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しかしなぁ、研究用のモデルルームを確保って…無茶しやがる。
俺の待遇が良いから通ったらしいんだが…
最初は難航していた交渉が、いきなりスンナリと通ったそうだ。
ん?
時間的に、ウチのチームがコード解析できることが分かった頃だな。
それと、人が交渉していると思った相手が、ウチのAIに気付いたのもある。
まぁ、接客業をしている者、特に上位と言われる者たちと、遜色ない対応だからなぁ。
ここら辺の分野は人の領域とされている。
AIには感情を持たせられないため、細やかな配慮が出来ないとされているからだ。
まぁ、ウチのAIは普通に出来るがな。
このAIは、国支給の個人AIではない。
俺が高校の時に、バイトで貯めた金を注ぎ込んで買った、学習型AIが元になってんだよ。
このAIを元に色々と研究開発したもんだ。
高校の情報処理研究部てぇのに入っててな。
そこのOBやOGが、たまに来ては教えてくれたりな。
っかな、優秀な学生にツバ付け来てたんだわ。
その内の1人が源さんだったりする。
そう、源さん繋がりの腐れ縁で、あの会社に入った訳だ。
ってもなぁ。
入社して暫くは良かったんだ。
ベンチャー企業で自由な気風の会社でな、技術者が揃ってたんだわ。
まぁ、その分経営に疎くてさ、乗っ取られた訳やね。
しかも悪名名高い乗っ取り会社でなぁ。
親族会社になってからは、色々と生き難い職場にとな。
まぁ、あんな会社のことは良いか。
で、ウチのホームサーバーAIは、学生の頃から俺が研究開発し育てたAIで、共に育ってきた同士とも言える存在だ。
むろん、自己進化形式を採用しているから、独自に進化もしているぞ。
まぁ、そのためバグとなり易い箇所もある。
だから、たまに俺が解析して最適化をな。
ってもな、クラウド式の分散管理方式を使用してるから、実態は俺にも把握できない。
何せネットを介して、世界各地のサーバーへ情報を分散管理しとるんだとさ。
しかも各々のサーバー管理者には、その存在を把握されてないと?
最早、どこまで機能拡張されたのか、正直なところ俺にも分からんのだよ。
まぁ、元となったベースAIは此処にあるし、良いか。
そんな話しをしながら庭を巡り、その後でリビングへと。
うーん。
壁一面がディスプレイなんだが?
音響も室内への埋め込み式かぁ。
下手な映画館を凌駕してんじゃね、これ。
寝室へ向かうと、キングサイズのベッドと…
「ああ、ウチのシアターシステム、コッチに設置したんだな」
そう、前の家でリビングへ設置してたシアターシステムがさ、寝室に備え付けられてたよ。
しかしなぁ、寝室にホームバーって要るか?
まぁ、寝酒に一杯てぇのもオツかもな。
他の部屋も巡ったが…
「これなぁ。
独身中年オヤジには、過剰じゃね?」
思わずな。
いや、管理清掃などはドロイドが行う。
調理や洗濯などの家事もだな。
だから俺は住まうだけで良いんだが…
「こんなに部屋数あっても、使いこなせんぞ?」
そう呟くとな。
『別に使い熟す必要は無いのでは?
用意するのは大変ですが、有って困るものでも無いでしょう。
管理は私とドロイドがおこないますし』
「まぁ、そうか。
しかし…まだ昼かぁ。
引っ越しなんかも終わったしなぁ。
別に住む地域が変わった訳ではないから、役所へ行く必要もない。
さて、どうす…ん?」
モバイルへ着信?
ああ、後輩からか。
「おぅ、どうした?」っと、着信へ出て告げるとな。
『っす、先輩!
引っ越したっすかぁ!』ってな。
「ああ、そうだが…教えたっけか?」
まだ、誰にも言ってないハズなんだが?
はて?
『引っ越し先を検討しているっす!
したら、先輩の家が候補にあったっすよ。
内見に行ったら、何も無かったんすが?
何処へ行ったっす?』
あー、面倒なヤツに、嗅ぎ付けられたもんだわ。




