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第10話

 俺がアルテから及第点をもらったのは、日はまだ上らないが空が青くなり始めた頃だった。




 「よく頑張ったね。ご褒美に空からバルリアを見せてあげるよ。ふふ、楽しんでね」




 アルテが空へ飛び上がり、夜明けの都市を、この世界を見せてくれた。




 空が青くなり始め、森を照らし、海から日が見えてくる。海を照らし、森を照らし、未だ眠る都市にぽつぽつ人が歩いているのが見え、門には馬車が少し並び、壁の上には兵士が周りを警戒している。


 都市が起き始めている。




 『すごいね。うん、凄い。それと、世界が変わっても人の生活は同じみたいだね』




 「そうですね。シンは人と生きたいですか?」




 『そりゃそうだよ。でも、アルテ達も人でしょ?いや、エルトラは違うけど』




 「そっか。そうだね。ありがとう」




 何故かアルテは泣きそうに、そして、嬉しそうに笑っているように感じた。




 「このまま都市の中に入り見せてあげたいですが、流石に幽暗の衣を使用しても今の私では無理ですね。じきに門が開きますので旅人として入りましょう。それとも、まだ見ていますか?」




 『いや、大丈夫。門の前に行こう』




 「わかりました。それでは行きましょう」




 アルテが幽暗の衣を纏ったまま別の門の前におり、門が開くまでの間待つことになった。




 『さて、ここからは声には出さないで話しますね。最初は慣れないかもしれませんが我慢して下さい』




 アルテは魂に直接語り掛けるような感覚で意思を伝えてきた。




 なんだか、アルテと深く繋がった感じがして気恥ずかしくなってしまい、無言になってしまった。




 このテレがアルテに気づかれないといいんだけど。




 そして、少し気まずいまま、過ごしていた。




 門の前には数人の馬車が止まっており、野営をしていたらしき馬車のない人達も別で並んでいた。




 アルテは列に混ざり、門番の前に来て、金属の板を見せながら胴貨を5枚渡し、木の板を受け取って門を通った。




『さっき門番に何を見せたの?あと、さっきのは銅貨?』




『先程のは通行証と銅貨ですよ。エルトラの部下が発行した物ですね。あまり上の身分ではないので通行料もそれなりに支払いました』




 少しアルテの念話にくすぐったさを感じたけど、話を聞くため意識しない様にした。




『身分で通行料が変わるの?』




『はい、下位は銅貨5枚、中位は3枚、上位は素通りですね。ですが、馬車を使用していますとその分の料金は取られてしまいますので、実質それが上位の料金となりますね』




『上の身分の方がお金を取られそうだと思ったけど、仕組みが違うんだ』




『お金はこの都市の収入が1つの目的ですが、治安や環境の影響力の少なさでも変わります。都市毎に変わるので目安でしかありませんが』




 アルテは説明しながら、視線だけ動かして周囲を見せてくれながら移動をしてくれているが、あまり其方まで気が回らない。




 会話が途切れたことで、慣れない念話と若干の気まずさを感じながら無言で移動している。




『ギルドに着きましたよ。すみませんでした。昨夜の訓練は私も少しは悪かったです。ですので、そろそろ機嫌を直してくれませんか?』




 苦笑気味のアルテの声に現実に戻されて周りの景色を見ると目の前には堅牢な造りのでかい建物があった。どうやらこの建物が冒険者ギルドらしい。




 『別に機嫌は悪くないし、俺も悪かった。ちょっと昨夜からの訓練しごきを思い出してただけだよ』




 俺はアルテの勘違いをそのままに、少しだけ文句をこの流れで軽く言ってみた。




 『そこまで酷い事はしてないと思っていたのですが、仕方ありませんね。今後はもう少し丁寧に行いましょう』




 あれで酷くないだと?俺とアルテには多大な認識の差があるようだ。




 俺が絶句している間にアルテは、ギルドの門を潜り内部に入っていった。




 「ようこそ、冒険者ギルドへ。どの様なご用件でしょうか」




 「冒険者になりに来た。ランクの試験の手続きを頼む」




 俺は誰にも気づかれずにギルドの受付まで来たアルテに対して、当然のように声をかけてきたエルフの受付嬢に驚いた。




 彼女は目を見張る程に際立った美女なうえ、幽暗の衣によって気配を隠していたアルテを把握していたようだ。




 アルテは受付嬢が目で追っていたことに気づいていたらしく平然としていた。

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