもう一つの**荷物**を奴らに送るだけだ」
「何?」
「ザカ、三時方向のあの老いた銀針杉の樹冠、それから九時方向の低木の後ろ」亜倫が静かに言った。地図の座標を確認するような口調だった。
ザカが聞いて、瞳孔が鋭く収縮した。亜倫が指した方角を二秒見つめ、すぐに低い罵り声を出した。
「くそっ……弓手が二人いる。魚釣りをしてやがる」
あたしは呆然とした。冷や汗が瞬時に背中を浸した。一方的に見えたこの対峙は、最初から精巧に設えられた舞台だったのだ。あの盗賊たちがすぐに動かなかったのは、援軍の存在を炙り出すため、あるいはあたしたちのような通りがかりを誘い出すためだったのだ。
「この雑魚どもが……」ザカが折れた槍を握る手の甲に青筋が浮いた。呼吸が粗く、乱れていた。その目に、かつて見たことのない苦しみと憎しみが輝いていた。
「あいつらはいつもこうだ……まず人を絶体絶命に追い詰めて、それから猫が鼠を弄ぶようにゆっくり嬲り殺す……」
「じゃあ今どうする? このまま見てるの?」あたしは絶望した商人が二人の盗賊に蹴り倒されるのを見ながら、気が急いた。
「いや」
亜倫はあたしを押さえた手を離した。ゆっくりと腰からドワーフに贈られた精鋼の匕首を抜き、逆手に握った。
「救う」
言葉が落ちるなり、影が猟豹のように走り出た。包囲圏ではなく、左側の弓手が潜む低木へ向かって。
「ザカ、右の木の上はお前だ!」
「グオォ——!」ザカが長く抑えていた咆哮を放った。半獣人の爆発力で一瞬に十数メートルを跨ぎ、手の折れた槍を投擲武器として樹冠へ思い切り叩きつけた。
木の上から水声が聞こえ、人影が落ちてきた。
場面は即座に乱れた。
「伏兵だ! やれ!」刀傷の男が素早く反応し、すぐに怒鳴った。
「珂拉、薬の粉!」亜倫の声が左から聞こえた。鈍い呻きと重いものが倒れる音を伴って——潜んでいた弓手が片付いた。
あたしはもう迷わなかった。腰の袋の**苦根草**と**催眠蕈**の混合粉末を掴み、風向きに狙いをつけ、後ろ脚の筋肉を絞って、放たれた矢のように戦場の中央へ飛び出した。
*この粉さえ撒けば、みんなを救える!*
だが、あたしが何も顧みず踏み出した次の一歩で、足底の感触がおかしかった。
柔らかい松葉の土ではない。身の毛のよだつ、空洞の感触だった。
パキリ。
脆い枝の構造が足の下で折れた。世界の重力が一瞬消えたようだった。
本能があたしの瞳孔を針先ほどに収縮させ、無重力の刹那、全身の毛が逆立った。時間がこの瞬間に無限に引き延ばされたようで、あたしは空中で懸命に腰をひねり、掴まるものを探した。だが坑の底に見えたものは——
数十本の削り尖らせた鉄杉の杭が、密に上向きに立ち並んでいた。歯を並べた巨大な牙の口のように。杭の先端は黒褐色の乾いた血痕を帯びていた。あたしのような間抜けたちが残した痕跡だ。
*死ぬ。*
この思考が氷錐のように脳髄に刺さった。あの杭があたしの腹を貫き、内臓を引き裂く音まで想像できた。
恐怖が喉を締め上げ、悲鳴さえ肺から出てこなかった。
「うっ——!」
鼻先がもう少しで坑底の腐敗臭を嗅ぐというその瞬間、腰に肋骨が折れんばかりの激痛が走った。
落ち葉の下に仕掛けてあった太い麻縄が突然締まり、あたしを丸ごと死の縁から強引に引き止め、滑稽な人形のように宙吊りにした。
「ゲホッ……ゲホゲホ!」
痛みで体を丸めた。激しい慣性で内臓が押し潰されて痛い。驚きで心拍が戻らないまま顔を上げると、ちょうど一双の革靴を履いた足が目に入った。さらに上は——高みからあたしを見下ろす刀傷の顔だった。
手に縄の端を持ち、ゆっくりと手首に巻き付けながら、猫が鼠を捕らえたような嘲りの笑みを浮かべていた。
「へへ、やっぱりもう一匹いた」舌を舐め回し、充血した貪欲な目をあたしに固定した。
「この毛並み……まさか稀少な猫獣人か? これは儲かった」
周囲の茂みからざわめきが起き、混乱してように見えた盗賊たちが素早く包囲を絞った。明るく光る刀先と矢じりが全部あたしたちに向いた。
あたしは宙吊りのまま、四肢が氷のように冷たく、血が血管の中で逆流するようだった。
最初から、あの**隙**はあたしたちのためのものだったのだ。自分が天から降った救いの星だと思っていたが、末世の地獄で転げ回ったこのような悪狼たちの目には、あたしたちはただ別の自分から網に飛び込んだ新鮮な肉に過ぎなかった。
あたしは刀傷の男が、まな板の上の魚を品定めするときのような目であたしを見ているのを見て、心が底の見えない深淵へと完全に沈んだ。
*終わった。全部終わった。*
お読みいただきありがとうございます。
……どうしよう。
本当に、どうしよう。
——次回、第三節「鉄籠」




