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第八話 秩序

『なんだと?』


 電話口から聞こえた低い声に、凛は息を呑んだ。


 優秀な凛は、怒られることが滅多にない。

 そんな凛に、怒気を孕んだ声で語りかける人物がいる。


『なぜ報告していなかったんだ……! クソ、岩崎さんが知ったらどうなるか……』


「……すみません、司令」


 月に一回の報告で、アマリリスの生徒会長である凛は、女子校担当の宮森司令と通話をすることになっていた。


 凛のホログラム画面に映し出されているのは、しかめっ面の司令だ。


『常闇朔は、黒百合の生徒で間違いない。男女が引き合わされると、フローラの秩序が壊れてしまうんだよ』


「秩序、ですか」


『そうだ。フローラが昔から定めてきた、絶対的なルールなんだ。それに、警察に会ったことも。……赤坂め、関わるなと言ったのに』


「お知り合い、なんですか?」


 凛の問いに、宮森が大きなため息で返した。

 画面の中の宮森は、頭を抱えている。


『あれを助けたアマリリスの生徒は、私なんだ』


「えっ、そうなのですか⁉︎」


『まあ、そんなことはどうでもいい。今後は、外の人間と関わったら、必ず報告しなさい』


「……わかりました」


 ツー、と音がして、画面が真っ暗になる。


 凛は、小さく呟いた。


「秩序って、何よ。古いルールは、変えていかないといけないのに」


 凛の唇は、キツく噛まれていた。

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