0029
「しかし、先輩。
合成食材って、本物に近いそうっすけど…
どうやって作ってんっすかねぇ?」っと、後輩が唐突にな。
「いや、俺に訊かれてもなぁ。
学校で習ったことや、アプリで知った程度くらいしか知らんぞ」
「っす、よねぇ」
流石に一般的に知られてる程度のことなら分かるが、こいつが知りたいのは、そう言うことではあるまい。
「ふむ。
ある程度ならば、俺がわかるぞ」っと、藤堂さんがな。
「えっ、そうなんっすか?」
そう、後輩が相槌を入れるとな。
「まぁ、そこそこには、だな。
流石に専門家ほどの知識は無いが、親戚が合成食材の製造販売してるんでな」
なるほどな、そこ経由にて情報を仕入れてるって訳だな。
一派的にはな、3Dプリンターのように特殊な光線を照射し、照射位置へと食材が形成されると言われている。
骨や細胞など、部位により照射する光線を変えるそうな。
無論、どんな光線を、どのくらい、どのように照射するかは、明かされてはいない。
企業秘だとさ。
「なら、ぜひ教えて欲しいっす!
肉と魚…いや、骨がある生き物っすね。
なんで骨まで造るっすか?
邪魔っすよね?」
そんな話しをするのだが…
「おっ?
それは、俺も知りたいな。
骨があると調理し難いだろうし、焼き魚なんかも食べる時に小骨が邪魔だ。
それに、灰汁となる成分を生成しなければ、灰汁取りなどの手間が省けるんじゃないのかねぇ?」
つい便乗して、俺も尋ねてしまったぜ。
「あー、それなぁ。
俺も昔に訊いたわ、それ」
「そうなんっすか?
で、どうしてなんっす?」
「いやな、実は当初、タンパク質だけを固めて合成食材を作ってたらしい」
「そうなんっすか?」
「まぁな。
知っての通り、有機物を低温で溶かす液体が発見されたことが、この研究の始まりなんだわ。
当時は、兵器転用を危惧されたんだが、温度を上げると変質することから安全と判断されたらしいな。
まぁ、ここら辺は一般常識だから、流石に知ってるだろ?」
「っす。
学校で習ったっす!
ガンジス川も、これで浄化したんっすよね?」
「そこだけでなく、いたる所の汚染地帯がだな。
液体に混ざった金属類は結合するらしいから、あらゆる場所が浄化されたそうだぞ」っと、俺がフォローを。
「っした、そうでやしたねぇ。
あの処理後の液体を活用できないか、研究して生まれたんっすよね」
「まあな。
研究結果ってやぁ、聞こえは良いんだがなぁ…
3Dプリンターを使って実験をしたのが民間、しかも個人なんだわ。
タンパク質を固める光線を発する機器はな、調理器へ組み込まれつてんだ。
それを3Dプリンターへ付けて試したらしい。
むろん、そんなことで成功するはずはないんだがなぁ。
飲んでたジュースが誤って混ざったらしいんだわ。
したらな、見事に反応したそうな」
「いやいや、聞いたことないっすよ?」
そうだな、そのエピソードは俺も知らんかったな。
「発見者は当時高校生でな、夏休みの自由研究だったらしいぞ」
マジかぁーっ!
すげぇ高校生もいたもんだっ!
「でも、おかしくないっすか?
そんな大発見したのにしては、知られて無いっすよね?」
確かに、どう言うことだ?




