15話 有給、魔力まとい
今日から有給を3日ほど、とることにした。
『魔力操作大全』の本を読み進めるためだ。
会社に電話し、小言をたくさん貰い、無事に有給確保。今日から3日間の有給だ。
◇ ◇ ◇ ◇
魔力操作実践。
魔力まとい。
自分の魔力を体外に少し出して、それをまとって固めることで物理耐性と魔法耐性が向上する、らしい。
「わざわざ自分の魔力を使わなくても、その辺の魔力をまとってもいいんですよ」
「この本では、自分と他の魔力を使うのは外法とされているが。まあ、そうだな。俺は外法だろうと気にしない」
「それでは、周辺魔力の操作方法を教えましょう。これは霊感トレーニングに似ています。まずは……」
ふむ。
なるほど。
全ての物体は魔力に変換できるし、全ての魔力は物体に変換できる、と。
「まぁ、ユウネの言ってることは俺にとっては応用問題みたいなものだし。まずは基礎を固めるよ」
「基礎……いえ、まぁ、いいでしょう」
その基礎は間違っていると言いたげな顔をしている。
まずは魔力まとい。自分の魔力を使ってやってみよう。
魔力を少量体外に放出し、それを体にまとう。
のだが、
「はぁ……はぁ……」
な、なんだこれ。
とんでもない疲労感だ。
練習どころじゃない。
「クータ様、ストップです。魔力が無駄に消耗しています」
「無駄て」
「仕方ないですね。私の手をとってください」
「む?」
「今から、クータ様の体の表面に魔力をまとわせます。その感覚を覚えてください」
ユウネの手をとる。温かい。
む、体が、まるで水中に居るみたいな、お、重い、重いぞ? いや待て、待て!!
「お、溺れる!?」
「溺れません」
ピシャリと言われた。
とはいえ、呼吸がしずらい、苦しい。何だこれは。
「今はまだ、体表の魔力が水銀みたくへばりついてしんどいでしょうけれど、慣れたら水くらいの感覚になります」
「そ、そうか?」
「魔力まといは基礎にして奥義。攻防一体。破壊と創造の中間。百鬼夜行の塊です」
「後半は意味不明だが」
「魔力もある意味生命ということですよ」
「???」
魔力まとい状態も、だんだん慣れてきた。汗びっしょりのスーツを着ているくらいの感覚になった。




