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第5話 知り合いの孫



 おばばの家は、かなり田舎にある。約一キロ先に隣の家があるという不便さだ。

 だが、そんなおばばの家にも、インターホンというのは存在する。正しくは、玄関にあるチャイムだけで、モニターなどはない。

 そしてそれが鳴った時、家の中には偶然おばばはおらず、セリーヌだけがいた。

「これが鳴ったら出ないといけないって、おばば様がおっしゃっておりましたわ」

 彼女は荷物を集め始めた。幸い、パジャマと扇子と、おばばが譲ってくれた小刀くらいだったので、すぐまとまった。

「あのー。宅配便でーす。いらっしゃいませんかー?」

「あら、お待たせしましたわ」

「こちらにサインを……ええっ⁉︎ 何ですかその荷物!」

 セリーヌは風呂敷に諸々を詰め、背負っていた。

「……ピンポーンって鳴ったら、家を出ないといけないとおばば様が言っておりましたわ」

「いや! 荷物を受け取るために玄関に出るだけだから!」

 配送業者は噴き出してしまった。そして、自分の仕事を思い出した。

「家から出て行かなくていいので、ここにサインをお願いします」

 セリーヌは、その狭い空欄にサインを指示された理由がわからない。

「これはわたくしの持ち物じゃなくってよ?」

 配送業者はますます混乱した。そもそもゆう子ではない人が家から出てきた時点で驚きではあったのだ。ゆう子は知り合いが多いわけでもないから、ゆう子の親戚は介護問題に頭を悩ませていると聞いたことがある。

 それなのにだ。なかなか出てこないと思えば金髪ロングで風呂敷を背負った女性が飛び出してきて、日本語は流暢だからどこかのハーフの方かと思えば家を出て行こうとするし、さらにサインを断り、自分の荷物ではないと主張する。いや、確かに彼女の荷物ではないだろう。これはゆう子宛てなのだから。

「なんやセリナ、彼氏おったんやったら先に言わんとわからんで?」

 そうこうしているうちに家の奥から、しれっと当のゆう子が出てきた。平鍬と筍を持っている。

「彼氏じゃないですわ!」

「彼氏じゃないわ! 何ゆうとんねんゆう子さん!」


「エミちゃんからの荷物かいな」

 おばばが届いたダンボールを開封する。

「エミチャンて……。以前わたくしに似ていると、言っていらした?」

「そうや。まあ懲りずによう送ってくるわ。……セリナにはいいかもしれんで? こんなんは」

 セリーヌには、言われた意味がわからなかった。おばばはダンボールの蓋を開け、中に敷いてあるプチプチを取る。

「なっ……。なんですの、これは」

 おばばはいつもの笑みを浮かべる。勝負が始まる合図、……とはならなかった。

「読んでみ。あんたさんははまるかもしれんし、読んで損はしないと思うで」

 一抱えあるダンボールの内容物は、大量のどうじんs……、大量の、漫画であった。

「エミちゃんは東京でこんなん描いててな、知り合いの描いたやつとかぎょーさん送ってくるんや。感想とか言ったら喜ぶで」

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