14 閑話
「――それで、原因はつかめたか?」
「はい。一部の冒険者が安定した収入を得るため、あえて全滅させなかったようです。能力によっては〈グラスウルフ〉よりも楽に倒せますので」
「そういえば、一時期〈ケイブゴブリン〉の素材を見かけたな。
しかし、それはおかしいのではないか?
頻繁に狩っているならば、大量発生するはずが無いだろう」
「供述によりますと、増えてるかと見に行っても補充されていなかった、早く来過ぎたかと思い〈ケイブゴブリン・ルート〉だけ残していったと。
推測ですが、少ない数では倒されると思い、栄養を蓄えて一度に大量に発生させるようにしたのではないかと」
「そうか。しかし、たかがEランクでダンジョン経営の真似事などするとは。一歩間違えれば大惨事じゃないか」
「加担した者は既に矯正コースへと回しております」
「当然だな。ところで例の件はどうなっている?」
「はい、〈上薬取り〉の件ですね。〈ツウェス村〉まで人をやり、確認を取りました。
10日ほど前にダンジョンの罠に掛かり〈ツディーヌの森〉まで転移させられたと。
その時点で既にあの姿で記憶喪失になっていたそうです。
元はどのランクだったかは不明ですが的確に依頼をこなし、早々にDランクになっております」
「趣味嗜好はどうだ? 好きな食べ物とか」
「では、担当の者から報告を」
「おう。好きな食べ物は不明だ、いつも最安のパンとスープのみ頼みやがる。
酒もやらねぇぜ」
「お金を貯めているわけではないね。買えるだけ貯まると直ぐにスキル書を買っていくし」
「薬類はそれほど買ってかんな」
「そうだな。武器修理に来たが、性能の良い武器に興味を示していたぞ」
「こちらには来ていませんわ。来たら、採寸に測り放題ですのに」
「総合いたしますと、自己強化に余念がないということですね」
「う~む…新人冒険者としては好ましい行動ではあるが…」
「このペースだと、数日中にCランクとなれるでしょう。当ギルド支部最速ですね」
「…Cランクになれば、大都市へ移るだろうな。Cランク認定自体、大都市のギルドで行うし…こう、どうにかして遅く出来んか」
「気付かれたら嫌われるのではないでしょうか?
今でさえ色々と手を打っているのですし、これ以上は不自然でしょう」
「うぐっ…仕方が無いか。だが、それまでになんとかもふもふを」
「それは難しいでしょう。あのシャスすら退けていますし」
「なに、〈触り手〉のシャスをか?!」
「はい。あの一件の後泥酔した彼女が絡み、もふもふとした所、へたくそとばっさり切られたそうです。
ここ最近幽鬼の様になっているのもその影響かと」
「くっ…だがもふもふは出来たのだろう。うらやましい」
「代金の受け渡しで触れれるぜ」
「そうだな」
「本を渡すときにも触れるね」
「武器の最終調整とかで少し触れたな」
「何?! きさまら、そんな事を!!」
「…こっちにも早く来ないかしら」
「未確認情報ですが件の冒険者たち、依然絡んだときに肉球キックを味わっていたと」
「……訓練難易度3倍にしておいてくれ」
「承知しました」
「他に連絡事項は?」
「ありません」
「それでは連絡及びマオたんを見守る会を終了する。もふもふは正義!」
「「「「「もふもふは正義!」」」」」
がやがやと去っていき、一人残る。
「……そうだ!」
―――
「銀貨42枚、銅貨38枚にな」
――ガシッ
「何をしているのですか? 書類の処理が溜まってますよ」
「あっ、ちょっともう少しまっ…せめて、ちょっとだけで…く、くびが」
――ズルズルズル
「……何だったんだ?」
「あっ、すいません。立て込んでまして。えっと、報酬等合計で銀貨42枚、銅貨38枚ですね」
「……ちゃんとあるな。さてと、本屋行くか」
「またのお越しをお待ちしております」




