0022
坂を登り切った一画に自軍の基地が存在しており、移動には、さほど時間は掛からないことが察せられる。
一応は、出撃した基地への帰投も考えており、エネルギー弾薬には余裕はある状態だ。
だがな、海岸線へ向かう気にはならない。
いやな、左前方に砂丘が見えるんだよ。
しかも、土色では無い真っ白な、なっ。
そら、あーたさぁ。
映像でしか観たことがない白い浜辺が見れるかもしれんのだぞ。
行ってみたくなるじゃねーかっ!
えっ?ゲームん中だから、それも映像?
かぁ〜っ!細けぇことは良いのっ!
気分的なもんさね。
いや、そのな、だったら行けば良いてぇのは、正論だよ、うん。
だがなぁ〜
「なぁ、マチルダさん」
「何でしょう?」
「敵…多くね?」
そうなんだよ。
岩場海岸にさ、ヤドガリ型やカニ型の敵機がウジャウジャとさ。
「海岸沿いは、こんな感じですわね」
「砂浜も?」
「もちろん、砂浜もですわ」
ノーぉぉぉっ!
白い浜辺での海水浴できんじゃんねっ!
えっ!サーシャムから降りれないのに、どうやって海水浴する気かって?
だぁ〜らぁ、気分なんだよ気分!
ビキニ姿のマチルダさんとだね、2人で白い浜辺を…
空想くらい、許されて良くね?
えっ、お前のは妄想?失敬なっ!
「砂丘の向こうにさ、白い砂浜が広がってんじゃないかって、思ったんだがなぁ〜」
「あら?
そうなってますわ」
あ、やっぱり、そうなんだ。
「それが、何か?」
不思議そうにな。
「いやな、白い浜辺での海水浴ってさぁ、憧れるじゃん」
「あら、良いですわね、それ」
「敵機さえ居なければ、マチルダさんと一緒に息抜きも良いなぁ〜なんてね」ったらさ。
「あら、お上手ですわね。
ですが…私は別惑星に居りますので、たとえ敵機が居なくても、ご一緒は難しいかと」
マチルダさんが言うには、銀河へ散った人類がリアルで会って仕事をするのは不効率らしい。
そのため通信施設経由にて、やり取りを行うのが普通なんだとさ。
ほぉ〜んっとぉにぃっ、世知辛ぇ世の中だぜっ!
そんな雑談をしつつ基地へと。
エネルギー残量と残弾量がポイントへ還元されるため、無駄な浪費は避けたいかんな。
なんとか基地の門へと。
基地周辺へは敵機の姿はない。
綺麗に掃除されているな。
門に着くと、門は固く閉ざされていた。
なので、通信経由にて開門を促したんだが…
「僚機ですな。
ご苦労様です。
ご随伴の機体と車両の姿が見当たりませんが…撃破されたので?」
そんなことを尋ねてくるんだが、なんだぁ?
「いや、俺は中尉だ。
だから随伴機や随伴車両は付かないぞ?」ったらな。
「はぁ?
中尉でありますかぁ?
ここまで、随伴機のサポートなしで来られたんで?」
何で、そんなことを訊いてくるんだ?
「いやさぁ、中尉には随伴機は付かんだろ?
当然、俺だけだが?」ったらな。
「えっ!
あの荒野を、1機で越えて来られたと?
そんなことが、可能なのでありますか?」
随分と驚いてるんだが…どゆこと?
門が開かれ、基地へ入りながら話しを聞くとだ。
どうやら佐官クラスでも、荒野の移動は厳しいらしい。
なのに尉官、しかも中尉クラスのサーシャムが単独で辿り着いた…
基地内は大騒ぎになってんな。
っかさぁ、このルート勧めたのって、マチルダさんだよな。
どゆこと?
したらな。
「先日に行われたアキラ中尉の戦闘データより、セントラルサーバより導き出されたルートですわ。
現に、危なげ無く辿り着いてるではありませをか」だってさ。
マジかよっ!




