第1章 その7
カチャカチャガチャ。ビービービー。ペタペタペタペタ。
すっかり慣れた手つきで俺は黙々と、テーパーからテープを3つ取り、段ボール板の決められた部位にそれを貼っていく。
A型作業所という、通常の仕事が困難な精神、身体障害者がほぼ最低時給で働く場所に俺は通っている。今日は施設外就労という町工場での作業だ。
最近ようやく慣れてきた。
しかし脳とは不思議なものだ。もう勝手に手が動く。
魂だとか≪幽体離脱≫も凄いが、人間の脳を始め、複雑な機構で動く身体。
神秘的であると思う。肉体はスピリチュアルな世界にでは割と無視されているようなイメージだ。
結局昨日は≪実体≫に戻ってそのまま気絶するように寝てしまった。気付いたのが深夜2時頃で、すぐさまカレンダーの印を確認した。
果たして◯と△の印があったのは既に少し書いた通りだ。
残りは公園の大木、そして謎の少女レテである。
公園には仕事が終わってから行く予定だ。
とにかく公園だ。大木に印があるか無しかで話が全然変わってくる。
レテの事も考えたいが、果たして幻覚か現実か――。
15時、 町工場での作業が終わった。皆にお疲れ様ですと言ってほこり臭い町工場を出た。
まだ日差しが強い。じわりじわりと汗がにじんだ。
自転車にまたがる。サドルが熱い。尻に汗をかきそうだった。
目当ての◯◯公園が近付いてくる。早まる心拍は、今登っている坂のせいだけではない。
到着し駐輪場に自転車を置くと、リュックサックからウェットティッシュとルイボスティーのペットボトルを取り出す。
汗を拭き、喉を鳴らしらがらペットボトルに吸い付いた。
飲み終えたのでふっと一息。
「さあ行くぞ」
自らを奮い立たせるように呟く。
ブランコと砂場を抜け、公園の奥へ。
土の匂いが鼻腔に充満した。
目の前にはしっかりと根を張った大木。無数の枝は昨日見たのと同じように感じた。セミがまだ鳴いている。羽虫が絡んできたのを手で払った。
スマホを取り出す。
カメラを起動。
ズーム機能を使い、大木に印があるか目を皿にして探す。
確か3メートル位の高さだった。
徐々にカメラを木の下から上へと上げていく。
頼む。ひたすら祈る。
「――――!?」
あった……左に△、右に◯の傷が。
≪幽体離脱≫は存在する――。




