3-3
正直、もういいやって思った。
言うだけ言った。
結果も見せた。
それでも信じないなら――
「……帰るわ」
ぽつりと、そう言った。
「キョウニン?」
レオルドの声を無視する。
「どうせ信じないんでしょ。ならもういいよ」
振り返らない。
「待て」
「やだ」
即答。
「私、別にここで働いてるわけじゃないし」
さっさと歩き出す。
背後で何か言ってる気がするけど、全部無視した。
裏口をくぐる。
一歩。
二歩。
——見慣れた薬局の床。
振り返らない。
そのままドアを閉める。
カチ、と鍵をかけた。
「……はぁ」
力が抜ける。
なんかもう、どっと疲れた。
「何やってんだろ、私」
異世界でクーラーつけろって騒ぐとか、意味分かんないんだけど。
でも——
頭に浮かぶのは、昨日の家の人たちの顔だった。
「……まあいいや」
考えるの、やめた。
とりあえず今日は寝る。
明日も普通に仕事だし。
三日後。
「……ちょっとだけ」
裏口の前で、立ち止まる。
いや、別に気になってるわけじゃないし?
ただ、どうなったか確認するくらいなら——
ドアノブに手をかける。
開ける。
「——あ」
「来たか」
ぬっと現れた。
「うわっ!?」
普通にびっくりしたんだけど!?
「何でいるの!?」
「キョウニンが現れるのを、ずっと待っていた」
「いや怖っ」
さらっと言うな。
「……で?」
腕を組む。
「何。なんか用?」
レオルドは、いつも通り落ち着いた顔で言った。
「王宮のメイドで、失神した者が出た」




