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終末の喇叭に泣く君へ  作者: 藥籠ヰナリ


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EP・9 心傷領域

《天羽視点》

「今から、君の心傷領域(しんしょうりょういき)を展開させます。」


「えっと、どう言うこと…?それに心傷領域って…?」


「心傷領域というのは、簡単に言えば、その人が忘れたかったり、あるいはもう忘れてしまった嫌な記憶を私…天使の肉体を依代として転写し、現実に映す領域のこと。悪い言い方をすれば、その人の思い出したくない記憶を無理やり空間にするということ。」


「なんで…そんなこと……」


「君の心傷を治したいから。」


ここははっきりと言い切らなければいけない。


「神裂君の異能が今のような状態なのは、君が過去に、その身に受けた経験の記憶を拒絶しているから。」


「どうして…そんなこと……」


「君の異能で作り出された刀に加護をかけた時に、一瞬だけ君の異能が見せてくれたの。自分の弱さを、人や世界そのものを拒絶した少年を。」


「………」


「君自身、記憶を失くしているみたいだから覚えていないだろうけど…君は異能を理由に孤独を選んだのではなく、心のどこかで、人と関わらないことを望んだんじゃないかな?」


「………っ‼︎」


神裂君の驚愕したような、絶望したような顔が辛い。だが、彼を前に進ませるには、これしかない。


「神裂君、ごめんね…」


黙って俯いた彼から、もうその心のうちを読み取ることはできない。

だがやるしかない。私も覚悟を決め天使の権能を発動させる。私の姿が天使に戻る。

私と神裂君の周りを囲むように魔法式を展開し心傷領域の範囲を設定、発動させる。

私の肉体を媒体として呼び覚ました神裂君の心傷は負の感情の流れとなって私に流れ込む。

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