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転生姫はお飾り正妃候補。愛されないので自力で幸せ掴みます  作者: 福嶋莉佳
二章

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取り残された侍女の行方

寺院の扉が荒々しく開かれ、砂塵と共にアルシオンの馬が駆け去った。

リサは入口に立ち尽くし、伸ばした手が空を掻く。


「せ、セレナ様ぁぁーー!!」


胸に広がるのは置き去りにされた寂しさと、主君を奪われた悔しさ。


殿下……ひどい方……セレナ様を連れて行ってしまうなんて……!


湿った床に膝をつきそうになりながらも、リサは震える手で桶を掴んだ。


――暫くした後。


甲冑の靴が床を叩く音。

振り向けば、武官が馬を引いて立っていた。


「――リサ殿だな。殿下の命で迎えに来た。乗れ」


差し出された手に呆ける。


「わ、わたし……?」


武官は焦れたように手首を掴む。


「急げ。殿下は待たせるなと仰せだ」


次の瞬間、身体がふわりと浮いた。


「きゃっ……!」


鞍に乗せられ、背後に硬い胸板。


「落ちるな。掴まっていろ」


ち、近い……!


馬が走り、風が頬を打つ。

揺れるたび、甲冑の硬さとその奥の熱が背へ伝わる。


「泣くな。主君は無事だ」


「な、泣いてなんか……!」


「震えているぞ」


指先がたてがみに縋ると、その上に大きな手が重ねられた。


「怖くない。俺が落とさない」


「……っ」


……なんなの、その言い方……!


夕陽の中、二つの影が並んで駆けていった。

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