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第57話: 激闘 談山神社!①敵はごっつい悪いやっちゃ!絶対許さへん!ってアレ君が言ってたり、いつの間にか若様になってたりする話

 アレ君が話してる間にも、敵がどんどんこっちに近づいてくる……でも、確かに単調やな?

「こら予想だども、連中にとってクリアーに見えでんのは、夏菜子さんと美紗さん、そいでオラ、あどは生ぎてる人間の鬼(修験)たちだけだべ。太子さや真魚さ、後鬼さんたちはうすらぼんやりとしか見えでねぇに違いねぇべ。いってみれば、連中にはこっちが幽霊みたいにしか見えでねぇってこどだな。」


「ほんでアレ坊、過去の戦況、っちゅうんは?」真魚さんが聞くと、アレ君はPCの画面を見せた。

「最初に自凝島(おのころしま)で戦ったとき、常世(とこよ)で人間がそのまま神霊と戦うど、とでも勝ち目ねぇこどさ分かったんだべ。それで、石清水で戦力さ削ぐ結界や、神霊で倒せねぇ物質で作ったパワードスーツさ投入した。さっきは結界でしんペーの威力さ、呪力の結界で相殺しようとしたべ? これ全部、起きた出来事に対応しでるだげでねぇが? でも必要なのはそうじゃねぇべ。オラなら、相手がどんなこど考え、どんなビジョンさ持っで、何をしようとしでるか考えるべ。でねぇと相手の予測は上回れねぇ。そうでねが?」


「アレ君冴えてるなぁ……なんでそんなこと思いつくん?なんかいっつも戦ってるみたいやで?」ってウチが言うと、アレ君はちょっと恥ずかしそうな顔をした……可愛い!もう!アレ君!一つ年下で、童顔やし、そんなに背も高くないから、下手したら近所の高校生くらいやねん……いちいち可愛いねん!


「夏菜子さ……前から言ってだべ?おらホワイトハッカーだはんで、いっつも敵と戦っでるんだべ。だがら敵の行動パターンさ理解するのは初歩の初歩だべ。」


 ここで、後鬼さんがアレ君に問いかける。

「ではアレクセイ様、ここはどのように対処なさいますか?敵が(およ)そ闘いの素人であるのは事実なれど、いかんせん数は多うございます。街道沿いにはパワードスーツ、山道から行くとしても、邪霊どもが跋扈(ばっこ)しておりますゆえ……」


「そこだ、その邪霊だべ。後鬼さん、あいづらはアンダらが言うところの、怨霊とか式神なんだべ?霊波周波数と動きのパターンさ分析した感じだと、妙に不自然だべ。石清水でみた魔軍のログ解析結果と似てるべ?」


「そうですね……すくなくとも、我ら葛城(かつらぎ)淡嶋(あわしま)・大峰・熊野が使役する式神や、この大和や紀州に跋扈する悪霊や妖の類とも違います……何といえば良いんでしょう?下手な人形浄瑠璃(じょうるり)師が操る人形の様ですわね……」

 そしたら、アレ君が大きく頷いた。


「そいだべ。太子さ、たしか護良(もりなが)親王さが『鬼の面がついた浄瑠璃人形』みでなこど言っでながったべか? あれごそ、パワードスーツとおんなじ、敵の技術の核心だべ。」

「核心?前に言うとったデジタル蟲毒(こどく)っちゅうやつか?」真魚さんが訊くと、アレ君が「んだ」って答える。


「敵ができっこどは、大きく2通りだべ。電力さ呪力に変換する。そいか、霊力さ電力に変換する。そいで、たぶんだども、電力を呪力に変換するには、純度の高い人間の負の感情を疑似的にボカロとかで再現する必要あんべさ。そのために、SNSのひでぇ投稿や、動画集めるべ。でもそいだけじゃね……」

 それだけとちゃうって?アレ君の表情が一層厳しくなった。


「花奈ちゃが言ってだべ。Xの嫌な投稿見せられで、変なヘッドギア付けられで、夜な夜な叫び声あげで、いなぐなっだ人いだって。あど、パワードスーツのコクピットの頭のとごに、呪印あったべ?負の感情さ刺激して、呪力さ人間から吸い上げんだべ……そっだら人間どさなる?地蔵さん言ってだべ。霊が枯渇してスカスカの魂、地獄さ来だって。そいで、吸い上げた呪力さ使っで、常世(とこよ)の結界さ開いだり、十兵衛さんたち神兵の剣さ弾くエネルギーにすんべさ……オラ、それが許せね!金烏玉兎集(きんうぎょくとしゅう)の神髄さ、神さん仏さんと心さ繋ぐためのもんでねが?それが「しんぺー」だべ!」


 すごい……こんな怒ってるアレ君初めて見た……あれ?田島顔真っ赤やで?アレ君そないカッコよかった?

「アレ君って……すっごく優しいんだね……それにすっごく勇敢って言うか……」

 後鬼さんもニッコリ笑う。


「とても、ええ……とても良いですね……さすが、御館(おやかた)様のお眼鏡に適うおのこ。アレクセイ様……いえ、若様、我ら紀伊・大和の修験は全力で若様をお支え致します……」

 え?なに?なんで若様なの?ウチが訊くと……


「はて?夏菜子姫の婿殿なのですから、それは若様とお呼びすべきものでしょう?あらいやだ、私としたことが。若殿とお呼びすべきだったかしら?」

 え?ええーーー!!!


「ちょ!後鬼さん!何言うてんの!いつからウチとアレ君が!」なんか、顔の周りが熱くなって、アレ君と田島も真っ赤になってる。

「わ、わ、わ、若様って何言ってんだべ後鬼さん! オラと夏菜子さはそんなんじゃ……!!美紗さん!なして怒っでるべさ!?泣かなぐても良いべ!あっ……!!」

「ど、どないしたん!? アレ君!」


「動き出したべ!後鬼さん!」さっきまで真っ赤になってた男の子みたいやったアレ君の顔が、闘う男の顔になってる!

 次に、後鬼さんが不敵に微笑んだ。

「ふふ……カラクリが分かれば、あれが如き悪霊もどき、何のこともありません……山道の邪霊どもは、我らが引き受けます!若様と夏菜子様は、街道のパワードスーツを!法眼殿!道は一本、先ほどの諸葛亮(しょかつりょう)の術(奇門遁甲(きもんとんこう)のこと)を用いらば、数の劣勢を跳ね返せましょう!」


 皆がバタバタと慌ただしく動き出した。アレ君と後鬼さんはPCの画面をじっと見つめて、鬼さんたちと、法眼さん、十兵衛さんに何か指示してる。

「後鬼さん、美紗さんの車さ、こごに置いてくべ。街道は鬼さんだちの車で行くべ。このクルマ、装甲とかはあんだべ?」


 アレ君が指さした、鬼さんたちの車は、どーみてもただのハイエースやった。そやけど後鬼さんが、

「我らは表立って武装などできませんゆえ、このように……オン・バザラ・ダンダ・ソワカ!」後鬼さんが呪符を取り出し真言を唱えると、死者の鬼さんたちが影からにゅって現れて、車に取り憑いていく!?

 ハイエースは、不気味な鎧で覆われた戦車になった!


「すっげぇ……こっだらもんが2台もあったら、なんどかなりそうだべ」

「これなるは、我ら鬼の秘儀、鎧魂よろいだま。古くは、黄泉に下られたイザナミ様に憑きし(やくさの)雷神(いかづちのかみ)に由来するものです……それぞれ1台づつに若様と夏菜子様にお乗りいただき、法眼殿と十兵衛殿を召喚下さいまし。我らも同乗してサポート致しますゆえ。」


「よっしゃ!ほったら全軍突撃じゃ!アレ君!夏菜子!一発アホな人間どもと鎌足にぶちかましたろやないけ!」

 うわ、太子のおっちゃんいきなり出てきた!今までなんにもせんかったのに!


 ◆


 鎧魂(よろいだま)で武装したハイエースが県道を登っていく。そしたら、宵闇に蠢く機械の一群が見えた。敵のパワードスーツや。あの中にも、捉われて人間電池にされてる人がおるに違いない。

 それを見るアレ君が指示する。「夏菜子さ、法眼さんば召喚してけれ。おら、十兵衛さ召喚するだはんで。」


「よっしゃ、神兵召喚!ってあれ?」スマホの「しんぺー」アプリの法眼さんのアイコンをタップしても、エラーが出る。なんで?

「ほっほっほ。これ、夏菜子姫よ。麻呂(まろ)は其方の輩(ともがら=友達のこと)ではない……(とも)、遠方より来る有り、(また)(たのし)しからずや……それ、そこに、其方と麻呂の友誼(ゆうぎ)を深めるものがあろう……」法眼さんの指すとこを見ると、近鉄あべのでこっそり買うといた、551蓬莱の豚まんがあった。


「あ、あかんて!これはお腹すいた時にみんなで食べよう思て買うたヤツなんやで!あげへんで!」ウチが言うと、法眼さんがチッチッチといって指を振る。


「夏菜子姫よ……セコビッチなことを申すでない……冷めた豚まんなど食うても致し方もあるまい?談山神社を陥落いたさば、義経鍋でも柿の葉寿司でもなんでも喰えばよいではないか?……さ、そこなる豚まんを……」

 えー、ほんまに?なんかウチ、だまされてへん?せやけど、あげへんと仕事してくれへんっぽいから、ウチはいやいや豚まんをあげた。


「ほんまにもう……これ以上はあげへんで!この戦いが終わるまでおやつは無しやからね!」

 そういって豚まんをあげると、法眼さんは「おじゃる」な姿のまま、それをハフハフ食べる。


「おお……まことに美味、甘露じゃ……」満足そうに豚まんを食べる法眼さん、うん、可愛いことは可愛いやんね。そんなことを思っていると、スマホが「ピロリロリーン♪」って鳴る。

 画面を見たら「法眼さん、シンクロ率レベルアップしました。友達です【召喚可能】」って表示される!?


 ウチは、ふっふっふって言いながら、法眼さんを見た。

「な、なんじゃ夏菜子姫、麻呂は豚まんを喰らうて、茶を一杯飲まんと……」

「何言うてんの!もう戦いが始まってんねんで!神兵召喚、南無法眼、来臨守護急々如律令!」


 黄金色の五芒星が光り輝き、光る真言が二重螺旋を形作って、人型になる!たちまち天狗の姿をした美少年、え!?美少年なん!?……法眼さんが現れた!

「なんと、夏菜子姫は無粋じゃ……茶の一杯くらい飲ませてくれても良かろうに……」そしたら、後鬼さんがうふふって上品に笑う。わーん、めっちゃ美人やん~


「さしもの八天狗・僧上房なる法眼様も、夏菜子姫には形無しですね……さ、御身には退屈でしょうが、あれなる下衆なカラクリに一太刀馳走なさって下さいませ!」


「ふ……そなたも南都の昔より変わらぬな……!では、京八流が祖、剣仙 鬼一法源が兵法、存分につかまうぞ!」

 後ろを走る車からも銀色の光が上がる。十兵衛さんが神兵召喚されたんや!


「いざゆかん十兵衛殿!神馬召喚!南無天鳥船(あめのとりふね)来臨急々!」法眼さんが真言を唱えると、車の隣に突然、全身が炎に包まれた馬が現れ、法眼さんと十兵衛さんはそれに跨り、すんごいスピードで道を駆け上っていく。

 突然敵のパワードスーツが現れた!なにあれ?50体くらいおらへん!?


「オン・マリシエイ・ソワカ……宵闇よ、陽炎よ、由良由良(ゆらゆら)と揺らめきて敵を惑わせ……」法眼さんの真言に合わせ、道に陽炎が立ち上り、宵闇が濃くなる。

 とたんに敵のパワードスーツの動きが鈍り、あさっての方向に歩きだしたりし、後鬼さんが戦いの号令を出す!


「お見事、法眼様!ならば参りましょう!県道155号線 突破作戦、発動にございます!」


第57話、お読みいただきありがとうございます!

いよいよ始まりました、談山神社への怒涛の突破作戦!


人間の負の感情を搾取する敵の「デジタル蟲毒」に対し、「テクノロジーは人と人の心を繋ぐためのものだ!」と激怒するアレ君。普段は可愛い年下ハッカーの彼が、本物の「おとこ」を見せる瞬間!実に熱い回となりました!


そして今回の目玉、ただのハイエースがイザナミの力で変貌したオカルト装甲車「鎧魂よろいだま」!そこへ豚まんで買収された美少年天狗(法眼)と炎の神馬が並走する光景は、本作のオカルトアクションの醍醐味をすべて詰め込んだつもりです。

次回、敵の大軍を相手にウチらの反撃が爆発します。県道155号線の激闘をお楽しみに!

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