♥ フィールド 12 / テイム・モンスター 1
腕の中で弱ってるスライムちゃんを助けたいだけなのに、私はスライムちゃんに何もしてあげれないんだ……。
何て無力なの……。
腕の中で震えてる傷だらけのスライムちゃん1匹も助けられないで何が勇者なの?!
エノ
「 ──ねぇ、本当に何とか出来ないの? 」
セロフィート
『 諦めてください 』
スライム
「 ニュー………… 」
セロフィート
『 鳴いても駄目です。
お前は飼い主の元へ戻りなさい 』
スライム
「 ニュ…!?
ニュ〜〜〜……
ニュー、ニュー 」
セロフィート
『 しつこいです 』
エノ
「 一寸、セロ!
スライムちゃんの言葉が分かるの?? 」
セロフィート
『 分かりますけど… 』
玄武
『 ワタシも分かるぞ。
飼い主の元には戻りたくないそうだ。
随分とペットに嫌われている飼い主だな 』
エノ
「 戻りたくないんだ!
──当たり前だよね!
大事なペットを虐待させて、お金儲けするようなクズなんかと暮らしたくないもんね!!
ペットは癒しで、家族なんだから!! 」
セロフィート
『 ≪ 日本 ≫はそうだったかも知れませんけど、≪ タココミエット大陸 ≫では違います。
ペットは家族ではないですし、テイム・モンスターも家族とされません 』
エノ
「 何なのよ、此の世界は!
何でテイム・モンスターに対して酷い扱いするの? 」
玄武
『 怪物だからな。
仕方無い 』
エノ
「 そんなの理不尽だよ!! 」
男
「 ──理不尽序でにオレのモンスターを返してもらおうか!
盗人さん! 」
エノ
「 盗人?!
誰が盗人よ! 」
男
「 おいおい、誰がって……。
嬢ちゃんに決まってるだろ?
人様のモンスターを抱きしめてる──って事はだ、オレのモンスターを盗もうとしてるって事だろが!!
──おい、オレの客はどうした?
何で居ない?
此処で落ち合う約束をしてた筈なんだが? 」
エノ
「 寄って集ってスライムちゃんを虐待してたから追っ払ったの!!
病院に行けば会えるんじゃないの? 」
男:テイマー
「 はぁぁぁあ?!
何を勝手な事をしてくれやがったんだ!
オレの御得意様だったんだぞ!! 」
エノ
「 そんなの知らないもん!!
其より、貴方はスライムちゃんの飼い主なんでしょ。
テイム・モンスター用の回復薬を持ってるよね?
早くスライムちゃんに回復薬を使ってあげて!
怪我をして弱ってるの! 」
男:テイマー
「 ねぇよ 」
エノ
「 へ?
無いって…?? 」
男:テイマー
「 そいつに使う回復薬なんざねぇって言ってんだ 」
エノ
「 なっ…何で?!
貴方はスライムちゃんの飼い主でしょ!
貴方の所為で傷付いてるのよ!!
お金儲けの為にスライムちゃんを散々利用してるのに何で回復薬を使ってあげないの?
スライムちゃんは貴方の為に辛くて痛い虐待にも歯を食い縛って耐えてたのに!! 」
男:テイマー
「 そんなの当たり前だろうが!
テイマーに飼い慣らされたモンスターはなぁ、命ある限り主人に尽くすもんなんだよ!!
主人の命令は絶対でな、主人の為に死ねるなら、テイム・モンスターは幸せだし、本望なんだよ! 」
エノ
「 そんなの人間の勝手な都合じゃないの!!
身勝手な飼い主の為に死ぬ事が幸せな訳ないでしょ!! 」
男:テイマー
「 嬢ちゃん、頭がおかしいんじゃないか?
1回、病院で見てもらいな! 」
エノ
「 私はおかしくないもん!!
おかしいのは貴方の方よ!
此のまま弱ったらスライムちゃんは…… 」
男:テイマー
「 知るかよ。
こんな最低最弱で大して使えもしない役立たずなスライムに貴重な回復薬なんか使わねぇんだよ!
回復薬ってのはな、稼ぎ頭のモンスターに使うのが常識なんだよ!
スライムなんかなぁ、其の辺に寝かしときゃ勝手に治るもんなんだよ!
覚えとけ!! 」
エノ
「 そんな…酷いよ!!
此のまま放置するなんて!
鬼っ、悪魔っ!! 」
男:テイマー
「 何て口の悪い嬢ちゃんだ!
躾がなってないな! 」
エノ
「 私の事よりスライムちゃんを助けてよ! 」
男:テイマー
「 煩いんだよ!
オレがテイムしたモンスターをどう使い、どう扱おうと飼い主の勝手だろう!
子供が大人の商売に口出しすんじゃねぇよ!
邪魔もすんなっ!!
目障りなんだ!
オレのスライムを其処に置いて、さっさと消えな!! 」




