17-8 風の道
空の旅?
鳥に乗るわけではありません。
飛行魔法でもありません。
板根に降りた膜翼獣は、あたしたちを襲わなかった。
背中の翼膜をきゅっと畳み、隣の低木へ歩いていく。果実ごと枝を一口で噛み切った。果肉が口の中でぱりっと音を立てる。食べ終えると、また樹上を見た。
もうない。
ロイはその場でしばらく見てから、荷袋から道中で採った果実を一つ取り出し、そいつへ投げた。
果実が落ちる前に、膜翼獣が口で受け止める。
飲み込んだあと、またあたしたちを見た。
それから果樹を見る。
本当にもう食べ物がないと確認してから、板根の縁へ歩いていった。
「膜翼獣」
エイリンが小さく言った。
そいつはすぐに翼を打たなかった。
板根のそばに垂れた藤葉が先に上へ揺れる。細かな雨滴も同じ場所で向きを変え、見えない手に支えられたみたいだった。膜翼獣が前へ跳ぶ。翼膜が開いたばかりなのに、体はもう見えない気流に持ち上げられ、逆向きの滝に沿って高いところへ飛んでいった。
雨霧の間で、膜翼が畳まれては開く。すぐ樹冠の中の緑影へ戻った。
少し静かになった。
エイリンが急に言う。
「ここにあったんだ」
彼女はさっきの空間を指した。
「見て。あそこに上昇気流がある」
あたしには何も見えない。
水霧と雨滴と藤葉が、時々ほんの少し方向を見せるだけだ。上へ漂い、葉の間まで行くと消える。
ハーンが眉を寄せた。
「まさか、俺たちを飛ばすつもりじゃねえだろうな?」
「俺たちは水夫だ」
ロイがすぐ言った。
「翼はない」
ザカは高いところに残る蜘蛛の巣を見ていた。
「空には糸がある」
それでもエイリンは、解ける道をようやく見つけたみたいだった。
「膜翼獣が通れるなら、少なくとも完全な網はないってこと」
ヴァンスは今回、すぐには反論しなかった。
逆に落ち着かない。
「何も言わないの?」
あたしが聞く。
ヴァンスは少し沈黙した。
「確かに、この森は早く出るべきだ」
アーロンがうなずいた。
ハーンは彼を見る。
「あんたが死なねえのと、俺たちも死なねえのは別だぞ」
「分かってる」
アーロンは言った。
エイリンが振り返り、みんなへ瞬きした。
「ちゃんと受け止めるから」
ハーンの顔は、それでよくなったりしなかった。
彼はまず水夫のやり方で準備することにこだわった。
縄を全員の腰に回す。前の組はエイリン、ヴァンス、アーロン。後ろの組はザカ、あたし、ハーン、ロイ。荷物はすべて縛り直し、武器は背に固定した。飛んでいる途中で先に仲間を刺さないように。パフ一家の籠には、さらに網縄を一重かけた。あたしは籠蓋に死に結びを二つ作った。
各組に刀を一本残す。
本当に何かあれば、縄を切れるように。
この準備は好きじゃない。
ハーンが最初から、誰かが引きずられていくと思っているみたいに聞こえる。
エイリンは逆向きの滝のそばに立ち、大気の精霊を呼び始めた。
今回の霊語は長かった。
四つの違う段落があるのが聞き取れた。第一段が終わると、雨滴が宙に止まる。第二段が響くと、近くの藤葉がすべて同じ方向へ持ち上がった。第三段で、逆向きの滝が急に大きな水霧へほどけ、上へ伸びる水路全体が裂かれたみたいになった。
第四段はまだ終わっていない。
足元の風が、いきなり上へ噴き上がった。
準備した姿勢は、全部役に立たなかった。
一瞬で、あたしたちは全員地面から吹き離された。
あたしはまず上へ飛んだ。
次に体ごと横を向いた。
ロイは隣で二回転し、顔色が白から青へ変わる。ハーンが縄を強く引かなければ、彼は制御のない木片みたいにさらに転がり続けていた。
ザカはあたしの背後の縄をつかんだが、その彼まであたしに引かれて半回転傾いた。
エイリンだけが、本当に飛べるみたいだった。両腕を広げ、風に沿って体を調整する。外套は背後でまっすぐ張っていた。
「体勢を安定させて!」
彼女が叫ぶ。
どうやって、と聞きたかった。
でも風圧が言葉を全部口へ押し戻した。
あたしたちは風の道に支えられ、巨葉冠林の上を越えた。
高いところから見ると、空を遮っていた覆天木は、起伏する緑の海になっていた。巨葉の間の水簾は細い線にしか見えず、冠花龍蜥も林の中でゆっくり動く暗い影の塊でしかない。
さっきの膜翼獣の幼獣が横から追いついてきた。
あたしたちの周りを一周し、それから体をひっくり返して、ロイが縄に引かれて回る姿を真似した。
ロイはそれを見た。
「俺を笑ってるのか?」
「たぶん、あんたが面白いんだよ」
あたしは言った。
近づいてきた時、ふと一つ思いついた。
乗れるかな。
前の方で、ハーンがちょうど叫んだ。
「あれ、乗れるか?」
エイリンが振り向いてにらむ。
「親を怒らせたいなら」
あたしは小屋に近い大きさの幼獣を見た。
これでまだ子ども。
親はたぶん、覆天木より扱いにくい。
次の瞬間、膜翼獣の幼獣が急に翼を畳み、下へ落ちた。
灰黒色の巨大な影が、あたしたちの上をかすめる。
鉤状の長い嘴が、空中で激しく閉じた。
がちん!
さっきまで幼獣がいた場所には、切り散らされた雨滴が数粒残っただけだった。
巨大な鳥獣だ。翼は黒い帆二枚みたいに広く、嘴は長く下へ曲がり、縁には逆鉤がずらりと並んでいる。そいつは風の道の上を回り込み、影まで冷たい羽の生臭さを連れていた。
膜翼獣の幼獣は落下の後でまた翼を広げ、下からの気流に支えられて空へ戻る。
でも、あたしたちは高さを変えられない。
鳥獣は一周すると、すぐ気づいた。ずっと回転しているあたしたちの列の方が、膜翼獣よりずっと掴みやすい。
もう一度急降下した。
今度はロイを狙っている。
ハーンが二人の間の縄を強く引き、ロイの体が丸ごと逸れた。長い嘴が彼の靴底をかすめ、底革を一枚そのまま削り取る。
ザカは槍を振ろうとしたが、掠めてきた鉤爪を槍柄で受け流すのがやっとだった。爪先が槍身に白い痕を三本残し、衝撃で彼の手首が震える。
ヴァンスは弓を上げ、それから下ろした。
あたしたちは全員回っている。
彼の矢は、飛び出した瞬間に誰かの耳を貫くかもしれない。
エイリンは風の道を保ちながら、横風を一本分けてあたしたちを左へ押した。顔色が白くなり始め、さっきまでの自信はとうとう消えた。片手を上げ、みんなに縄を引き締めるよう示す。
鳥獣が三度目に近づいた時、ハーンとロイは同時にヴァンスの両側の縄をつかんだ。
ヴァンスの体が一瞬だけ安定する。
十分だった。
矢が弦を離れた。
鳥獣の翼根を正確に射抜く。
そいつは耳を裂くような鳴き声を上げ、片翼を傾け、巨葉を一枚かすめて、最後には下の樹冠へ墜ちた。枝葉が激しく揺れ、すぐにまたそいつを飲み込む。
死んだかどうかを確かめる者はいなかった。
風の道はもう、あたしたちをその場から運び去っている。
あたしはパフ一家の籠を必死に抱えた。中では五本の尻尾が全部一緒に詰まっている。あいつらがあたしを罵っているかどうかは分からない。耳には風以外、何も聞こえなかった。
森の端が前に現れた。
「あとどれくらい?」
あたしはほとんど吠えるように聞いた。
「もうすぐ!」
エイリンが答えた。
今回は本当にすぐだった。
上昇気流が急に消えた。
あたしたちはまず前へ飛び出した。
それから下へ落ちる。
縄が同時に上へ張った。膜翼獣の幼獣は双翼を広げ、軽々と向こう側へ滑っていく。あたしたちは地面が凄い速さで大きくなるのを見るしかなかった。
また終わり?
エイリンは落下しながら、もう一度大気の精霊を呼んだ。
地面の空気が激しく上へ爆ぜる。
あたしたちはまず風に吹かれてひっくり返り、それからめちゃくちゃな落ち葉の列みたいに湿った草地へ落ちた。
ロイは顔から泥に突っ込んだ。
ハーンは自分の荷物の下敷きになる。
ザカはまだあたしを担いでいて、二人で何度か転がった。ようやく止まった時、あたしの尻尾は彼の肘の下にあった。
「尻尾!」
彼はすぐ手を離した。
ヴァンスはどうにか両足で着地したが、それでもかなり前へよろめいた。エイリンだけは普通の人みたいに降り、しかも先に自分の杖をまっすぐにする余裕まであった。
あたしは頭を押さえながら起き上がる。
魔法って、もっと優雅なものじゃないの?
ハーンは苦労して荷物の下から這い出した。
「嬢ちゃん、方向はまだ合ってるんだな?」
彼への返事みたいに、前方へ数本の稲妻が同時に落ちた。
白光が背後の樹海を照らし、前方に広がる剥き出しの岩地とまばらな黒い木々も照らした。
巨葉冠林はまだ後ろにある。
でも、その縁にはもう着いていた。
空は低い黒雲に押さえつけられている。雷鳴はほとんど止まず、空気は濡れ石、焦げ木、今にも爆ぜそうな匂いでいっぱいだった。
エイリンは前方を見た。
「合ってる」
彼女は言った。
「あっちの魔力の方が濃い」
あたしは疑い始めた。
「濃い」というのは、危険という意味の別の言い方なのでは。
アーロンはみんなに、木と水たまりと湿地を避け、剥き出しの岩面だけを進ませた。あの黒い木は周りの植物よりずっと高く、樹冠は狭い。幹には焦げ黒い裂け目がびっしり走っている。雷はほとんどそいつらに落ちていた。
近づくと、木のそばに鹿に似た生き物が数頭いるのが見えた。
頭の角は普通の鹿角ではない。上へ広がる半透明の晶枝が、いくつも束になって生えている。
あたしたちは裸岩の後ろへ隠れた。
一頭の鹿が黒い木のそばへ歩き、雲を見上げた。晶角の先に、細い白光がゆっくり灯る。雷鳴が鳴る前に、そいつは幹の突き出た黒い稜へ角を当てた。
稲妻が落ちる。
雷光は幹を走って裂け落ち、晶角から鹿の全身へ広がった。
鹿の体は一瞬、白光に飲まれた。
あたしは本能で身を低くした。
たぶんもう焼けた。
光が散ったあと、その鹿の体から薄い煙が上がった。耳を振り、何もなかったみたいに離れていく。晶角の中には、まだ白光がゆっくり流れていた。
別の鹿が前へ出た。
並んでいる。
エイリンが羊皮紙を取り出した。
「雷冠鹿」
あたしは小声でアーロンに聞いた。
「昔からあった?」
「ない」
「本当に来たことあるの?」
アーロンは鹿の群れを見ていた。
「今、知った」
ハーンがすぐ言う。
「俺たちはあれとは違うぞ」
ザカは自分の腕の毛を見た。
「焦げる」
ロイは黙って裸岩の真ん中へ数歩移動した。
「なら木から離れよう」
あたしたちは岩地をさらに進み、木の根も水たまりもない窪地でひとまず止まった。
振り返ると、さっき飛び越えた巨葉冠林は、もう広大な深緑の樹海になっていた。前方には、雷光に何度も照らされる黒い盆地がある。
稲妻が落ちるたび、何頭かの雷冠鹿が光る黒木へ歩いていく。
さらに遠い闇の中で、雷光が一瞬だけ、動く晶角の群れを照らした。
数頭だけじゃない。
盆地全体にいる。
エイリンは顔を下げ、羊皮紙に一行を書き足した。
雷育盆地。
なんとも危ない旅でした。
空中では体のバランスを取るだけでも難しいのに、捕食者まで避けなければなりません。
けれど、ここまで来た皆は、もう十分に経験を積んだ冒険者でもあります。
次に待っているのは、雷を引き寄せる鹿です。
自分で放電するのではありません。
本当に、雷を呼び寄せるのです。
できるだけ近づかないほうがよさそうですね。
どうぞ第九節「雷の通り道」をお楽しみに。




