EP・12 目覚めた力
「神裂君、君はやっぱり私の探していた異能使用者みたいだね。」
「やっぱり……?どういうこと?」
時計を確認すると今はおよそ二十二時、明日も学校はあるがまだ大丈夫だろう。
「まあまあ、まずは君の異能について教えてあげるよ。」
と、ふと思ったので一つ聞いてみる。
「試し斬りしながらのほうがわかりやすいかな?」
「え、まあそりゃあ、そうかな…?」
と答えが返ってくるので、私の意思なき肉体のみの複製体(普段は身代わりとかに使う)を作り出す。
「え…?」
困惑する神裂君に言ってみる。
「これでよし、さぁ神裂君、やっちゃって〜」
「うん、わかった…ってできるかーーー‼︎」
「え〜、分身だから大丈夫だよ?別に何の感覚もないし。」
「そういう問題じゃないでしょ…」
神裂君が呆れながら言う。
「うーん、でも天界の住人の肉体じゃないと切ってもその特殊効果がわからないよ?」
「いや、僕に君を切れと?」
「神裂君だったらいいよ?♡」
「絶対にやだ」
む〜強情だな…仕方ない。
「じゃあ今回は説明だけするね?」
「うん、それでよろしく。」
ということで、実演とともに解説はできないが、加護をかけた時や、心傷領域を使ったことで得た、彼の異能の情報を伝える。
能力は三つ。
一つは名前の通り神、天使特攻。
本来異能や兵器の類はほぼ天界の住人には通用しない。そんな天界の住人にダメージを与えられる能力。
地上の異形には通常兵器がある程度効く。それは奴らが天界では偽神と呼ばれる不完全で、心を持たない神の成り損ないだからだろう。だが神は神、神殺しは奴等にも特攻だ。
当初五歳くらいだった神裂君が、偽神(異形)を二体斬殺できたのは、これ故だということも伝える。
二つ目は異能や天界の住人の持つ権能の破壊・封印。
異能は天界の住人の権能が源流だ。おそらく過去に何らかの形で権能を扱う者の血が、この世界の住人の血に混ざったのだろう。そんな事をしでかしたのはいったい誰なのやら。地上の者と結ばれるのは堕天してしまう、禁忌の筈だけど…
なぜか胸が一瞬痛む。
ともかく、源流が天界の力なら神殺しは有効だろう。
そして三つ目、神呪。
神にもその刃が届くとて、神もそう簡単に死ぬようなものではない。それを確実に殺すための力。
切り口から広がり、神の体すら蝕む呪いの毒。これは本人が意図して使用を制限しない限り必ず発動するらしい。
こうしてみると本当に神や天使を殺すためだけの異能だ。
でも何でそれが地上に…?と思った時。
「それが僕の力の全て?」
黙って聞いてくれていた神裂君が声を発する。
「うん、そうだよ。」
「殺すための力、か。そっか。」
そりゃあ複雑だろう。殺すための力は、優しい彼には余る力かもしれない。
「ええっと、それと!模擬戦で言ってなかったけどね?」
話題を変える。神裂君の神妙な面持ちを見ているのは私にも堪える。
「私の加護はね、新しい力を創り出して付与するものじゃないの。封じられた力を解放したり、元の力を倍増させる、掛け算なの。つまりね、元の力が強い程、加護による強化幅も増えるの。」
「どういうこと?」
「君の努力は、無駄なんかじゃなかったって事。」
「そっか…無駄じゃなかったか……」
「それにね、殺すための力でも、それは使い方次第だよ。」
「それも、そう…だね。ありがとう、天羽さん。」
彼の表情が明るくなる。使い方次第と言っても、やはり彼に神殺しは……余る力かな…
せっかく神裂君が少しでも前に進むことを決意したのに、私には彼が神殺しを持つことを素直に喜べなかった。
覚醒させる前に覚悟は決めた、つもりだった。
彼をこの手で殺すことになっても、覚醒させると。
でも私は神裂君を………
「そういえば、天羽さん、僕が探していた異能使用者だっていうのは…?」
そう言った神裂君の声で我に返る。
「あっ、えっと、気にしないで‼︎明日学校あるし、もう私帰るね!」
「え、あ…うん?」
「じゃあ、また明日ね‼︎」
玄関のところで挨拶し、さっさと隣の我が家の鍵を開け、家に入る。ベッドに身を投げ思う。
言えるわけがない、
君は私が探していた異能使いで、君には戦争に参加するか、この世界諸共、私に殺されるかの選択肢しかないの。
なんて




