13 報酬
あの後、難なくギルドまで戻り報告をした。
結局〈ケイブゴブリン〉は100体以上居たようだ。
その中で取れた討伐証明部位が90体弱、〈ソウル:ケイブゴブリン〉が12個。
それを頭割りした分に色付けてもらって合計金貨2枚強受け取った。
5日分相当の稼ぎ、予想外に実入りがよかった。
洞窟周辺は立ち入り禁止にするそうだ。
死体がマナに還元された後、量ではなく質でCランク以上が生まれかねないので、他のギルドから人員回してもらうまで放置にするらしい。
報酬を分けた後、もう日が暮れてるので宿屋へ行く。
いつものように一番安いパンとスープを食べ、野菜代わりに〈薬草〉をとっていると嫌な予感がしたので回避した。
「なんで避けるのよ~。おとなしくもふもふさせなさ~ぃ」
シャスだった。
アルヴェタ達は酒盛りしていたようで、既に出来上がっている。
クラッホは潰れてモーラにしだれかかっていた。
「もふもふは正義なのよぉ、もふもふは幸せなのよぉ」
新の同類か。
何処にでも居るんだなこういうの。
思わず遠い目になったが、捕まえようとしてくるので慌てて避ける。
「あの3馬鹿の耳でも触ってろ」
「い・や・よ。ほらお姉さんにからだをまかせなさ~ぃ。すっご~く気持ちよくしてあげるから」
自信満々に言い放つ酔っ払い。
仕方が無い、あの手を使うか。
「ほう、じゃあやってみろ」
「いいのね、え~い」
――さわさわ、もふもふ、さわさわ――
思いっきり冷えた目で見上げ、目を合わせる。
「…下手くそ」
ピシッと音がした。
固まっている腕を避けて、部屋へと引き上げる。
その後自棄酒を飲んだのか、朝降りてきたときには多数の巻き込まれた人員とともに屍のように転がっていた。
―――
「おじさん、おはよう」
「おはよう。おや、今日は朝からかい?」
昨日は行く暇がなかったので、今日は朝から書店へ来たのだ。
店内に入るとすぐにカウンターがあり、物静かな店主が長閑に座っている。
「ああ。で、残ってる?」
「心配せずとも残ってるよ」
どさっと〈魔術士〉のスキル書が出される。
(どれがいいだろうか? とりあえず《ポイズンミスト》は当然として、属性系は…うん?)
見慣れないものが混じっていた。
「これは?」
「在庫が切れて注文していた奴だよ。昨日の定期便で届いてね」
「他には今まで無かったのはないのか?」
「他となると中級以上になるよ。この町だと需要見込めないから仕入れないね。これも低ランクには人気が無いから1冊しか仕入れてないよ。で買うのかい?」
「いくらだ?」
「金貨1枚」
「高いな」
「高ランクだと奥の手として持ってる人が多いらしくてね」
(…属性系はろくなの無いし後回しでいいか)
「判った、買おう」
「まいどどうも」
他に2つ買って少しまけてもらった。
〈アイテムポーチ〉にしまい店を後にする。
武器屋に寄り消耗した杖を修理してもらう。
Dランクに成ったし、そろそろ新しい武器も良いかも知れない。
その為にも先立つものだ。
日課をこなしにギルドへ向かった。
―――
〈上薬草〉を10個ほど取ったところで、今朝買ったスキルを試す事にした。
周囲を探り安全を確認する。
インベントリを開きスキル書を使用、説明などを読む。
「とりあえずこれからかな。燃えよ《イグナイト》」
短杖の先に松明のような炎が灯る、ただそれだけ。
効果を確認したので消す。
属性系初級スキルはこんな感じなのだ。
他のは《コンパス》《メイクウォータ》《フォローウィンド》…便利グッズか、特に《コンパス》。
「さてと、次は対象いないとな…………あっ、いたいた」
動いて探してみると、ちょうどいいところに〈グラスウルフ〉の群れが居た。
「毒の霧よ、敵を包め《ポイズンミスト》」
毒々しい色の霧が湧き立ち3体ほど飲み込む。
霧を吸い込んだ〈グラスウルフ〉がガハガハとむせだす。
詠唱に気付いた残りの2匹が向かってきた。
「「ガウッ!」」
「魔力の衝撃、敵を貫け《マナショック》」
「ギャ!!」
相手の攻撃を回避し、短杖をあて打ち込むと痙攣して倒れた。
もう1匹には《マナブレット》を撃ち込む。
そうこうしてる内に毒に侵された〈グラスウルフ〉も動きを止めた。
《マナショック》を打ち込んだ奴を見ると目と耳と口から血を流している。
射程距離は無いに等しいが、その分を全て威力に回しているようだ。
再使用制限時間は《マナブレット》よりは長いが、奥の手というより十分主力になる…回避型だからかもしれないが。
装備整えたらもっと強いので試そうか、その前に身体能力だけじゃなく技術も身に着けるべきか。
…とりあえず金だ、その後の事は後に考えよう。
《ゲイザー》を済ませ、〈上薬草〉の採取を再開した。




