17-9 雷の走った場所
前方は、とても薄暗いです。
まるで永遠に晴れない場所のようで、ときどき雷が地面へ落ちています。
あたしたちは……あの小さなネズミについて行ったほうがいいのでしょうか?
岩の窪地を離れたあと、あたしたちは剥き出しの岩面に沿ってゆっくり進んだ。
巨葉冠林の外縁近くには、まだ黒い木が点々と残っている。樹冠は細く狭く、樹皮には下へ伸びる焦げ黒い稜がびっしり走っていた。稲妻が落ちるたび、白光はその稜を伝い、根元まで潜り込んでいく。
誰も木へ近づかない。
木の根元の水たまりや湿った土にも、誰も足を入れない。
アーロンは木杖で前の岩面を探っていた。けれど、あたしは先に岩の裂け目にいる灰色の小獣を見つけた。
掌ほどの小ささで、丸い耳を頭へ貼りつけ、四肢をぎゅっと縮めている。さっき近くの黒木に雷が落ちると、岩面の暗灰色の苔がゆっくり光り始めた。白い光が少しだけ中に押し込められているみたいだった。
小獣は全部縮こまっている。
一匹も岩面へ踏み出さない。
あたしたちも、それに合わせて待った。
しばらくして、苔の光が少しずつ暗くなっていく。一番前の小獣がまず鼻を出し、岩面へ足を置いた。すぐには走らない。数息止まってから、向こうの裂け目へ駆け込む。ほかの数匹も、ようやく続いた。
「待って」
あたしは言った。
アーロンが止まる。
あたしはその小獣たちを指して見せた。
「さっき、あいつらは歩かなかった」
エイリンはすぐしゃがんで記録した。ロイは岩の裂け目を見る。
「今度は鼠について歩くのか?」
ハーンが言った。
「少なくとも、あいつらはここに住んでる」
それからは、空だけを見なくなった。
岩の裂け目の小獣が、いつ動く気になるかも見る。
黒木の区域を離れると、前方には高い植物のない銀灰色の草原が広がっていた。草葉は低く、乾いて硬い。互いにこすれると細い音がする。風が止んでも、その音は完全には消えなかった。地面の下で、何かがゆっくり転がっているみたいに。
草原の中ほどまで来た時、低い鳴りが急に重くなった。
雷鳴じゃない。
大地全体が、喉の奥でくぐもって唸っているような音だった。
銀灰色の草が全部同じ方向へ倒れる。あたしの毛が一本ずつ立ち、ロイの腰の金具もかたかた鳴り始めた。
近くで草を食べていた雷冠鹿たちが、同時に頭を上げた。
黒木へは走らない。
一番開けた場所へ向かって駆けていく。
あたしがまだ分からないうちに、数頭の雷冠鹿は低い鳴りが最も重くなった瞬間、身を躍らせた。跳び方は理不尽なくらい高い。四肢を空中で広げ、晶角をまっすぐ雲へ向ける。
遠くから見ると、本当に鹿の群れが飛んでいるみたいだった。
稲妻が落ちた。
白光が先頭の雷冠鹿を飲み込む。
そのまま落ちてくると思った。
けれど鹿は全身に流れる白光をまとい、安定して着地した。
鹿蹄が草に触れた瞬間、雷光が草の根と湿った土を伝って四方へ走る。
最初に異変を嗅いだのはザカだった。
「石に上がれ!」
あたしたちは近くの裸岩へ向かって走った。
ロイが一歩遅れた。
白光が草の根から跳ね上がり、彼の金具へ飛びつく。火花が腰のあたりで弾けた。彼の両脚から一気に力が抜け、体が前へ倒れる。
ハーンが腕をつかんだ。ザカは背負い紐をそのまま引っ張り、二人で彼を岩の上へ引きずり上げる。
白光があたしたちの足元をかすめた。
数息後、雷冠鹿は耳を振り、何も起きなかったみたいに遠くへ歩いていった。
ロイは岩の上に寝転がり、脚をまだ勝手に痙攣させていた。
「今なら、あいつらが飛ぶって信じる」
ハーンは少し黒く焦げた金具を確かめた。
「もう少し遅かったら、お前もな」
雷が散ったあと、草原は焦げていなかった。
雷冠鹿が着地した場所には、むしろ淡青色の草が輪になって生えていた。細長い葉が地面に貼りつき、葉脈にはまだ微かな白光が残っている。少し時間が経つたび、光は暗くなり、葉もゆっくり閉じていった。
水晶球の中の水精霊が、何度もその方へ寄せてくる。
あたしはこんな草を見たことがない。
それに、そんな気がした。これは雷が走ったあと、ほんの短い間だけ姿を見せる。
アーロンが、あたしが草叢を見ているのに気づいた。
「待て」
「待ってたら縮む」
ハーンは止めなかったが、すぐ縄を取り出した。
縄をあたしの腰に結び、もう一方をザカへ渡す。あたしは木挟みを持ち、草面から突き出た乾いた石をいくつか跳んで進んだ。
ここの体は軽い。
跳ぶのは難しくない。
難しいのは、着地点がその数個の石しかないことだ。
一番近い石に降りた瞬間、つま先が滑りかける。ザカの手の縄がすぐ張り、あたしを少し引き戻した。
「まだ生きてる」
あたしは言った。
「知ってる」
彼が言った。
「釣りみたいに引かないで」
「魚より面倒だ」
返す暇はなかった。
木挟みを草叢へ入れ、一株の根を挟む。植物が土を離れた途端、細い白光が濡れた葉から木挟みへ走った。
指が一瞬で痺れた。
尻尾と耳の毛が全部膨らむ。
ザカはすぐあたしを引き戻した。
岩地へ転がり込んでも、手の中の草だけは必死に握っていた。
エイリンがすぐ寄ってくる。
「見せて!」
ヴァンスが後ろから彼女の襟をつかんだ。
「彼女はまだ煙を出している」
あたしは手の中の草を見下ろした。地面を離れてから、葉脈の白光は急速に薄れている。
まだ少し痺れる手で、時間、落雷との距離、それからさっき虫が骨の中へ噛みついたような感覚を書きつけた。
雷脈草。
薬にできるかどうかは、もっと安全になってから試す。
それから数時間、あたしたちはとてもゆっくり進んだ。
雷が落ちるたび、盆地には新しいものが現れる。閉じていた花苞が一斉に開き、まだ散りきらない熱気の中へ細かな種を噴いた。地面の下から甲虫みたいな小虫が這い出し、割れた種莢や感電して死んだ飛虫を齧る。黒木の裂け目からは淡青色の樹液が流れる。でも近くの動物は、光が完全に消えてからでないと、近づいて舐めようとしなかった。
雷冠鹿は区域をまたいでゆっくり移動する。晶角が明るいほど、歩き方は遅い。高い木のない場所の方が、鹿群はむしろ多かった。
何かが自分から襲ってくることはない。
それでも、普通の草原を歩くよりずっと遅かった。
銀灰草が低く鳴れば、全員が裸岩を探し、電気を通しやすい金属のものを置く。ハーンが足場になる岩面を選び、ロイは前後を縄でつなぐ。雷鳴の中で誰かがはぐれないように。
エイリンはほとんど筆を止めなかった。
あたしも植物が雷にどう応えるのかをずっと見ていた。でももう採りには下りなかった。場所、形、光が暗くなる速さ。全部、羊皮紙に描いた。
夕方までに、たぶん六、七キロしか進めなかった。
ハーンは草原より高くなった黒い岩稜を選んで野営した。岩面には光る苔がなく、近くに黒木も水たまりも、新しい鹿蹄の跡もない。
冠躍鹿の肉と、残った果実が夕食になった。
ロイの脚には感覚が戻っていた。ただ、歩き方はまだ少し硬い。座る時もひどく慎重で、尻まで急に雷に打たれるのを恐れているみたいだった。
空が完全に暗くなる前、雷鳴が急に止んだ。
盆地が初めて静かになる。
遠くで草を食べていた雷冠鹿が、全部頭を上げた。
銀灰草は風に吹かれていないのに、同時に低く鳴った。
今度の音は、どこか一つの方向から来たものじゃない。
草原全体が鳴っている。
雷冠鹿は跳ばなかった。
その場に立ったまま、晶角をそろって盆地の奥へ向ける。エイリンも筆を止め、同じ場所を見た。
遠くに稲妻が一本落ちた。
二本目。
三本目。
雷光はすぐには消えなかった。
白い枝流が地面の下から明るくなり、草の根、岩の裂け目、浅い水を伝って素早く広がる。光が通った場所で、雷綻花が一輪ずつ開いた。
一面。
また一面。
もともと暗かった盆地が、曲がりくねる花の帯でゆっくり照らされていく。
その光は、あたしたちの方へは来なかった。
草原全体を通り、もっと深い場所へ集まっていく。
数百頭の雷冠鹿が動き始めた。
走らない。
怯えてもいない。
光る花帯に沿って、同じ方向へゆっくり歩いていく。
ハーンが低く聞いた。
「どこへ行くんだ?」
誰も答えなかった。
あたしは地面の下を流れる白光を見ていた。
遠くから、また低い鳴りが来る。
今度は雲の中からじゃない。
盆地の奥からだ。
夕食の時、あたしたちは岩稜の上に座っていた。雷鳴はまた遠くで時々聞こえるようになったが、さっきほど急ではない。アーロンは雷光に照らされる草原を見て、ふいに口を開いた。
「昔は、ここまで賑やかじゃなかった」
ロイはまだ少し痺れる脚を揉んでいた。
「その賑やかってのが死にそうなやつなら、俺は静かな方がいい」
みんなが少し笑った。
アーロンも笑った。
でも視線は遠くから離れない。
「昔は草原だけだった」
「広すぎて、永遠に抜けられないんじゃないかと思うくらいにな」
あたしは彼の横顔を見た。
彼が見ているのは今の光る草ではなく、ずっと昔の、同じくらい空っぽな場所のようだった。
エイリンが聞く。
「じゃあ、この生き物たちはどこから来たの?」
アーロンは遠くの鹿群を見た。
「もともとここにいたものもいるだろう」
「一部は……海水と一緒に落ちてきたのかもしれない」
ロイはあの晶角を眺めた。
「海の怪物が鹿になるのか?」
「鹿もそうだとは言ってない」
今度は、みんなもう少し大きく笑った。
そのあとは、誰も答えを追って聞かなかった。
雷が鳴り続ける場所で、普通の旅人みたいに役に立たない話を少しできるだけでも、簡単ではない。
夜がさらに深くなると、ほかの人たちは順に眠った。火は低い残り火だけになっている。遠くで雷が時々ひらめき、アーロンの横顔を一瞬だけ照らして、すぐ闇へ返した。
あたしは長く待ってから聞いた。
「そんなに長く生きてたら、全部覚えてるの?」
アーロンはすぐには答えなかった。
ただ少し笑い、盆地の奥を見る。
「あの頃の雨を、全部覚えてるわけじゃない」
「歩いた石を一つずつ覚えてもいない」
彼はしばらく止まった。
「でも、一緒に歩いた人は覚えてる」
アーロンはあたしを見なかった。
あたしも、それ以上は聞かなかった。
その言葉は、ティナのことだけを言っているわけじゃなかったから。
あの鹿は雷に打たれても、なんともありませんでした。
ここで少し、設定を補足します。
彼らは雷を一時的に身に留めているだけです。本当に重要なのは——雷を地面へ導くことです。
なぜ、そんなことをするのか……
慌てなくても、あとで答えが出てきます。
ただ、次の節では本当に大変なことが起こりそうです。
どうぞ第十節「風のある場所」をお楽しみに。




