第34話 川田総理が駄弁ります
タイトル通りグダグダです
「随分と治安が悪化していますね」
「はい。国外に比べれば雲泥の差ではありますが、ダンジョン囲い込みを画策した抗争が止みません。現在までに凡そ三百万人が、ダンジョンに喰われたと推定しています」
「三百万人ですか。想像よりも多いですね。外国人コミュニティが多いのは分かります。帰化した方々でも、どうしても、軋轢はあるのですから」
川田総理が神宮寺ダンジョン担当補佐官相手に、国内情勢を確認しています。ダンジョン発生以来、外交案件がほとんど止まっていますからね、結構ヒマしてます。分単位の予定とか言いますが、今は良く言っても30分単位です。一件一件をちゃんと見れるので官僚任せにならず、これはこれで良い事ではありますね。
「率直に言いますと、田舎での自治会単位、全国レベルでの企業単位でダンジョンに喰われた事案が、想定したよりも多いです」
「有って無い様な想定ですから、仕方が無い事ではあります。が、どこまで増えると考えていますか」
「単純に加減速を元にした統計では、二千五百万人に達する事に成ります。しかし、それよりも大幅に少なくて済むと考えています。具体的には、七百万から一千万人の間です」
「最悪の想定ですか」
「はい。ただ、ここに来て、富裕層に囲い込みの兆候が見られます」
「アメリカみたいにですか」
「その通りです。そう成りますと」
「企業のガバナンスが失われ、企業に拠る囲い込みが悪化しますか」
「はい。日本の富裕層多くは、債権者では無く、企業経営者や幹部ですから。上手く収めて七百、何とか収めて千、収められなければ、二千五百と言う数字が見えて来るのかもしれません」
「処で、その如何にも無理遣りな統計は、誰がでっち上げたのですか」
「DKKKに配属された経産官僚の」
「DKKKって何処のダイ語ですか」
ダイ語はマズイですかね。ダンジョン緊急開発計画の頭文字取っただけですが。
「そこは、DUDPOでは無いのですか」
「DKKKの方が言い易いので、DKKKで大体通ります」
「なるほど。その統計を作ったのは何方ですか」
「経産省の伝説の官僚ですよ」
「生きる伝説ですか。中々凄そうですね」
「おや、ご存知ない。伝説の『それもうやっておきました男』四月朔日肇ですが」
「有能過ぎて使え無い事は分かりました」
「統計の専門家で、そっちの道に進んでくれていれば、ノーベル経済学賞も狙える逸材です。いつだったかピケティの計算式を嘲っていましたね。簡素も無い、美も無いと」
「協調性皆無ですか」
「いえ、マイナスです。煽り男ですよ」
「経産省はよくそんな人取りましたね」
「………」
神宮寺さんだんまりです。大いに賛同したそうですが、そんな事言うヤツは出世できません。
「それで、DKKKは回りそうですか。緊急提案は、既に幾つも貰いましたが」
「荒木君を副室長にして頂きました。彼なら根回しも上手いです。室内は、野間女史が何とかするでしょう」
「ほう? 高評価ですが聞いた事が有りませんね」
「農水の技官ですからね、総理のお耳には届か無いでしょう。出来物ですが、それ以上に浪花節のおっかさんです。彼女なら奇人変人紙一重の天才共を、ケツ引っ叩いて纏め上げるでしょうよ。部下には真っ平御免ですが」
「ハハハ、私も母親を部下にはしたく有りませんね」
自営業や中小企業では、ままぶち当たる問題ですけどねェ。
「で、対応策は」
「テレビとSNSを通じて注意喚起する以外無いのですが、彼らは信じようとしないので、対応策に成りません」
「困った物です。中国共産党のスパイ網は一網打尽でしたが、その数は膨大でした。ほぼ、中国籍と言うだけで消された様ですのに。自分だけはと言う輩が多過ぎますね」
全くです。テレビの生放送中にダンジョンに喰われた中国人教授だっていたんですよ。この教授、共産党政権に批判的で有名な人だったんですがね。以外と拡がらなかった北朝鮮とは違います。日本から中国人はほとんどいなくなりました。そんな中で、未だに自分だけはと思える神経がよく分かりません。
「とりあえず、SNSでの発信を増やして下さい。後、テレビ局に、もう少し真剣にダンジョンに付いて扱う様に申し入れて下さい。内閣府からの正式な申し入れで構いません」
「野党が五月蝿そうですが」
「構いません。ダンジョンに喰われた人の名簿を、紙で叩き付けてやります」
「ドットにもよりますが、一人では持ち上がりませんね」
「ええ。それだけの命を背負え無いなら、黙るしか無いでしょう」
川田総理、この件に関しては『言うだけ番長』を許すつもりは無いようですね。
「そうです。ニートのかなりの数が出て来たそうですが、どれ位の割合に成りますか」
「ええと、それは私の管轄では有りませんが、五割は超えているそうですね」
「まあ、まだ実数把握など出来ませんか。でも、彼等が社会活動に復帰した事は大きいですね。要支援者や要介護者の復帰も大きいですが、彼等は子供を産んでくれる訳では有りませんからね」
「個人的には、発達障害等の知的障害の改善は大きいと思いますが」
「そうですね。場合に依っては、家族包みで社会活動に復帰していますからね」
ここで言ってる社会活動とは、積極的な経済活動を伴う社会活動ですね。要は金使えと言う身も蓋もない話。
「自衛隊による探査は進んでいますか」
「近く11階の攻略に向けた進出を期すと聞いています。ただ、ダンジョンの中での成長がまちまちで、指標作りの為の調査を先に進めると連絡を受けています」
「ほう、大雑把どんな感じですか」
「体を鍛えていた者の成長早い事は判明していますが、特に徒手格闘の成長が早いようです。後、どうも銃器による戦闘では成長しないか、成長が極端に遅いのではないかと、考察が上がっています」
「ほう、銃はダメですか。アマテラス様には銃でウサギを殺すように差し向けられましたが、どう言う事なのでしょうかね」
「判断しかねますが、SPがウサギを縊り殺したり、ナイフで首を掻っ捌くよりはスマートな絵図面に成ったのではないですか」
「そんな物ですかね。とりあえず、可能な限り数値化、統計を取って下さい」
「はい。四月朔日にやらせます」
「良いですね。ああ言う輩は、研究対象を与えておけば大抵大人しく成ります」
「そうだと良いのですが。それとですね、この情報が何故、未だに私を介するのか分かりませんが、庭田家の話です。男系確定です。宮内庁の史料から栽仁親王の手記が、庭田家から養母公子さんの日記が提出されました。経緯含めがっちり記載があるそうです。まだ要約は上がっていません」
「手書きですか。……達筆過ぎて読めませんね」
「書道有栖川流の宗家と、庭田流筆道宗家の奥方ですね」
「せめて行書で書いてあればどうにか読めるのですが、草書ではお手上げです」
タブレットPCに示された画像を見ますが、肩をすくめていますね。どこかの大作家には、判読清書係がいたそうですが、万人に示すための文字が、特定の技能がないと読めないと言うのも、因果な物ですね。まあ、かつては読み書きその物が特定技能だったわけですが。
「まあ、良い見合い話になれば良いですね」
「それですが、三男家の二男、栽由と玲子様はもう遭われています」
「ほう? 栽由と言うと、ダンジョン持ちの農業法人でしたか。確か、上級ダンジョンとか話題に上がっていましたね」
「その通りです。良くご存知で」
「こう言う不確かな情報は上げてくれませんからね、たまに覗いていますよ。ダンジョンスマホは便利ですよ。セキュリティー対策を無視出来ますから」
「それはまだ確定では無いのですがね」
「神様の防御を打ち破れるほどには、人類は進化していないと思いますよ」
「それには同意しますが、検証もせずに使うのは違います」
「はあ、そうでしょうが、検証の仕様が無い気もしますが。完璧なセキュリティーに直面するだけでしょうに」
「おそらくはそうでしょうが、検証しないのは違います」
「はあ、まあ良いです。ここは玲子様です。最初の物以外、ダンジョンに入ったと言う情報は無かったと思いますが」
「庭田栽由の山ん中ダンジョンです。彼処の農業法人には箝口令が敷かれています。ご近所も協力的だそうです。そうなると、後は政府関係者がほとんどです」
「SNSへの流出はありませんか。玲子様は警護を付けていますか」
「そこは陛下に叱られたそうで、側衛官二人が付いているそうです。後、天皇家からも人が出る事もあると」
「薙刀の彼女ですね」
「おそらくは」
「それで、二人の様子はどうですか」
「ああなるほど、私経由はこれですか。山ん中組合のダンジョンに出向いているDKKKの人医技官が、出歯亀っているようです。余り褒められる事では無いですね。内容はご自身でどうぞ」
「はあ、君はこう言う事は嫌いですか。まあ、熱を入れられても困りますが」
川田総理はタブレットPCを操作します。ちょっとぎこちないのはご愛嬌です。
動画です。神宮寺さんは興味無し。
「ふむ。……玲子様が懐いている様ですね。ですが男として意識している様では無いですね。旧宮家の方と違う雰囲気はありませんか。これは、陛下にも情報を流すべきですかね」
「はあ」
「はあでは無いですよ」
「はあ。…玲子様が庭田家の事をお知りになれば、旧宮家の方と同じスタート地点に立つ事には成ります」
「興味無いかもしれませんが、大きな問題なのですよ」
「理解はしていますが、正直どうでも良いと言うのが本音です」
「まあ良いでしょう。人の考えは数多有る物ですからね」
「あのう、出歯亀が趣味では無いと言うだけですが」
「出歯亀結構。上手く行ってくれれば万々歳です」
「玲子様もエライ災難だな。ああと、噂の旧宮家の方でも、庭田栽由でも、男系男子は繋げます。結構な事では無いでしょうか」
「国民受けは、間違い無く庭田栽由の方が上です。文武両道を地で行き、お金儲けも上手い。宮様(旧宮家の男子)は線が細くて行けません。二重の意味で」
「ああ金儲けなら、庭田栽由が海外銀行株を全て売りました」
「FRBの利上げで利ざやが逆転しますかね」
「それは何とも。只、知り合いの証券マンが、銀行は3日あれば潰せると言っていましたね」
「ふむ。…決済のオンライン化ですか。SNSでの情報発信は止まりませんね」
「似た様な事を言っていました」
「さて、そろそろ時間ですね。警察は何を提案してきますかね。神宮寺君は、暇が合えば駄弁りに来て下さい。貴方との会話は頭の体操に成ります」
「はあ、私で宜しければお付き合い致します」
未だ正式文書が上がらないダンジョン関係は、川田総理には半分息抜きなのかもしれませんね。
何百万もダンジョンに喰われているのに落ち着いている?
この後の会議は主にダンジョン対策としての緊急治安対策会議です。事前にダンジョン情報を収集していた感じです
何回書いてもグダグダで、諦めました
次話も手こずっていて、更に体調不良です
何とか週1くらいにしたいですが、自転車操業になるかもしれません




