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19-4 悪いもの

題名を見ただけで、嫌な予感がしますよね?


いったい何が悪いものなのか、見てみましょう。

怪我をしたあの商人が、大げさに騒ぎすぎただけじゃないのか。


そんなことを考えたのは、四日目だった。


五日目だったかもしれない。


長く馬車に乗っていると、もう数えるのも面倒になる。


とにかく。


あの森を出てから。


何も起きなかった。


熊もいない。


狼の群れもいない。


商人が名前も言えなかったものも、いない。


鹿さえ減っていた。


あるのは一本の道。


ときどき畑。


小さな村がいくつか。


それから、どう座っても落ち着かない馬車。


御者は言った。


次の宿場はもう遠くない。


うまく行けば。


今日中に着く。


幌の中も、珍しく静かだった。


エイリン(エイリン)はどこで買ったのかもわからない本を抱え、数頁でうとうとし始める。


ヴァンス(ヴァンス)は矢を整えていた。


ザカ(ザカ)は隅にもたれ、何かを噛んでいる。


アーロン(アーロン)は帽子で顔を隠していた。


寝ているのかどうかもわからない。


パフ(パフ)たちは言うまでもない。


もう籠の中で、ひとかたまりになっていた。


暇なのは、どうやらあたしだけだ。


幌をめくった。


外の景色は、もう見飽きている。


そのとき。


馬車が遅くなった。


あたしたちだけじゃない。


前の馬車も一台ずつ止まっていく。


「皆さん!」


御者が前から呼んだ。


「荷をまとめてください」


「もうすぐです」


エイリン(エイリン)はすぐ目を覚ました。


ザカ(ザカ)も口の中のものを飲み込む。


寝ていたわけじゃなかったらしい。


……


宿場は、思ったより少し大きかった。


十数軒の建物が、道に沿ってばらばらに並んでいる。


真ん中には馬小屋。


倉庫。


馬車を何台も入れられる大きな屋根。


道も行き来する車輪に踏まれ、ずいぶん幅広い。


なのに。


馬車がない。


馬車を降りてから。


あたしはしばらく立っていた。


どこがおかしいのか、やっとわかった。


静かすぎる。


馬のいななきがない。


荷を運ぶ音もない。


飯の匂いさえ、ほとんどしない。


あるのは屋根を越える風だけだ。


斜めに掛かった木の看板が、壁に軽くぶつかっている。


こつ。


こつ。


御者も、いつものように荷を下ろし始めなかった。


何度か周りを見回す。


表情が、だんだん険しくなっていく。


「俺はここまでにします」


そう言うと。


水の補給さえせず、馬がまだ走れることを確かめてから馬車を返した。


あたしは、彼が去っていくのを見た。


「ちょっと急ぎすぎじゃないか?」


誰も答えない。


たぶん、皆そう思っていた。


普通の宿場なら。


今ごろ人だらけのはずだ。


馬を替える。


荷を運ぶ。


食べる。


次の馬車を探す。


とにかく。


今みたいであるはずがない。


「まず馬車宿へ行こう」


アーロン(アーロン)が言った。


道を尋ねることもなく、そのまま歩き出す。


前にも来たことがあるらしい。


あたしたちは、空っぽの家をいくつか抜けてついていった。


一軒は扉が開いたままになっている。


中の机も椅子も、すべて運び出されていた。


さらに進んで。


ようやく人を見つける。


アーロン(アーロン)は一軒の店の扉を押した。


中にいたのは、店主が一人。


壁際で飲み物を口にしている男が二人。


あたしたちが入ると、二人は一度だけこちらを見た。


それから、また顔を伏せる。


アーロン(アーロン)は帳場へ行き、銀貨を一枚置いた。


「ここで何があった?」


店主は銀貨を見て、受け取る。


「あんたたちも、早く出たほうがいい」


引き出しへ銀貨を放り込んだ。


「この辺りは、もう駄目になる」


あたしは眉をひそめた。


駄目になる?


アーロン(アーロン)は、意味がわかったみたいだった。


「どこからだ?」


「最初は北だけだった」


店主は杯を拭いている。


「今は下りてきた」


「何が?」


彼は少し止まった。


「わからない」


それから、あたしたちを見た。


「知ってるやつは、もう話せない」


店の中が、いっそう静かになる。


あの怪我をした商人が、気にしすぎだったのかもしれないと思っていた。


もう、そうとも言い切れない。


ザカ(ザカ)が聞いた。


「赤肌熊(あかはだぐま)か?」


店主は首を振った。


「熊も逃げてる」


ザカ(ザカ)は帳場にもたれていた。


その言葉を聞くと、ゆっくり背を伸ばした。


あれが逃げるほど。


いったい何を避けている?


店主は続けなかった。


代わりに、あたしたちへ行き先を聞く。


「風息谷(ふうそくこく)」


アーロン(アーロン)が言った。


店主は顔を上げた。


初めて、あたしたちをまじめに見回す。


それから笑った。


「頭のいかれた一団か」


「どうして?」


「あそこには、もう誰もいない」


胸が少し沈んだ。


「皆、死んだのか?」


店主はあたしを見る。


こんなふうに聞かれるとは、思わなかったらしい。


「違う」


また少し笑った。


「出ていったって意味だ」


あたしは息を吐いた。


どうしてだかわからない。


あそこの人たちを、一人も知らないのに。


店主は言う。


一年ほど前、ある小隊が風息谷(ふうそくこく)へ戻った。


あのころは、まだ誰も近づかなかった。


疫病も、本当には消えていなかった。


でも、その一団は中へ入り。


残っていた者を一人ずつ見つけ出した。


それから何とか病を抑えた。


最後には、歩ける者を皆連れていった。


その話は今では、遠くまで伝わっている。


先頭に立った男を、英雄と呼び始めた者もいる。


店主はそこまで言うと、首を振った。


こういう話は、もう聞き飽きたのだろう。


でもあたしには、すぐ一人の顔が浮かんだ。


レノ(レノ)。


彼は本当に戻った。


そして、やり遂げた。


あたしは思わず、少し笑った。


アーロン(アーロン)は、それがレノ(レノ)かどうか聞かなかった。


ただ聞く。


「どこへ行った?」


店主は知らない。


西へ向かったという者もいる。


近くのいくつかの場所へ、散ったという者もいる。


とにかく。


風息谷(ふうそくこく)は空になった。


「人を探すなら西へ行け」


店主が言った。


「北へは行くな」


アーロン(アーロン)はうなずいた。


それから馬車のことを聞く。


今さら、あちらへ走る御者なんていない。


買うことはできる。


だが、乗せてはくれない。


店主が値を言った。


アーロン(アーロン)は、すぐ金貨を何枚か出す。


店主は見てから、三枚だけ取った。


残り二枚を押し戻す。


「気前がよすぎる」


外を指した。


右の馬小屋には、まだ馬が一頭いる。


馬車はその後ろだ。


どちらも持っていける。


ほとんど空になった店を見回す。


「お前はどうする?」


店主は杯を拭き続けた。


「もうすぐだ」


「売れるものを売って」


「俺も出る」


……


本当に、そのまま出発した。


休みもしない。


「ここには、もう何もない」


アーロン(アーロン)が馬を引き出した。


少し痩せている。


でも脚には、まだ力がある。


馬車のほうは、ずっと普通だった。


幌すらない。


ザカ(ザカ)は横で、長いこと見ていた。


前の馬車を懐かしんでいるのかもしれない。


あたしたちは荷を載せた。


出るとき、あたしはもう一度だけ振り返る。


宿場は、やはり静かだった。


さっきの木の看板だけが。


こつ。


こつ。


店主も去ったあと、ここに何が残るのだろう。


……


夕方。


道は森を離れた。


目の前は、少しずつ広い草原になる。


夕日は低く垂れていた。


風は気持ちいい。


幌がないせいで、髪がずっと顔にかかる。


屋根のない馬車も、そう悪くないかもしれないと思い始めた。


ザカ(ザカ)が急に言うまでは。


「静かすぎる」


あたしは振り返る。


エイリン(エイリン)も顔を上げた。


「おかしいのか?」


ザカ(ザカ)は答えない。


ただ草原を見ている。


あたしも耳を澄ました。


そこで気づく。


本当に静かすぎる。


虫がいない。


鳥もいない。


風が草を抜ける。


さあ、と鳴る。


ほかには。


何もない。


音を出すものが、みんな隠れてしまったみたいだった。


アーロン(アーロン)は前で手綱を握っていた。


振り返らない。


「武器を取れ」


声は低い。


ヴァンス(ヴァンス)はもう弓を持っていた。


ザカ(ザカ)の長槍も手にある。


あたしは腰の短刀へ手を伸ばした。


エイリン(エイリン)は荷を下ろす。


次の瞬間。


地面が揺れた。


かすかに。


馬の蹄かと思った。


もう一度。


今度はもっと重い。


馬も気づいた。


耳を強く後ろへ伏せ、落ち着きをなくす。


アーロン(アーロン)は手綱を引き絞った。


「降りろ」


言葉が終わった途端。


草地が弾けた。


最初に見えたのは、口だけだった。


丸い。


巨大な吸盤みたいな口。


何重もの尖った歯が、いちばん奥へ縮んでいる。


まっすぐ、あたしたちへ突っ込んできた。


ザカ(ザカ)はもう跳んでいる。


長槍を振り上げた。


がん!


槍の柄が、そいつの頭の横を強く叩く。


石板にぶつけたような音だった。


怪物は大きくそれた。


ザカ(ザカ)はさらに蹴りを入れ、ようやく馬車の脇から追い出した。


アーロン(アーロン)が手綱を鳴らす。


「行け!」


あたしたちへの声じゃない。


馬車が反対側へ一気に走った。


怯えた馬を、草地の真ん中から離す。


そこでようやく、そいつの全体が見えた。


大きい。


ザカ(ザカ)二人分くらい。


なのに体は、変に薄い。


大きな灰褐色の甲殻が、幾重にも重なっている。


乾いた岩を背に貼りつけたみたいだった。


丸い口の脇には、黒い目玉が並んでいる。


一つ。


また一つ。


さらに一つ。


全部が、違うほうを向いて回っていた。


胃の中がひっくり返りそうになる。


何なんだ、こいつ。


六本の長い脚が地面を支えた。


次の瞬間。


消えた。


消えたんじゃない。


速すぎた。


草地をほとんど擦るように走っていく。


狙いはエイリン(エイリン)だった。


「ᚾᚢᛚ—ᚡᛖᚪ ᚾ’ᚡᚪᚱ!」


風が激しく弾けた。


怪物は見えない壁へぶつかったみたいに、丸ごとひっくり返る。


草の切れ端が空へ飛んだ。


ザカ(ザカ)は待たない。


そいつが落ちるより早く、突っ込んだ。


跳ぶ。


長槍を、胴の真ん中へ突き立てた。


怪物は立ち上がらない。


六本の脚が、急に上へ反った。


関節の内側に隠れていた棘が、全部開く。


その上に、ザカ(ザカ)がいる。


まずい。


「ᛋᛦᛚ ᚾ’ᚡᚪᛖᛚ!」


横から風がぶつかった。


ザカ(ザカ)の体が吹き飛ぶ。


棘をかすめ、反対側へ落ちた。


二回転がって、ようやく止まる。


あたしの心臓まで、一緒に飛び出すかと思った。


ヴァンス(ヴァンス)は、もう弓を引き直している。


怪物も、また体を支えた。


さっきザカ(ザカ)がつけたのは、背甲のひびだけだ。


貫けていない。


矢が飛んだ。


きん!


そのまま弾かれる。


そいつは止まった。


並んだ黒い目玉が、せわしなく回る。


ザカ(ザカ)を見る。


ヴァンス(ヴァンス)を見る。


エイリン(エイリン)を見る。


最後に。


いくつかが、あたしへ向いた。


あたしは左へ一歩ずれた。


目玉がついてくる。


……


もう一歩。


今度は、体ごとこっちを向いた。


「腹だ!」


遠くからアーロン(アーロン)の声が飛ぶ。


怪物を見る。


次にザカ(ザカ)を見る。


彼はまだ、立ち上がったばかりだ。


ヴァンス(ヴァンス)は反対側。


エイリン(エイリン)の手には、また風が集まり始めている。


でも、こいつは速すぎる。


動き出せば、矢は当てにくい。


魔法も同じだ。


なら。


あたしは背を向けて走った。


「コラ(コラ)!」


誰が叫んだのかわからない。


振り返らない。


後ろが一瞬、静かになる。


次に。


どん。


地面が揺れた。


追ってきた。


よし。


いや。


ぜんぜんよくない。


必死で走る。


風が耳へ流れ込む。


草の葉が何度も脚を叩いた。


後ろの揺れは、どんどん重くなる。


それに速くなる。


速すぎる。


おかしい。


あんなに大きいのに、どうしてこんなに走れる?


さらに速くする。


脚はもう、地面を踏んでいる感じがしない。


それでも後ろは近づいてくる。


一本の矢が、あたしの脇をかすめた。


ぱん!


怪物の殻に当たる。


駄目だ。


エイリン(エイリン)の風も掃いた。


今度は、体を少し揺らしただけ。


近すぎる。


もっと強くすれば。


あたしまで飛ぶ。


後悔し始めた。


後ろから、急に臭くて乾いた匂いが来る。


次の瞬間。


かちかちかち。


歯がぶつかる音。


すぐ後ろだ。


尻尾が強く縮んだ。


もう、噛まれそうだ。


「伏せろ!」


アーロン(アーロン)だ。


危うく本当にそうするところだった。


駄目だ。


今伏せたら。


そのまま食われる。


また地面が揺れた。


もっと近い。


歯が尻尾の先をかすめた。


待て。


こいつがあたしを噛むなら、跳びかかるはずだ。


短刀を握りしめた。


一歩。


二歩。


三歩目。


背後の揺れが、急に消えた。


今だ!


あたしは前へ低く沈んだ。


草すれすれを、ほとんど滑る。


同時に、ひっくり返った。


空が急に暗くなる。


怪物が、あたしの上を丸ごと飛び越えた。


六本の脚が、全部地面から離れている。


硬い背甲も見えない。


目の前にあるのは。


丸く膨らんだ、薄い腹だった。


甲はない。


下の太く黒い筋まで見える。


近すぎて、狙う必要もない。


手を上げた。


刃を当てる。


引く。


ぶしゃっ。


硬い殻の邪魔が、まるでない。


濡れた皮を切るみたいだった。


緑の液が、いきなり噴き出した。


顔。


胸。


髪。


全部。


臭いが一気に鼻へ入る。


その場で吐きそうになった。


怪物はあたしの上を通り過ぎ。


どん!


草地へ重く落ちた。


さらに何度か前へ転がる。


あたしはすぐ体を返して起きた。


短刀は、まだ握っている。


そいつも動いていた。


六本の脚で、狂ったように地面を掻く。


また立とうとしている。


一度。


二度。


最後に。


体全体が崩れた。


動かない。


草原がまた静かになる。


残っているのは、あたしの息だけだ。


それから、額から鼻へゆっくり垂れてくる緑の液。


手でひと拭いした。


……


気持ち悪い。


ザカ(ザカ)が最初に近づいた。


長槍は、まだ怪物へ向けている。


ヴァンス(ヴァンス)も弓を下ろさない。


エイリン(エイリン)は少し離れて立ち、変な顔であたしを見ていた。


今のあたしは、たぶんひどい見た目だ。


アーロン(アーロン)も戻ってくる。


死骸を一度見ただけだった。


「ザイディエク(ザイディエク)だ」


あたしは顔を向けた。


「は?」


ザカ(ザカ)も聞いたことがないらしい。


アーロン(アーロン)はしゃがみ込んだ。


触らない。


「北の砂漠のやつだ」


そして立った。


「行くぞ」


エイリン(エイリン)はまだ死骸を見ていた。


「でも……」


「こいつらは、単独じゃ狩らない」


……


もう知りたくなかった。


ザカ(ザカ)はすでに背を向けている。


ヴァンス(ヴァンス)も弓を収めた。


あたしは顔のものを拭く余裕もなく、あとを走った。


……


いちばん近い林は、遠くなかった。


あたしたちは十分奥まで入り、ようやく止まる。


追ってくるものはいない。


少なくとも、今は。


あたしが最初にしたのは、水珠を取り出すことだった。


「頼む」


反応がない。


「一度だけでいい」


それでも、ない。


緑の粘液が、耳の横からゆっくり垂れていた。


匂う。


酸っぱい。


臭い。


腐った苦根草(にがねそう)みたいな匂いもする。


頭がおかしくなりそうだ。


「こうするの」


エイリン(エイリン)が横に立つ。


両手を合わせ、少し目を閉じた。


あたしは彼女を見た。


水珠を見る。


本当に?


もういい。


あたしも手を合わせた。


「頼む」


ばしゃあ!


大きな水の塊が、頭のてっぺんから落ちてきた。


あたしは全身、固まった。


水が毛を伝って、ずっと下へ流れていく。


よし。


粘液は落ちた。


あたしも、びしょ濡れになった。


エイリン(エイリン)は、ひどく楽しそうに笑っている。


あたしは彼女を睨んだ。


「絶対、こうしないと駄目なのか?」


「どうするの?」


まだ合わせたままの手を上げる。


「これだ」


「ああ」


エイリン(エイリン)は少し考えた。


「いらないよ」


……


あたしはゆっくり、手を下ろした。


「じゃあ、さっきどうしてやれって言った?」


「あたしは使わないから」


何でもないことみたいに言う。


「でも、初めてだったでしょ」


あとで片づけてやる。


今は濡れすぎている。


ザカ(ザカ)は、あたしたちをまるで気にしていなかった。


まだアーロン(アーロン)を見ている。


「さっきの」


アーロン(アーロン)は、何を聞くのかわかっていた。


「ザイディエク(ザイディエク)」


「北にいる?」


「砂漠だ」


ザカ(ザカ)は眉を寄せる。


「群れか?」


「ああ」


ヴァンス(ヴァンス)が北を見る。


「そっちは、もう行けない」


アーロン(アーロン)は答えなかった。


しばらくしてから、言う。


「ここにいるはずがない」


誰も続けなかった。


風が木の梢を抜ける。


夕方の冷たさを運んでくる。


毛先から、まだ水が落ちていた。


急に、もっと寒くなる。


数日前。


鹿が南へ行った。


赤肌熊(あかはだぐま)も南へ行った。


商人は東へ逃げた。


今は。


北の砂漠の怪物まで、ここにいる。


けれど、何が起きている?


誰にもわからない。


アーロン(アーロン)にもわからない。


今回は、彼も推測しなかった。


ただ剣を、横へ置く。


「今夜は俺が見張る」


エイリン(エイリン)は、まだ何か聞きたそうだった。


ヴァンス(ヴァンス)が一度見る。


最後には、聞かなかった。


ザカ(ザカ)は木を見つけて座り、長槍を調べ始めた。


さっき棘に串刺しにされかけたのが、自分じゃなかったみたいに。


あたしはアーロン(アーロン)のそばまで行き、座った。


「話したくないのか?」


彼は林の外を見ている。


「違う」


少し待った。


その先はない。


ああ。


本当に、わからないんだ。


なら、話すこともない。


あたしは尻尾を抱えた。


まだ水が落ちている。


「寝ろ」


アーロン(アーロン)が言った。


あたしは彼を見た。


「乾かしてから寝る」


彼はそこで初めて、あたしを見た。


それから少し笑う。


「さっきは、よくやった」


あたしは尻尾を火のそばへ寄せた。


「言われなくてもわかってる」


アーロン(アーロン)は、もう何も言わなかった。


遠くの草原は、すっかり暗い。


風が何度も林へ吹き込んでくる。


何も追っては来なかった。


少なくとも、今夜は。

本当に危ないところでした。


あと少しで、食べられてしまうところでした。


皆さんには、ザイディエクの姿をぜひ見てほしいと思っています。


ただ、今は絵を学ぶ時間がないため、申し訳ありませんが、頭の中のイメージを先にAIで生成してみました。


挿絵(By みてみん)


もちろん、それほど大きなものではありません。


いつか絵が描けるようになったら、小説の挿絵も少しずつ追加していきたいです。


皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。


どうぞ第五節「黄海の果て」をお楽しみに。

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