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終末の喇叭に泣く君へ  作者: 藥籠ヰナリ


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12/22

EP・11 明るい方へ

ここ数日の関東圏の大雨による影響で、昨日更新ができず、申し訳ありません。

本日更新させていただきます!

《天羽視点》

くっ苦しい……、神裂君の今までが、全部中に流れ込んでくる…

でも、何がなんでも彼を救うと決めたのだ。

神裂君から私に心傷が流れ込む過程で私と彼の間の空間に心傷領域が展開されている。

さっき見えていたのは、空間となり展開された、神裂君の過去。

あんなことがあれば、これほど苦しんでしまうのもわかる。

実際先ほどから私には、精神をまともに保つのがやっとなレベルの量の、負の感情エネルギーが流れ込んでいる。

距離を詰めるほどその力は増す。

頭に神裂君の声が響く。


『助けて…』『痛い…』『苦しい…』『母さん…母さん?』『ねえ、助けてよ…』『母さんも、父さんも…どこ…?』『あいつらが…』『死んじゃうの…』


悲痛な声が響き続けた。それでも歩を進め、心傷領域の中心、神裂君のもとに辿り着く。


「神裂君、君は独りじゃない、君のお母さんは、君が孤独になることなんて望んでないんだよ、他の人だって、私だって…」


「うるさいっ!」


神裂君から溢れる負の力が増す。これほど…


「お前に何がわかる?わからないさ、親を殺された現実からすら逃げ、記憶を捨ててまで拒絶を選んだ僕のことなどっ…!」


「確かに、神裂君に私、出会ったばっかだよ。」


「ならもうほっといてくれっ」


「ううん、それはできない。私はもう、君の友達だよ。もっと頼ってよ、一人で…背負わなくたっていいの、もう一人で苦しまなくていいんだよ」


「なんなんだよ、うるさいっ、うるさい…」


気づけば私の前で苦しむ神裂君の姿は少年のものになっている。

きっと彼が、この少年が神裂君の心なんだろう。

傷つき、進むことを拒絶した、彼の。

少年の姿の神裂君を抱き寄せ、私の思いを伝える。


「神裂君、君が失ってしまったものが戻ってくることは…ない。でもね、君がずっとそのままじゃ君のお母さん、ううん、お母さんだけじゃない。私や、少しでも君を知る、沢山の人が悲しんでしまう。失ったものを数えることも大事だよ?でもね、君の未来を…今を生きる君自身を、捨てようとしないで。君はもう、明るい方に歩いて行っていいんだよ。」


抱きしめていた神裂君の姿が戻り、負の力が収まるとともに心傷領域が消滅する。

消滅寸前に、心傷領域に見えていた彼のお母さんが笑ったように見えた。

神裂君の目から涙が溢れる。私も気づけば泣いていた。


「天羽さん、ありがとう。僕ももう一度、向き合って、前に進むことにするよ。」


「うん、ゆっくりでいいから、前に進んでいって。」


「ありがとう。」


彼がそういったとき、彼の傍に一振りの刀が出現する。引き抜いて見ろと言わんばかりに鞘付きで。


「なんで…?僕まだ異能発動すらしてないのに…」


「刀が君の変化に応えてくれたんじゃない?」


「そうなのかな…?」


「きっとそうだよ、抜いてみたら?」


「そうだね…」


神裂君が刀を引き抜く。

現れた刀身は今までとは変わり、錆びどころか、曇り一つなく輝いていた。

天使の私だが不思議と恐怖は感じなかった。神裂君のような優しい輝きを持つ刀。


「これが…僕の力…?」


なんとなくわかっていた。

それでも私は、彼の異能を覚醒させたことを後悔はしていない…と思う。

この手で彼を殺めることになったとしても。そして彼の言葉に答える。


「そう、それが君の異能。『神殺し』だ。」

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