Ep.16 座標
いやあ、はい。
元気だったんすよねえ。更新しちゃいました、、!
少しづつ不穏な空気でてます。だしてます。
こっからどんどん展開していきます!
ただの謎解きじゃないって気づく頃にはもうなんかとんでもないことになってたら面白いですよね!
前書きってなに書くんですかね?
語彙力はあえて低くしてます。ネタバレになっちゃいますから。
あ、この前書きが暗号だったらどうします?
解読してみます?
牛21
3301
2012年5月18日。
「……やっぱり、変わってないか」
僕はCicadaのTorページを開き、円の中に残った3つの点を確認した。
シアトルで小さな観測変化が記録されてから4日。ページにはまだ何の更新もない。
SAMIR:I don't think they're arbitrary.
――この点、適当に置かれているわけじゃないと思う。
NIL:Coordinates?
――座標?
SAMIR:Not directly. But if I treat the circle as a distorted world projection and align the first point with Seattle, the other three fall close to plausible regions.
――直接の座標ではない。ただ、この円を歪んだ世界地図として扱って1つ目をシアトルに合わせると、残り3点もそれらしい地域の近くに落ちる。
続けて、比較用の地図が送られてきた。
「……おお」
僕は画像を開いた。
円の中の点を世界地図へ対応させると、いくつかの候補地域が現れるらしい。
ただし、円をどう変形させるかによって結果も変わる。だから、サミール自身もまだ確信はないようだった。
AMAGI_S:How close is "close"?
――『近い』ってどのくらい?
SAMIR:Too loose to identify cities. Good enough to identify broad regions.
――都市を特定できるほどではない。大まかな地域なら絞れる程度。
サミールが示した地域の1つは、南米の西海岸だった。
SOFIA_A:Chile?
――チリ?
SAMIR:Possibly Chile or southern Peru. The point isn't precise enough.
――チリか、ペルー南部の可能性がある。ただし点だけでは絞れない。
WALKER:Convenient that we have a Chilean in the room.
――ちょうどチリ人がいるな。
ソフィアの住んでいるチリが候補に入っているのは、ちょっとした偶然かもしれない。
もちろん、まだチリだと決まったわけではないし、そもそも点が地理的な位置を示しているという保証もない。
ただ、シアトルの点については、それなりに対応しているように見えた。
僕はサミールの地図を保存し、別の投影法でも同じ結果になるか調べ始めた。
その2日後、Cicadaのページが更新された。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年5月20日、午後11時07分。
「……今度は本か」
新しく公開された画像には、古い本のページが写っていた。
黄ばんだ紙には細かな文字がびっしりと並び、余白には数字が書き込まれている。本文のいくつかの箇所には、不自然な小さな点まで付いていた。
僕は画像を保存し、PGP署名を検証した。
署名は有効。
今回も、Cicadaが使ってきた鍵と一致している。
WALKER:Book cipher?
――書籍暗号か?
NIL:Probably. But we need the book.
――たぶん。でも本が分からない。
こういう形式には、最初の問題でも散々悩まされた。
数字がページと行と単語の位置を表しているとしても、元になる本が分からなければどうしようもない。
しかも今回の画像には、題名も著者名も写っていない。ページ番号まで切れている。
「……また本探しかあ」
僕は本文を拡大した。
使われているのはスペイン語らしい。
僕はスペイン語をほとんど読めないけど、知っている単語が1つだけあった。
puerto.
港、という意味だ。
以前、ソフィアと話したときに出てきたことがある。
僕はチャットを開いた。
NIL:Sofia?
――ソフィア、いる?
SOFIA_A:I'm here.
――いるわ。
NIL:Can you identify the text?
――この文章、分かる?
ソフィアからの返信は、少し時間がかかった。
SOFIA_A:Old Spanish. Maybe late nineteenth or early twentieth century. It's describing coastal settlements.
――古いスペイン語ね。たぶん19世紀末から20世紀初頭。沿岸の集落について書いている。
NIL:Chile?
――チリ?
SOFIA_A:Could be. Give me a moment.
――可能性はあるわ。少し待って。
彼女は画像から読める部分を使い、デジタル化された古書や図書館の目録を調べ始めた。
僕も文字を拾い出して検索を試してみたけど、古いスペイン語の綴りには自信がない。こういうときは、読める人に任せた方が早い。
約20分後、チャットの通知が鳴った。
SOFIA_A:Found it.
――見つけたわ。
「……早っ!」
僕は送られてきたリンクを開いた。
20世紀初頭に刊行された、南米太平洋岸の港湾記録集だった。画像に写っていた文章も、確かにその本の一部と一致している。
「……よく見つけたなあ」
古い資料がデジタル化されていたことも幸運だけど、わずかな文章から本を特定できるのはありがたい。
僕は元のページを確認し、画像に付けられた数字の位置と照らし合わせた。
その途中で、ソフィアから新しいメッセージが届いた。
SOFIA_A:There's a place called San Lucio in this book.
――この本に、サン・ルシオという場所が出てくるの。
NIL:San Lucio?
――サン・ルシオ?
僕はその地名を検索した。
しかし、現在の地図には、それらしい港町が出てこなかった。
サミールも調査に加わった。
古書の記述によると、サン・ルシオはチリ北部寄りの太平洋岸にある小さな港町らしい。近くの岬や山、それから主要都市までのおおよその距離も書かれていた。
その条件を地図に当てはめていくと、候補は次第に絞られていった。
そして、ある1か所で手が止まった。
そこには確かに町があった。
ただし、現在の名称はサン・ルシオではない。
SOFIA_A:Wait.
――待って。
SOFIA_A:That's San Lucio.
――そこ、サン・ルシオよ。
「……なるほど」
町そのものが消えていたわけではないらしい。
それなら、昔の地名が変わっただけかもしれない。
僕は現在の町名をノートに書き、古い新聞や行政資料を調べ始めた。
すると、ソフィアから奇妙な報告が届いた。
SOFIA_A:The old newspapers disagree about the name.
――古い新聞で、町の名前が食い違っているの。
1964年の記事にはサン・ルシオ。
1965年の記事には現在の町名。
ところが、1967年の記事では再びサン・ルシオになっていた。
「……また戻ってる?」
町名が変更されたなら、古い記事に以前の名前が残るのは当然だ。でも、これでは改名した時期がよく分からない。
SOFIA_A:That makes no sense.
――おかしいわ。
EWA_N:Could the archive have mixed editions?
――版が混ざってる可能性は?
SOFIA_A:Possible. I'll check the originals.
――あり得る。原本を確認するわ。
僕は一度、Cicadaの画像へ戻った。
地名についてはソフィアたちに任せるとして、まずは暗号だ。
使う本は分かった。
あとは、余白の数字に従って文字や単語を拾えばいいはずだ。
僕はデジタル化された本文を開いた。
ところが、同じ本の資料が2つ見つかった。
1911年版と1913年版。
本文はほとんど同じだったが、サン・ルシオについて書かれているページだけ、段落の順番が違っている。
「……あれ?」
僕は両方の版を並べた。
誤植の訂正や改訂によって段落の位置が変わった可能性はある。
ただ、今回の暗号では、その違いが重要なのかもしれない。
NIL:There are two editions.
――版が2つある。
EWA_N:Of course there are.
――でしょうね。
「……いや、ほんとそれ」
なんか最近、あまりにもこのパターンが多すぎる。
僕はまず1911年版だけを使ってみた。
数字をページ、行、単語の順に読み、指定された語を拾っていく。
しかし、途中から意味が通らなくなった。
1913年版でも同じことを試す。
こちらも駄目。
「……やっぱりなあ」
そこで、シアトルの暗号を思い出した。
あのときは、2つの写真目録を両方使うことで、初めて文字列を解読できた。
今回も同じように、2つの版を組み合わせる必要があるのかもしれない。
僕は最初の語を1911年版から拾い、次の語を1913年版から拾ってみた。
それを交互に繰り返す。
「……お?」
今度は意味のある単語が並び始めた。
僕はそのまま続きを取り出した。
数分後、短い英文が完成した。
SAN LUCIO
OBSERVE UNTIL JUNE 21
DO NOT MERGE THE RECORDS
─サン・ルシオ 6月21日 情報を統合するな。
僕は最後の1行を読み直した。
前回は、KEEP BOTH RECORDS.
今回は、DO NOT MERGE THE RECORDS.
言い方は違うけど、また同じようなことを要求している。
それどころか、2つを1つにまとめるなと言っている。
僕は解読結果と手順をチャットへ共有した。
WALKER:This is getting less subtle.
――ずいぶん露骨になってきたな。
シアトルでは、指定された時刻の近くで小さな変化が観測された。
今回も何かが起きるのかもしれない。
そのとき、しばらく黙っていたソフィアからメッセージが届いた。
SOFIA_A:I can go there.
――私、そこへ行ける。
「…………」
僕は画面を見た。
彼女はチリに住んでいる。サン・ルシオが国内の町なら、現地で調査できるのだろう。
でも、前回とは事情が違う。
もし指定された場所で何かが起きるのなら、そこへ行くことには危険もある。
僕は返信しようとして、少し迷った。
結局、その場では何も送らなかった。
ソフィア自身も、そのことは分かっているはずだから。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年5月24日。
チリ北部。
サン・ルシオと呼ばれていた町にソフィアが到着したのは、昼過ぎだった。
港には小型の漁船が並び、岸壁では数人の作業員が荷物を運んでいる。海沿いの道路には低い建物が続き、少し離れた場所には乾いた山肌が見えていた。
正式な行政名は別にある。
それでも、古い資料にはSan Lucioと記されていた。
ソフィアは港の近くで、地元の人々に話を聞いて回った。
"¿Conoce el nombre de San Lucio?,
――サン・ルシオという名前をご存じですか?
年配の男性は、当たり前のように頷いた。
"¿San Lucio? Claro que se llama así."
――サン・ルシオ? もちろんそう呼ぶよ。
"¿Desde cuándo?.'
――いつからですか?
"Desde siempre.,
――ずっと昔からさ。
ところが、その隣にいた別の男性が首を振った。
"No. Mi padre nunca usó ese nombre.,
――いや。そんな名前を使ったことなかったよ。
"¿Nunca?"
――一度も?
"Nunca."
――一度も。
ソフィアは2人から、町の名前についてもう少し詳しく話を聞いた。
どちらもこの町で生まれ育ち、年齢も大きく違わないらしい。
それなのに、町の呼び方についての記憶は一致していなかった。
もちろん、昔から複数の呼び名があったという可能性はある。家庭や地域によって使う名称が違っていたとしても、不思議ではない。
ソフィアは聞き取った内容を記録し、ほかの住民にも話を聞くことにした。
その後、町の公文書館を訪れた彼女は、1970年代の港湾整備図を調べ始めた。
古い工事記録を確認していると、同じ工事番号の付いた図面が2枚見つかった。
作成年も、承認した機関も同じ。
ところが、防波堤の形が違っていた。
1枚では港の北側へ伸びている。
もう1枚では、途中から南へ曲がっている。
どちらにも正式な承認印が押されていた。
ソフィアは必要な部分を撮影し、チームへ送った。
SOFIA_A:We have another pair.
――また2つ見つかった。
EWA_N:Same document number?
――同じ文書番号?
SOFIA_A:Same number, same year, same authority. Different breakwater.
――同じ番号、同じ年、同じ機関。防波堤の形だけ違う。
SAMIR:And what's actually there now?
――今はどうなってる?
ソフィアは港の方を見た。
SOFIA_A:Neither.
――どっちでもないわ。
現在の防波堤は、どちらの図面とも完全には一致していなかった。
形は、2つの図面の中間に近いものだった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
同じころ。
僕は中間試験に追われていた。
正確には、試験そのものより、終わった科目の出来が気になっていた。
「相沢くん、現代文どうだった?」
昼休み、桐生さんに聞かれた。
「……聞かないで」
「えっ、そんなに?」
「ちょっと……」
「相沢くんでも難しかったんだ」
「いや、内容は分かったんだけど、最後の問題で時間が足りなくなって」
「そっか。数学は?」
「そこは大丈夫」
「やっぱり」
桐生さんは少し笑った。
「桐生さんは?」
「英語はまあまあ。数学は……」
彼女は微妙な顔をした。
「赤点?」
「そこまでじゃない!」
「あ、ごめん」
「もう。相沢くん、たまに失礼だよね」
「……よく言われる」
「誰に?」
「姉ちゃんとか」
桐生さんが笑った。
そこへ早瀬がやって来た。
「お前ら何の話してんの?」
「まだ返ってきてない点数」
僕が答えると、早瀬は首を傾げた。
「……未来予知?」
「…………」
僕は一瞬だけ手を止めた。
「相沢?」
「あ、いや。何でもない」
「何だよ」
早瀬は特に気にした様子もなく、試験の話を続けた。
もちろん、ただの冗談だ。
未来予知。
最近、その言葉を聞くとシアトルのことを思い出してしまう。
暗号に書かれた日時と場所。
そして、そこで観測された小さな変化。
あれが本当に未来を予測していたのかどうかは、まだ分からない。
今度のサン・ルシオでも似たようなことが起きるなら、何か考え方を変える必要があるかもしれない。
でも、その結論を出すのは6月21日が近づいてからでも遅くない。
僕は試験の話に戻り、早瀬たちとしばらく雑談した。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年5月28日。
サン・ルシオでの調査を続けていたソフィアは、滞在を数日延ばすことにしたらしい。
週末には弟のマテオも合流したという。
僕がそのことを知ったのは、夜のチャットだった。
SOFIA_A:Mateo is here for the weekend.
――マテオが週末だけ来てるの。
NIL:Is he enjoying the trip?
――旅行、楽しんでる?
SOFIA_A:He keeps asking whether this is the mysterious town.
――ここが謎の町なのかって、ずっと聞いてくるわ。
「……謎の町って」
僕は笑ってしまった。
まあ、マテオからすれば、そう呼びたくなる気持ちも分からなくはない。
ソフィアはその日の昼にあった会話も教えてくれた。
"¿Este es el pueblo misterioso?"
――ここが謎の町?
"No lo llames así delante de la gente."
――住んでる人の前でそう呼ばないの。
"Pero es misterioso."
――でも謎なんでしょ。
"Estamos investigando documentos contradictorios. Eso es todo."
――矛盾する資料を調べているだけ。それだけよ。
"Suena más misterioso cuando lo dices así.,
――そう言われると余計に謎っぽいけど。
……確かに。
少なくとも、普通の観光旅行とは違うだろう。
そのあと、ソフィアのアカウントから新しいメッセージが届いた。
SOFIA_A:NIL, I finished it.
――NIL、読み終わった。
「……お?」
どうやらマテオらしい。
以前、僕が勧めた漫画のことだろうか。
NIL:Which one?
――どれ?
SOFIA_A:The robot one. The ending was unfair.
――ロボットのやつ。あの終わり方ずるい。
「ああ、あれか」
僕はすぐに作品を思い出した。
終盤の展開がかなり重い作品で、個人的には好きだけど、読む人を選ぶと思っていた。
NIL:You cried?
――泣いた?
SOFIA_A:No.
――泣いてない。
その直後、ソフィア本人から割り込みが入った。
SOFIA_A:He cried.
――泣いてたわ。
SOFIA_A:She lies.
――姉ちゃん嘘ついてる。
「……あははっ!」
僕は思わず声を出して笑った。
同じアカウントから、姉弟のやり取りが続いている。
……相変わらず仲がいいなあ。
NIL:Good stories are allowed to make you cry.
――いい物語なら、泣いてもいいんじゃない。
少し間が空いた。
SOFIA_A:Then recommend another sad one.
――じゃあ、また泣けるやつ教えて。
NIL:Why would you voluntarily suffer twice?
――何で自分から2回目のダメージ受けにいくの?
SOFIA_A:Because it was good.
――面白かったから。
「……なるほどね」
何だか、その答えはちょっと好きだった。
確かに、悲しい結末だと分かっていても、また読みたくなる作品はある。
僕は思いつくものをいくつか挙げ、簡単なあらすじを送った。
マテオはしばらく質問を続けていたが、やがて話題が変わった。
SOFIA_A:When are you coming to Chile?
――いつチリに来るの?
NIL:I'm not.
――行かないよ。
SOFIA_A:Coward.
――臆病者。
「……おい」
NIL:That's Alex's word.
――それアレックスの言い方だよ。
SOFIA_A:I learned it from him.
――アレックスに教わった。
NIL:Don't learn from Walker.
――あいつから学ばないで。
マテオから笑いを示す文字が届いた。
……まったく、アレックスは余計なことを教えているらしい。
ただ、サン・ルシオでの調査は順調に進んでいるようだった。
ソフィアは現地の公文書を調べながら、観測記録も確認している。必要があれば、天城さんたちへデータを送れるように準備しているという。
僕はその報告に礼を返し、チャットを閉じた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
6月に入ると、サン・ルシオからの報告が少しずつ増え始めた。
僕は一覧表を開き、それぞれの報告を確認した。
「……また増えてきたな」
ただ、どれも単独では珍しい現象とは言えない。
潮位の変化には気象条件が影響するし、地殻変動だって観測機器の誤差や通常の活動で説明できる場合がある。
地震記録の違いも、観測方法や位置の推定手順が変わっただけかもしれない。
それでも、同じ地域に複数の食い違いが集まり始めている。
シアトルのときと、少し似ていた。
SOFIA_A:I don't like this.
――嫌な感じね。
ソフィアから、そんなメッセージが届いた。
これまで現地調査を楽しんでいるようにも見えた彼女が、そう書くのは珍しかった。
AMAGI_S:Neither do I.
――私も。
「…………」
天城さんまで同意している。
僕は少し迷ってから質問した。
NIL:How strong is it?
――どのくらい強い?
AMAGI_S:Still small. But more coherent than Seattle at the same stage.
――まだ小さい。ただ、同じ時期のシアトルより変化のまとまりがある。
NIL:Dangerous?
――危険?
AMAGI_S:We can't say that yet.
――まだそうは言えない。
✳︎ ✳︎ ✳︎
2012年6月7日。
「……また更新?」
学校から帰ってパソコンを起動すると、CicadaのTorページに変化があった。
円の中に残っていた3つの点。
そのうち1つが、白く点滅している。
僕は更新前の画像を開き、位置を確認した。
間違いない。
今まで動かなかった点が、1つだけ変わっている。
その下には、新しい英数字列が追加されていた。
UQWVJ~TKFIG~UYMIX~UCPNWEK~NYRI 21~KH OQXGOGPV GZEGGFU 7.4~PIEZI XLI GSEWXEP KVMH~IXUYY ZNK KGYZKXT JOBOJK~CUUGODNG CV 23.4172 U / 70.1328 Y~XKSGOT ZNKXK ATZOR ZNK YKIUTJ YORKTIK
「……長っ」
思わず声が出た。
これまでの問題より、明らかに長い。
しかも、単純な文字列ではなさそうだった。数字や英字のほかにも、いくつか見慣れない記号が混ざっている。
アレックスからメッセージが届いた。
WALKER:Looks like your turn again.
――また君の出番みたいだな。
NIL:Maybe.
――たぶんね。
僕は文字列を保存し、画像の下に書かれた文章を確認した。
WHEN THE GROUND DIVIDES, FOLLOW THE QUIET SIDE.
――地面が分かれるとき、静かな側へ進め。
「……静かな側?」
僕は英文を読み直した。
地面が分かれる。
静かな側へ進む。
もし文字どおりの意味なら、何かが起きたときに、どちらかを選べという指示に見える。
SOFIA_A:That sounds like an instruction.
――指示みたいに見えるわ。
静かな側というのは、音が小さい場所なのか、振動が少ない場所なのか、それとも全然別の意味なのか分からない。
今回の暗号は、単に日時と場所を示しているだけではなさそうだ。
何かを選ぶための手がかりが、隠されているのかもしれない。
僕は解析用のプログラムを開き、文字列の構造を調べ始めた。
前回のシアトルでは、指定された時刻に何が起きるのか、ただ観測することしかできなかった。
でも今回は、現地にソフィアとマテオがいる。
サン・ルシオには、たくさんの人が暮らしている。
もし、この文章が本当に何かの指示なのだとしたら。
「……間違えて伝えるわけにはいかないよな」
僕はノートを開き、英文をそのまま書き写した。
分かったつもりになって、適当な意味を付けるのだけは避けたい。
まずは、この文字列が何を示しているのか。
そこから調べよう。
僕はキーボードに手を置き、解析を始めた。
読んでくれてありがとうございます。
ほんとね、星評価とかブクマとか感想とか、ほんと力になります。ただ嬉しいんですよ。
嬉しいんです。
あ、もちろん明日の分も今書いてます。
明日も多分、お昼ごろの投稿になると思います。
ええ、職業ニートですから。
みなさんのために自宅守ってるんですよ。
ここまで読んでくれてるのはほんと嬉しい限りですよね。
じゃあ僕は寝ます。
おやすみなさい!みなさんもいい夢を見てくださいね!




