17-16 天災の証人
続きを進めましょう。
ティナもまた、永生を得ていました。
では、彼女は今どこにいるのでしょうか?
あの小さな黒いものは、いったいどこまで知っているのでしょう。
アーロンは何も言わなかった。
あたしは、彼がすぐ反論すると思っていた。
反論するべきだった。
だって、その言葉はあまりにおかしい。
君たちは、二人とも永生を得た。
もしティナも永生を得たのなら、どうして彼女はここにいないの?
もしティナが死んでいないのなら、アーロンのこの百年以上は何だったの?
松明が岩の隙間で燃えている。
小さな黒球から出てくるハーンの声は、ハーン本人よりずっと静かに聞こえた。
「君たちは、どちらも応えを得た」
小さな黒球は少し止まった。
「あのとき、彼女も死んだように見えた」
アーロンが目を上げる。
「でも君は死ななかった」
その黒い小球は考えているみたいだった。
目もない。
顔もない。
それなのに、今とても一生懸命なのだと、なぜか思った。
「君が得たのは、たぶん死ねないこと」
それは触手を一本伸ばし、アーロンを指した。
また少し止まる。
「彼女は、生きられないこと」
洞穴の中が数息のあいだ静まった。
今度はエイリンでさえ、すぐには続かなかった。
彼女は眉を寄せる。
「え?」
よかった。
安心した。
わからないのは、あたしだけじゃない。
アーロンは小さな黒球を見ていた。
「つまり、俺は永遠に死ねず、彼女は永遠に生きられないということか?」
彼の声は平らだった。
でも、平らすぎた。
模様がなくなるまで磨かれた石みたいに。
「それに何の意味がある?」
小さな黒球がかすかに揺れた。
「違う」
「彼女はただ、生きられない」
「死んだわけじゃない」
エイリンの目が少しずつ輝き、それからすぐ困惑に押し戻された。
「待って、生きられないけど死んでない?」
小さな黒球は黙った。
もっといい言い方を探しているらしかった。
長く探した。
最後に、それでもハーンの声で言った。
「とにかく、そういうこと」
「僕が知っているのは多くない」
ハーンは横に座ったまま、音もなく口を開閉した。
たぶん今、自分の声でそれを罵りたくて仕方ないのだと思う。
残念ながら貸し出し中だ。
アーロンはまだその言葉を飲み込もうとしていた。
彼の視線は火光のそばへ落ち、ずっと遠い場所を見ているみたいだった。
エイリンはとうとう待てなくなった。
彼女はとっくに聞きたかったのだ。
「どうして永生がその二つに分かれたの?」
「知らない」
「じゃあティナは今どこにいるの?」
「知らない」
「あなたはどうしてここにいるの?」
「知らない」
エイリンの表情がゆっくり面白いことになった。
「知らない?」
この「知らない」は、前の二つより彼女を不快にさせたらしい。
小さな黒球は触手を伸ばし、足元の石面に触れた。
「意識を持ったときから、僕はもうこの遺器の中にいた」
「遺器?」
エイリンがすぐ背筋を伸ばした。
ヴァンスもそれを見る。
あたしは彼らを見た。
それから足元の石を見る。
「この洞窟のこと?」
「違う」
小さな黒球の触手が、空中にあまり丸くない輪を描いた。
「君たちは今も、その中にいる」
「この世界そのもの」
あたしは口を開けた。
声は出なかった。
情報が一気に頭へ落ちてくる。
頭がよくなりそうな気がした。
頭のほうは、あまり乗り気じゃなかった。
でもエイリンは、もう次の質問へ移っていた。
「じゃあ当時の大災難も、願いのせい?」
小さな黒球はすぐ答えた。
「違う」
一言。
アーロンがようやく顔を上げた。
あたしやほかのみんなは、その災難を経験していない。
あたしたちが知っているのは、あとに残った結果だけ。
破壊。
死。
アーロンの不死。
それから、どれだけの場所が今の姿へ変えられたのかわからないこと。
でもアーロンにとって、それは物語ではない。
「違う?」彼が聞いた。
小さな黒球は言った。
「違う」
「あのとき、君たちが応えられたあと、別のものが入り込んできたのを感じた」
触手が少し縮まった。
「それから、大災難が起きた」
洞穴の空気が少し冷えたようだった。
願いではない。
応えでもない。
そのあとに、まだ別のものがあった。
アーロンの声は低い。
「何だ」
「知らない」
今回、その「知らない」に文句を言う人はいなかった。
あまりにもきっぱりしていたからだ。
その記憶そのものに、ひとつ穴が開いているみたいに。
エイリンはすぐ次を聞いた。
「ここは災難の影響を受けなかったの?」
「違う」
小さな黒球は言った。
「ここは全部壊れた」
ロイが洞穴を見回した。
「でもここ、今も群峰だろ」
「そう」
「でも違う」
小さな黒球はゆっくり言った。
「昔の姿ではない」
「遺器は自分で修復する」
エイリンはもう筆を取り出していた。
ものすごい速さで書いている。
「遺器って何?」
「知らない」
エイリンの筆が少し止まった。
小さな黒球は補足した。
「僕が知っているのは、遺器がとても強いということだけ」
「僕が知っている遺器も、これ一つだけ」
ヴァンスが聞いた。
「つまり、この山全体が遺器なのか?」
「そう」
それは少し止まった。
「それだけじゃない」
「山脈」
「森」
「湖」
「雷雨」
「無数の生き物」
「君たちがここまで歩いてきた、この巨大な世界全体さえ――」
「すべて、一つの遺器の中にある」
それは何かを思い出すように言った。
「昔、周りに海はなかった」
「峰の頂は雲の上にあった」
「今は海がある」
「峰の頂は、今も雲の上にある」
「それが遺器の法則」
あたしは、たぶん少しわかった。
至頂群峰がどこにあっても。
外が海になっても、天坑になっても、ほかの変な場所になっても。
その頂は必ず雲端の上にある。
だから水は変な流れ方をする。
山は方向をぐちゃぐちゃにする。
この遺器はどこへ放り出されても、自分の形を保とうとするから。
あたしは小さな黒球を見つめた。
「それのどこが強いの?」
それはあたしのほうへ向いた。
どうやってあたしの位置がわかるのかは、わからない。
「頂上の祭壇」
「それは、あれと対話するための門」
「あれ?」
小さな黒球は触手を伸ばし、アーロンを指した。
「彼に応えたもの」
それは言った。
「あれはとても強い」
「遺器は、彼らの玩具みたいなもの」
あたしは反射的にアーロンを見た。
神明。
まさか神明のことを言っているの?
ヴァンスが急に口を開いた。
「お前はなぜ、そこまで知っている」
小さな黒球の触手がゆっくり縮む。
「いくつかは見た」
「いくつかは感じた」
「いくつかは、意識を持ったときから知っていた」
ヴァンスは逃がさなかった。
「遺器がそうした存在の手の中の器物に似ている、というのも知っていたことか?」
小さな黒球は少し止まった。
その間は、はっきりわかるほどだった。
それから答えた。
「それは僕の推測」
あたしはそれを見た。
それから、今まで真剣に聞いていた周りの人たちを見る。
あたしたちはさっき、黒い毛玉の神明についての推測を、こんなにも真面目に聞いていた。
でも不思議なことに。
そのせいで信用できないとは思わなかった。
少なくとも、それは分けていた。
見たこと。
感じたこと。
知らないこと。
それから、自分で推測したこと。
話せる人間の中にも、それができない者は多い。
アーロンは問題を戻した。
「本当に、ティナが死んでいないと感じたのか?」
小さな黒球は言った。
「彼女はどこかにいる」
「目覚められない」
アーロンの指が少し動いた。
「だが、彼女の肉体はもうない」
小さな黒球はすぐには答えなかった。
触手を一本伸ばし、アーロンの手へ向ける。
ヴァンスの弓が即座に上がった。
ザカも体を低くする。
でもアーロンは動かなかった。
触手が彼の手の甲に触れる。
次の瞬間。
それは小さな肉片を引き裂いた。
「おい!」
あたしは短刀を抜いた。
ほとんど全員が動いた。
アーロンだけが、座ったままだった。
血が彼の手の甲から湧いた。
そしてすぐ止まった。
皮膚と肉が、あたしたちの目の前でまた生え戻る。
血の跡が縮む。
傷が閉じる。
最後には、跡さえ残らなかった。
小さな黒球はその血肉を置いた。
食べなかった。
隠しもしなかった。
ただ、ハーンの声で言った。
「彼女が目覚めたときも、こうなる」
洞内が静かになった。
あたしはゆっくり短刀を下ろした。
アーロンは自分の手を見下ろしている。
今度こそ、彼は本当に理解したようだった。
ティナに完全な肉体がないことは、彼女が戻れないという意味ではない。
彼女が目覚めさえすれば。
彼女に属する永生が、彼女をまた完全な状態へ連れ戻す。
アーロンは顔を上げた。
「彼女はどこにいる?」
「知らない」
「どうすれば目覚める?」
「知らない」
二つ続いた返事のあと、アーロンはもう聞かなかった。
小さな黒球が本当にそれだけしか知らないからだ。
けれど、それにはもう一つだけ確かなことがあった。
「彼女が目覚めるとき」
小さな黒球はゆっくり言った。
「君はもう、死ねないことを持たない」
誰も理由を聞かなかった。
みんなわかったからだ。
ティナの、生きられないことが消えるなら。
アーロンの、死ねないことも一緒に消える。
それは彼を喜ばせるはずだった。
でも彼はすぐには笑わなかった。
対話が終わると、ハーンの声はようやく彼の喉へ戻った。
彼は二度咳をした。
最初の一言は。
「次はロイだ」
ロイは口の中の乾糧を吹き出しかけた。
あたしたちは洞穴の広い場所で小さな火を作った。
火は小さい。
でも少なくとも、さっきのうねうね動く影よりは安心できる。
あたしは食べながら、頭の中でずっと同じ言葉を回していた。
死ねないことが消える。
それこそアーロンが望んでいたことだ。
でもその代わり、世界のどこにいるかもわからず、どう目覚めさせればいいかもわからないティナを、先に見つけなければならない。
しかも見つけたとき、世界がまた別の面倒に変わっていないとも限らない。
沈黙の中で、先に口を開いたのはむしろザカだった。
「探すのか」
アーロンは顔を伏せたまま。
答えは一つだけ。
「ああ」
ザカは手の中の食べ物を噛んだ。
「なら探せ」
アーロンは顔を上げて彼を見た。
その目は、もしこれからティナを探すために時間を使ったら、あたしたちはどうするのかと聞きたそうだった。
ザカは眉を寄せた。
彼にはたぶん、その問題が本当に変に思えたのだ。
彼はあたしたちを指した。
「俺たちはお前の幼獣じゃない」
「自分で歩ける」
少し止まってから、彼は杯を上げ、見慣れた虎歯を見せた。
「見つけろ」
「今度は失くすな」
アーロンはしばらく黙った。
最後に笑った。
とても軽い。
でも、本当に笑った。
彼も杯を上げた。
「ああ」
二つの杯がぶつかった。
それ以上は言わなかった。
エイリンは、アーロンが本当に永生を失うかもしれないと知って、逆に聞いた。
「惜しくないの?」
ハーンも彼を見る。
さっき声を貸し終えたばかりで、今は言えることは早めに言っておきたいらしい。
アーロンは軽く笑った。
「彼女がどこにいるかも知らない」
彼はそれ以上話さなかった。
あたしは食べ物を噛み、ゆっくり咀嚼した。
これだけ一緒にいれば、彼の意味はだいたいわかる。
たぶん、あたしたちが全員自分の道を歩き終えても。
彼はまだティナを見つけていないかもしれない。
アーロンが急にあたしを見た。
「ティナを見つけたら、お前に会わせる」
あたしは危うく喉に詰まらせるところだった。
「なんであたしに会わせるの?」
あたしはうつむいて食べ続けた。
このわけのわからない話題に乗るつもりはない。
アーロンも説明しなかった。
この人の一番腹立つところは、説明しないときほど、たいてい何かあるように見えることだ。
エイリンはもう別の問題を考え始めていた。
「もし遺器があなたに永生を与えられるなら」
彼女は乾糧を持っているのに、食べるのを完全に忘れていた。
「もしかしたら、別の遺器で永生を解けるかもしれない?」
洞穴の中がまた少し静かになった。
正直、エイリンはこういうところが鋭い。
小さな黒球は、遺器は宝具よりずっと大げさなものらしいと言った。
この至頂群峰全体が、一つの遺器だ。
なら世界には、ほかの遺器もあるのだろうか。
それどころか。
もし最後までティナが見つからなかったとして。
アーロンの永生を解ける別の遺器が、どこかにあるのだろうか。
答えを知っている人はいない。
小さな黒球も知らない。
今回は、あたしたちはそれに聞きさえしなかった。
食事を終えると、あたしたちは荷物を整え直した。
アーロンが小さな黒球に聞く。
「群峰の出口はどこだ?」
小さな黒球は答えなかった。
その言葉がわからないみたいだった。
アーロンは言い方を変えた。
「俺たちはここを出たい」
今回、声を貸したのはロイだった。
ハーンは二度目を断固として貸さなかった。
小さな黒球の触手がロイの喉に触れると、ロイはすぐ口を開けて試した。
ハーンは少しだけ、とても満足そうな顔をした。
小さな黒球はロイの声で言った。
「ここ」
それは振り向いた。
黒い小さな体が、ゆっくり洞穴の奥へ漂っていく。
あたしたちはついていった。
今度の洞道は、さっきよりさらに狭い。
横向きでないと通れない場所が何か所かあった。
火光が岩壁を照らすと、そこに刻まれた見知らぬ文字はますます密になっていた。場所によっては、刻み跡が古い跡を覆い、一層また一層と重なっている。まるで違う時に残された多くの言葉が、同じ石壁へ全部詰め込まれたみたいだった。
あたしには読めない。
でも水の匂いが強くなったのはわかった。
滴る水ではない。
大きな水だ。
いくつもの狭い洞道を抜けると、前方に少しずつ自然光が現れた。
火ではない。
とても淡い白い光が、上の岩の裂け目から落ちている。
最後に洞口を越えた瞬間、空間が突然開けた。
あたしは足を止めた。
山腹の中に、とても大きな天然空洞が隠れていた。
高い岩壁は裂け目だらけだった。
陽光がその隙間から落ち、斜めの光の柱をいくつも作っている。
洞穴の中央には湖があった。
小さな水潭ではない。
本物の湖だ。
水面は、風に触れられたことがないみたいに静かだった。
湖辺には植物が生えている。
低い草も、細長い白い花もある。数本の低木が広めの岩台に沿って育ち、葉は高所から落ちる光の中で淡い緑を帯びていた。
ここは、さっきの冷えた暗い洞窟とはまったく違った。
山が小さな世界を腹の中に隠していたみたいだった。
エイリンは数歩近づいただけで、すぐ足を止めた。
目が勢いよく輝く。
「これは!」
彼女はほとんど湖辺へ駆け出した。
ヴァンスがすぐ続く。
「どうしたの?」あたしは聞いた。
ヴァンスは湖面を見ている。
彼の表情も変わっていた。
「ここの魔力は特別だ」
小さな黒球があたしたちの前で止まった。
ロイの声が、その体から出てくる。
「これが、君たちの求める出口」
あたしたちは山腹の奥にあるその湖を見た。
すぐに理解した者は、誰もいなかった。
皆さんも今、たくさんの疑問を抱えているのではないでしょうか。
永生が、二つもある? なぜ?
そして、新しい概念も出てきました。遺器です。
世界には、いったいいくつの遺器があるのでしょうか。
世界ひとつほど大きなものかもしれないし、ただの一つの品ほど小さなものかもしれません。
しかも、願いをかけた時に、別の何かまで入り込んできた?!
情報量が本当に多いですね。
これだけの冒険を経て、ようやく大切な手がかりを手に入れた、とも言えるでしょう。
残念ながら、これ以上聞いても……
小さな黒いものにも分かりません。
では、ひとまず帰りましょう。
出口はどこでしょう?
……湖?
旅は、いよいよ『至頂群峰』の終わりへ向かいます。
どうぞ第十七章『至頂群峰』最終節、第十七節「湖の向こう側」をお楽しみに。




