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第1章 その2

『やっほーおはよー』


 明るく軽やかな少女の声、メメ子だ。


「おはよう。今トースト食べるとこ」


『おっけー』


 さて、彼女は咀嚼音を気にしないタイプだったはずだ。


『ねぇー来週の15日て休みー?』


 ちょっとそっちに行くからとメメ子は付け加えた。彼女は地元の友達だ。俺は静岡県西部の磐田市に住んでいる。メメ子は隣の浜松市在住で、距離で言えば電車で15分てところだ。


「15は……月曜日か。普通に作業所だわ」


 カレンダーを見て確認。今日が8日月曜日だから丁度1週間後だ。


『あーねー。仕事何時終わりだっけー?』


「15時までで家に着くのが15分くらい」


『それからだと疲れてるかなー?』


「んーモグモグ……たぶん大丈夫。あ、ウチ来る感じ?」


『そうしよっかなー。青ちゅ〜さんも連れて行っていいー?』


 青ちゅ〜さんか。青ちゅ〜さんも地元の友達と言える。年齢は倍くらい違うが。


「おっけー。青ちゅ〜さんは久々だな」


『あんがと! また連絡するねー。お仕事頑張ってね!』


「んーじゃねー」



 通話を終えて、パンの最後の一切れを口に放り込み、ルイボスティーを一口。


 って、≪幽体離脱≫の話すれば良かった!!


「やらかしたー」


 嘆息混じりに呟く。まあまた聞けばいいか。


 先程見たカレンダーを凝視する。2025年9月、数字の並ぶそこには、赤いマジックペンで描かれた、二つの歪な◯が描かれている。


 昨夜の興奮が蘇ってくる。


 そう結局昨日は――。


 って朝の薬を忘れていた。やはり俺は冷静ではない。


 何とも締まらない気持ちで、個別に包装された朝の処方薬を、慣れたもんだと手早く開封して口に含む。上を向きつつ左手でルイボスティーのペットボトルを見ずに取って飲む。


 ――さて、再び昨日の検証といこうか。

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