第7話
「仕方ありません。王がその魂と遊んでいる間、私達は人間の国を徹底的に調べるとします。王はどの程度の時間を考えていますか?」
あの殺意の直後に、これか。
禍々しい凶気を目だけに宿らせて、一切の感情の抜け落ちた顔で引き下がる。
「ええ、頼みました。そうですね、3転期(月)程でしょうか。私としてはバルリアで冒険者となり、シンを鍛えつつ、バルリアで動向を見るつもりでしたので」
その返答にエルトラが少し考えるような沈黙が下りる。
「3転期ですか。栄養の確保もこちらで行いますか?それであれば、力も全快するでしょう」
今度はアルテがその提案に少し目を細めたのか、視界が狭くなる。
「遠慮しておきます。シンを鍛えていれば少なくとも半分は戻るはずです。そこまで急激に状況の変化はしないでしょう。
最低でも1周期(年)は大人しいのでは?流石にそこまで軽視した扱いはしないと思いますが」
「異なことを言いますね。本当にあの屑どもが動いたのなら、半周期もあれば動くでしょう。いや、手段を択ばないならば7回期(日)でもおかしくはない筈です」
「僭越ながら、私もエルトラの意見に同意いたします。1周期は楽観的すぎるかと」
「わかりました、警戒はしておきましょう。ですが、そうなるとしても配置をするのはバルリアか王都になるはずです。流石に他の国を攻める事はしないでしょう。
バルリアで有力な冒険者となれば、初動は掴めます。王都にいるのなら私は自由に動けますし、王都はセラスの部下で調べてください。
また、本当に半周期で動いたとしても問題ない程度には仕上げておきます」
「わかりました。その様に動くとします」
「これで問題はありませんね?それでは今からバルリアに向かいますので、頼んだものを渡してください。それと、セラスは転移をお願いしますね」
「畏まりました」
張り詰めた空気が、僅かに和らぎ、アルテも少し柔らかい口調になった気がした。
なんだか、お開きみたいだし、堅苦しい雰囲気ともおさらばだ。
何もしてないけど、疲れたー。
「どうぞ、この中に幽暗の衣をはじめとした装備と貨幣を100万程。他にも旅に必要な魔具を一式入れてあります」
深淵のような黒い宝石のバングルを、エルトラがアルテに渡す。
桁外れの高級品に若干引きながら、魔法とは便利だとつくづく思わされた。
「ありがとうございます。それでは、このままバルリアの門が開くまで周辺の魔獣を相手に基本的な戦闘を教えるとしましょうか。
エルトラ、あとの事は頼みましたよ。
セラスもお願いしますね」
「畏まりました」
エルトラが静かに頭を下げる。セラスも微笑みながらそれに続いた。
そして、視界が暗転した。




