3-1
午後七時。閉店。
はい、本日も薬局、おつかれさまー。
で、普通に疲れてるんだけど裏口。行きますか。
「……ぬぁー、あっつ」
裏口を開けた瞬間、昨日と同じ熱気がぶわっと押し寄せてきた。
「来たか」
いたいた、レオルド王子様。
「来たよ。私、約束は守るタイプ」
なんかもう、この人が普通にいるのにも慣れてきた自分が怖い。
「では、昨日の家へ向かう」
「はいはい」
相変わらず慣れない、ファンタジーっぽい可愛い家の扉が開く。
「……あ」
思わず声が漏れた。
昨日、ぐったりしていた人たちが、起き上がっている。
「殿下! それに……」
「えっと、ポーションのお方」
なんか変な覚えられ方してるんだけど。まあいいよ、もう。
それより——
「……どう? 体調」
近くにいた女性に声をかける。
「昨日より、ずっと楽です……! 頭の重さも、ふらつきもなくて……」
「でしょ」
思わずドヤ顔になる。部屋の空気もぜんぜん違うもん。
昨日は湿度が大変なことになってたけど、今日はすっきりしてる。
「冷却循環機、ちゃんとずっと使い続けてる?」
「は、はい! 殿下のご命令で、夜通し」
「夜通しは、問題があるか?」
と、レオルドが私に聞く。
「いや、ない。むしろ正解」
うん、完全に効果てきめん。
「水と塩は?」
「こまめに摂るようにしております。体調はとてもいいです」
「ほらね」
レオルドの方を向く。
「環境整えて、摂るもの摂れば、ちゃんと回復するの」
レオルドは、少しだけ目を細めた。
「……確かに、昨日とは様子が違うな」
「でしょ?」
部屋の奥では、子どもが笑っている。
昨日はぐったりしてたのに。
その光景を見て、胸の奥が少しだけ軽くなった。
「ちゃんとしてくれて、ホントに良かった」
ぽつりと呟く。
そのとき。
「……しかし」
背後から、不気味な声がした。
振り返る。
見慣れないローブ姿の男が、こちらを睨んでいた。
「そのやり方が、本当に正しいと、どうして言えるんです?」
……あーー、なんか来た。




