表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギグ・マーガの星に捧ぐ唄  作者: 改易庇護之介
第二部 七章 星の落ちる夜
122/131

第二部 七章7『二人で水になれたら』

 ※リアナ視点――ノバル・ハン国港




 カイルの腹を貫く、帝国の剣士の刃。

 鈍い衝撃とともに、彼の身体から赤が滲み、波のように広がっていく。

 その後、カイルの身体が次第に赤く染まっていく。


「カイル!」


 私はその姿を目の当たりにし、ただ叫んでいた。

 仮面の女性は駆け寄ろうとする私を止めるべく、服の肩口を掴むけど、私はそれを全身震わせるように引き払い、カイルの元へ駆け寄った。


 カイルの手から剣が離れ、崩れる様に、膝をつき、そのまま倒れ込んでいく。

 そんなカイルの頭を、私は抱えるように抱きしめ、膝の上にそっと乗せる。


 胸の奥が裂けそうに痛い。

 彼の身体は温かいのに、力はすでに抜け落ちていて――その右目は、もう私を映していなかった。


「カイル! 駄目、目を閉じないでお願い、カイル! カイル!」


 私の叫びに、目の前の現実は何も応えない。

 ただ静かに残酷で容赦がなくて、命を選んではくれない。


 分かっている。


 神もこの世界も人の願いに耳を傾けたりはしない。

 ここはそんな夢を見ていい場所じゃない。

 カイルの胸の動きは浅い、それでも命を捩じる様に私の名を紡ぎ出す。


「い、あ……な。に、げ」


 リアナ、逃げろ――。

 それはきっと私を生かそうとする言葉。なのに私は首を振った。


 赤はじわりと広がり、命の灯は確かに小さくなっていく。

 私はその全てから目を背け、ただ彼を抱き締める。


「カイルありがとね、あの日……私と出会ってくれて、見つけて追ってくれて。

 私、貴方の方向音痴大好きだったよ……」


 私の嗚咽に混じる声が震える。

 彼のあの不器用な笑顔。

 いつも道に迷っていた方向音痴。



 そんなあなたが――私は大好きだった。



 でもごめんね。でも私の願いはただひとつ。

 あなたと最後まで……一緒に居たいの。


 夜を踏みしめる足音がこちらへ近づく。

 帝国の剣士が、剣を握り、こちらへ歩いてくる。


 カイルはもう動けない。

 そして私には彼を守る力はない。


 足音が止まり、剣の柄に音が落ちた。


「一太刀で終わらせる」


 静かな声。冷たさの奥に滲む、かすかな悲しみの色。


 それでも私は怯えなかった。

 怖いのは、ただ彼をひとりにしてしまうことだけ。


「ごめんね、カイル。

 貴方はきっとこういうのを望んでない、筈だけど……」



 それが、たとえ愚かな幻想だとしても――。

 私は信じたかった。この想いがどこかに届くと。


 だから――私は、剣を抜かれる音の中で、最後に彼の名をもう一度呼んだ。


「カイル……」


 カイルの頬を撫でながら、私は彼の横顔を見つめる。

 剣士は夜を背負い、影をまとい、剣を掲げる。


 夜と影が私を覆う。




 ――カイル、ねえ……ありがとうね、私と出会ってくれて。

 今度二人もしも、もしもね、生まれ変われるような事があれば、私とカイル二人で奇麗な水になりたい。


 そのまま彼と静かに混ざり合って、流れていけたら。

 どこまでも、何も汚されずに――ただ一緒にいられたら。











 這いずる夜と影に――一輪の光。

 闇と影に覆われた筈の、私の視界に走るのは幾多の光の線。









 ――ここは既に俺の領域、さあ銀月の光に抱か――

 あ、いかんそこは、糸が切れッやばっ! 引っ掛か落ち落ち落ちぃぃぃ!





 ド ガ ア ァ ァ ァ ァ ン !





 ……銀色の長髪の男の人が落ちて来た。




 第二部 完

 ◇ ◇ ◇

 参考までに第一部主人公

 ◆【マクガイア王国】

 ◆シルバー・ヴィンセント

 年齢:16歳

 身長:178cm

 髪型:銀色(腰くらいまでのロングヘア)

 幼少期は編み込んだりされてた、しかし今はケアはしっかり行うが編み込みはしない(恥ずかしい)三つ編みされた事もある(ルーシェ)

 瞳の色:灰銀色

 体型:細身の筋肉質

 星:ギグ・マーガ

 ※ギグ・マーガの星詳細

 恩恵内容:肉体の自己再生能力を持つ。高所落下や爆発でも死なないが、痛みは伴う。シリアスモード時に再生能力が完全に停止。痛いし泣きたいし、ついでに普通に死ぬ。

 発動条件:常時発動(ただしふざけた精神状態で維持される)

 弱点:本人が真剣になると恩恵が止まるという理不尽な仕様。

 シルバー曰く。

『戦争が始まると真っ先に逃げて、戦後の酒場での祝いにしれっと参加している星』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ