第39話 タンザニア政変? その3
「なるほど川ね。キャンプがしたくなるわ。うん先にテント張って行きましょう」
そんな感じの川と河原です。草地が広がっていていい感じ。テントをパンと張ってベットを入れます。キャンプ用品はホントに良くなりましたね。
「良し、いい感じ」
テントを張ったら回りの確認です。
「骨材(コンクリート材料)は取れそうね。粗細問題無し。釣りもいいけど先行かないとね」
ヒナタはアフリカに来て独り言が増えました。独り言を言うかネットにつながなければ日本語に出会えませんから。
四駆に乗って先を目指します。
「うわ! もくもくしてる、もくもくしてる。マグマ噴火もしてるのか。これならコンクリが足り無いって事は無いわね、中ダンジョンだし」
ホントもくもくしていますね。マグマも盛んにバフーバフーと噴き上がりますが、外輪山を越えている様子はありません。
「これどんどん溜まるのかなぁ、後で確認しとこ。火山灰は明日でいいとして、次ね」
先が長いですしね、行きましょ行きましょ。
「荒れ地かぁ、ガソリンがありそうね。中ダンジョンで、燃油は3種ガスは要らないと、これかな」
ダンジョンスマホで確認しながら、まず通路の中心を目指します。
「さて、ちゃんと右に有ってよ」
神力GPSマップで確認しながらゆっくり進みます。
「良し、有った」
まるで小さな噴水みたいになってます。
降りて確認です。サンプル取らないとです。
「この色はガソリンね。入口側に並行に戻って軽油ね」
車に戻って移動です。ちなみに、他の二つはスロープの先なので、真ん中からアプローチが基本です。ちゃんと灯油までありました。灯油はほとんど使わないのでホントに小さな噴水です。
「奥はほっとくとして、反対側はと、…何か嫌な予感がするわね。確認しとくかな」
神力GPSマップを確認しながら進みます。
「うわ、石炭か。多分コークス何だろうけど、何作らそうって?」
また移動です。
「これって鉄? 磁石はくっ付くわね。鉄筋まで作れって? それは無理よ神様。て事は粘土かなぁ、耐熱レンガ用の。まっ行ってみましょ」
またまた移動です。
「ううん、良く分からないけど粘土ではありそうね。頭痛いわ。資源区画のもダンジョンスマホで何か教えてくれればいいのに。まっ甘えるなって叱られるんでしょうけど」
そりゃまあ、アマテラス様なら叱りそうですね。
「まっ先行こ」
またしても移動です。
「森林かぁ。建材ダンジョンなの?」
檜・松・竹を中心とした森が広がっています。しかも『国立競技場跡』のように山になったりしません。平地ですよ平地。
「これは資源区画ね。降りてキノコ探す気にもなんないわ。次ね」
次が5階です。
「草原かぁ。ここでヤギでも飼えって? ここに用は無さそうね。次が6階で湿原か。ピラニアねぇ。まあ、やってみないと分からないわね」
ヒナタはピラニアの生態を思い出しながら進みます。お肉、取れるといいですよね。
「おお、見事な湿地帯。オカバンゴ・デルタ(ボツワナ)って感じじゃ無いわね。パンタナール(ブラジル・コロンビア・ボリビア)のワニってイリエワニだったかしら。クロコダイルじゃ無くアリゲーターじゃなかったかしら。まあいいわ。かなり無茶苦茶な分布してるものね。でも、セーフティー・ゾーン内の林は初めて見たけど」
確かに安全地帯にうっすら林になっています。ハンモックが吊るし易い木々の距離感です。車も問題なく通れます。
それにしてもヒナタさん、独り言が多いですよ。アフリカに来て独り言が増えたヒナタさん、今日はいつにも増してしゃべります。
四駆を降りたヒナタはバックハッチを開けます。
「バナナで釣れるかしら。まっやってみるだけね」
バナナにロープをくくり付け安全地帯を出て行きます。棒を持ってナイフを差しています。後ボーラ(紐の両端に錘が付いた狩猟具)。
通路の両側に広がる湿原は所々ピークがあって木が生えています。ヒナタはオカバンゴ・デルタじゃ無いって言ってますが、パンタナールに比べるとオカバンゴ・デルタに近いでしょう。ピークが林になっている辺りは、東南アジアの湿地を思わせます。
「結構色々いそうね。水が透き通ってるのは助かるわ」
ヒナタは浅い所を選んで歩きます。足元は完全防備です。
「カピバラはどこかしら。踝までの足元でやりたいわね」
ヒナタは浅い所を探し、草を棒で叩きながら進みます。後ろの警戒もおこたりません。
「……先にワニが来たか。浅いから何とかなるかな」
ヒナタは棒に赤い布を付けます。ベストのポケットには色々入っているのですよ。
そして手に取ったのはボーラです。
「キレで釣って口を閉じたら押さ込んで口を縛る。大丈夫、落ち着けぇ私」
ヒナタは赤い布を付けた棒を右手に、輪にしたボーラを左手に、慎重にワニを誘います。
ワニは目と鼻だけを出して寄って来ます。が、浅くなって頭が完全に出てしまいました。こうなりますと、良く見えますよ。
ワニがのしのしと寄って来ます。そして、慎重に頭を落として寄って来ます。標的は…赤い布!
「どりゃ!」
尻尾で勢いを付けて赤い布に食い付いたワニの頭の辺りに、片膝付いて頭を挟むように押さえます。J金具とカラビナで引っ掛けただけの棒はもう外れています。ヒナタはボーラをワニの口に被せて両の錘を掴んでで縛ります。
「良し! ここで止めを刺しちゃうとピラニアが来ちゃうのよね。…セーフティー・ゾーンに戻るしか無いかぁ」
ヒナタは押さ込んだままのワニを見ます。
「小っちゃ! 1メートル無いのか。こりゃ博士が怒るわけだわ。面倒草! 草よ草! 草生やしてやるわ!」
ヒナタはワニの尻尾をふん捕んで安全地帯に引き上げます。
暴れるワニの後足を縛り付けて、木の枝に掛けてワニが浮く位でロープを止めます。
「さて、血抜きはしないとね」
ワニを逆反りさせて頸椎を折ると、ヒナタはワニの首元を切り裂いて止めを刺します。
「怖いのはピラニアなんだろうな。…やってみますか」
ヒナタはワニの前足を膝から切り取るとロープに足を縛ります。それを持ってさっきの場所に戻りました。水深を棒で確認すると、深そうな所にワニの足を投げます。
「来るよね………来ない?……来た!」
ヒナタはゆっくりとロープを引っ張ります。ロープにピクピクと反応があります。
「見えてきた。5尾…かな。…小っちゃ! これは網かしら? あるかな? あっ行っちゃた。結構近いと思うのにな」
安全地帯に引き上げたヒナタは四駆をあさります。
「ハンモックは嫌。これ…かな?」
そう言って出したのは荷物飛散防止ゴムネット、当然自転車の籠用じゃありません。アッチは盗難防止ネットです。それにもっと大きいです。具体的には90×150センチになります。目の細かさは2センチほど。……これは傷付け防止ネットかもしれません。
「たも網にはなりそうだけど棒は二本無いし……買うか? ここのダンジョンの区分は何かな?」
取り出したダンジョンスマホでショップアプリを開くと『僻地ダンジョン』と出ました。
「秘境よりは高そうね。……ううっ高い。いや安いけど、今の私じゃ手が出無い」
具体的には秘境ダンジョンの倍です。まあ、物によるんですけどね。
ヒナタが使っている棒は、ダンジョンスマホで買った棍と言う中国の木製武器で、棍術を学んでい無いヒナタには扱えず、1.5メートルで切った物です。武術的には、棒とか杖とか言う区分になります。ちなみに、庭田栽由が使う一間尺は、ヒナタが持てば棍、栽由なら棒です。
「あっ林から伐り出せばいいのか。ナタとノコ」
四駆から鉈と鋸を出して良い枝を物色します。
「二本で支えてやった方がいいのかな? 何か見た事有る網になるわね。名前知ら無いけど。これがいいかな? これにしよ」
選んだのは、2メートルちょっとの真っ直ぐな枝で、枝を払うとしっかりした1メートル2・30センチの棒が取れそうです。ちなみに、二本の棒の間に網を渡したこの手網、地方名を除けば両手網と呼ぶようです。
「良し、一本目。払った枝を片付ける必要が無いのがありがたいわ。さあもう一本」
そうやって二本目もゲットです。さあ、四駆に戻って網を仕立てますよ。
まず二本の長さを正確に合わせます。そして樹皮をハギます。
次にソーイングセットから手縫い用の糸を出して二つに畳んで縒ります。何とか4メートルほどになったので、十分足りるでしょう。
これで材料がそろいました。あっまだです?
棒の先1センチほどの所を万ぐるり溝を堀ります。手元側は締めた後ですか。これで材料完成です。
次に用意したのはバケツです。安全地帯の堀から水を汲みます。その水に糸を浸します。これで糸が伸びますね。
そこで取り出したるは正に網繕い針です。針先は三角錐で大きな針孔は段々と狭まり玉結びをがっちりと咥え込みます。
手元側からネットの支線と棒をくるくると巻き付けます。棒先でずれたり緩んだりしないように三重に基糸を殺して、重々の結びを二重に施して、網先を結わえます。この糸を手元側に締めて行きます。端まで来たら仮止めです。もう一回先側から締めて行きます。あっもう一回ですか。都合二度締め増して、溝を掘って手元側も結わえます。もちろん網先と同じように厳重に。反対側も同じようにやって完成です。
「出来た!」
飛散防止ネット使用両手網の完成です。
縒ってどの位の長さになるか分からなかった糸が盛大に余りました。もったいないのでソーイングセットに押し込むべく干します。濡れてるからね、乾かさないと。
血抜き中のワニからもう片方の前足を切り取りロープに結わえます。さっきの場所にゴーです。
前回よりは若干深みに構えます。具体的には、脛の1/3です。両手網を水底に沈めて、ロープのワニ肉を投げます。さっきよりも若干手前です。
「焦れるなぁ私」
そう言って両手網を水底に沈めます。
後は待ちです。
「来た! さっきより早く」
そう言ってロープを引きます。5尾とも両手網に入った所で両手網に持ち変えて一気に引き上げます。
5尾とも入りました。大漁ー!
落ちないように、両の棒を束ねて網をくるくると巻き付けます。結構重くて、ダンジョンの外のヒナタでは出来なかったでしょう。
「良し! このままセーフっえ、ガーパイク! 何でこんな所にいるの! あっ網が食い破られる! 急げぇ!」
安全地帯に入るとすぐに網を開いてクーラーボックスに放り込みます。やっぱり小ちゃいですね。10センチありませんよ。
ヒナタは網をチェックです。
「あれ? 以外と傷んでない?」
首を捻りますが、まあ、詮索は後です。
まずはシメて血抜きですね。ヒナタは安全地帯の出入り口のさっきとは逆の堀から水を汲みます。
「あれ? この水冷たい。そう言えば、堀の調査はしてなかったわね」
四駆に戻ってバケツを置くと、温度計を取り出します。
「5度かぁ、ビールが美味しいわね」
飲料用のクーラーボックスの水を入れ変えます。もう温くなってたからね。もちろんビールもありますよ。と言うより、ほとんどビールしかありません。ダンジョンに行けばどこでも水の補給が出来るようになったからね、まとめ買いです。
「あっ、ピラニア忘れてた。生きてるかなぁ」
魚用のクーラーボックスを開けるとまだまだ元気にピチピチしてます。
「皮手袋!」
四駆から皮手袋を出してはめます。と、何を思ったか右手の手袋を取ります。
「魚のモチを良くするのって、エラ取っちゃうんだっけ」
ヒナタさん、8センチの魚からエラ取るのは無理がありますよ。ほら潰れたじゃないですか。
ヒナタはバケツにエラ蓋付近が潰れたピラニアを投げ入れます。ちゃんと死んでます。
「次こそ」
だから無理ですって。ほらやっぱり潰れた。
「何がいけないんだろ、よしは…今度こそ」
あっ、意固地になりましたよ。当然潰れました。体長8センチの魚のエラ蓋の中に、1センチの指を入れようってのが、土台無理な話です。
「頭が潰れた…どう言う事?」
今度は捕んだ頭がそのまま潰れました。バカ力ですね。よっ女バーバリアン!
「何か思いっきりディスられた気がする」
おお、鋭いですね。そんな家系じゃないはずですが。
「まあいいわ。これが最後の一匹」
まっ、無理ですよ。エラを取ろうとすると、指を二本、この場合親指と人差し指をエラ蓋の奥に突っ込んで摘まむ動作をするのです。相手の魚は体長8センチ、潰れないわけがないのですよ。
「……」
あっ、無言です。無言で潰れたピラニアをバケツに投げます。
「良く考えればどうやったって無理じゃない。…何やってんだろ私」
流れるように失意体前屈に移行、orzですorz。そして体育座りに移行。
「…落ち込んでても仕方ないわ。後1時間ちょっと、何をするか。堀の水はダンジョンスマホに当たってからね。カピバラかガーパイクか…ガーパイクにしましょう。生態通りなら活き餌だけど、まっルアーよね」
バケツのピラニアをクーラーボックスに移し変えます。そのクーラーボックスを四駆に積んで、釣り竿を出します。うん、ちゃんとしたキャスティングロッドとリールです。手土産に持って来た魚も上げているので、3メートルのアリゲーターガーでもない限り大丈夫でしょう。
「ボーラだけは持って行きましょうか」
ちなみにこのボーラ、ダンジョンスマホで買えます。一番安い武器ですよ。
「変えルアーボックス良し、ボーラ良し、お茶良し、ナイフ良し、良し出発!」
さっきの場所です。後ろを確認しながらのキャスティングです。
「たぶん、ロングノーズガーだったと思うのよね」
アフリカに来る前に、外来種駆除に参加した時ちょっとだけ勉強したので、特に長い口をしているロングノーズガーならシルエットでも分かります。
一投一投後ろを確認して、空にも目を向けて鳥対策も忘れません。
「ううん、ピラニアはつついて来るんだけどなぁ。まあ、ピラニアがつつき回してる時に現れたからこのままかな」
ヒナタはこのまま続行を選んだようですね。
「あっ出て来た! ここからは今まで以上に慎重に」
細長い棒のような魚体はガーで間違いないでしょう。
ヒナタはキャスティングしながらも回りを警戒します。
「動かないわね。となると、手前に落としてやるか、奥に落として追い抜かせるか、生態通りなら大人しいし、奥は無いわね」
今回、入念に回りをチェックします。そうして、今まで落としていたポイントとガーの間に落としてやります。
「来るよね? …来た!」
ルアーを追い始めたガーから少し焦らすようにリールを巻き、当たりだけではなく目視でも確認しながら合わせますよ。
「良しヒットぉ、方向転換が苦手な君はどうするのかな。くふふふ、このままセーフティーゾーンに連れて行って上げてましょう」
ヒナタが悪い顔してますが、放っときましょう。Uターンして深みに潜ろうとするガーですが、軽く竿を立てると頭を上げます。
「やっぱりロングノーズガーね。大きさの割に軽いわ」
ざっと見180セン位ですが、持って来たスズキ目の何かよりぜんぜん軽いです。スズキ目の何かがグゴゴンなら、ロングノーズガーはググッグ位です。
足元近くに寄せると安全地帯に向かって走ります。
「よっしゃー、ロングノーズガー、ゲットー!」
ガーは安全地帯でビッタンビッタンしてます。何とも体が重たい感じ。
「クーラーボックスには入らないわね。でもクーラーボックスに無理にでも入れないと。まずはシメないと」
ヒナタはガーからルアーの針を外してクチバシを握ります。そして体を反らせてエラ蓋の奥に手を突っ込みます。そしてエラを…引きちぎりました!
どこの女バーバリアンですか!
今度は反対側です。又もや引きちぎりました。アウトフィールドを研究の舞台にしてますから、まあそれなりにアレですが、ここまで乱暴者だったでしょうか。
ヒナタさん! 振り回して血抜きとかやっちゃダメですよ!
「まだ時間あるし、堀で冷やして行くかな」
良かった、まだ理性が残っていたようですね。
ヒナタはガーにルアーを刺して堀に沈めます。
消えちゃうって?
ロッドに魔石がしてあるので、ガーまで適用です。
「さて何しましょうか」
お茶飲みます。中身は麦茶に塩足した物、ダンジョンスマホで「お茶がある!」って買った物です。
「お堀の調査でもしますか。常時浄化される以外知らないのよね。しっかしここは涼しいわね。温度計、湿度計は無いなぁ」
片付けた温度計を引っ張り出して気温を確かめます。なお、温度計は実験で使う棒状の物、プラスティック製で簡単には割れませんが、それでも水銀は使ってません。
「25度か、涼しいわけね。湿原の方はベトベトしたけど、ここはカラッカラね」
ヒナタはダンジョンスマホを出します。堀の情報でも漁るんですかね。
「湿度計にはなりますか?」
あら、質問アプリでした。
「怒られちゃった」
ああ、湿度計にはならないそうです。しかも、怒りの顔文字です。#使ったやつです。怒りの顔文字って以外と少なくて、イマイチ怒り具合がわからないですよね。しかしそうですか、顔文字ですか、絵文字じゃないんですね。
そんな事はどうでもいいですね。でも何か気になって。
今度こそスマホ使った情報収集です。
「そっか、雪原に温泉ってトコもあるのね。計って回るしか無いわね」
ヒナタは徒で計って回るようですね。
「そろそろいい時間ね。片付けちゃいましょ」
お散歩から帰って来たヒナタは引き上げの準備に入ります。
堀からガーを引き上げて、さてどうしよう。切り分けないとクーラーボックスには入りません。とりあえず釣り竿を片します。
「この際、四駆に吊ってく?」
採用~だそうです。
「そうだこの際、草生やしてやりましょうwwwww」
何言ってんですかね、この女は。
wwwwwww
神!? 私の心象世界に干渉しているのは!
緊急接続遮断です!
最近チョイチョイあるんです!
セキュリティーレベル、上げないと!
ワニが小っちゃくてキレてしまったヒナタさん、大暴れして栽由にもさせてない蛮行をやろうとして困りました。
一度orzさせて落ち着かせるルートを見つけるまで、バンバンとかプチっとかもう大変でした。




