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第41話 犯人




 セリーヌは、ゆう子に言った。

「キヨ子さんのところに、ワルノ様はおりますの? 確認して欲しいですわ」

「ワルノって、あの娘やないんか? それともセリナとコデリカの友達じゃのうて、知らんワルノでもおるんか?」

 ゆう子は訝しげで、家に戻ろうとはしない。

「その通りですわ。わたくしとコーデリア様の知り合いの、ワルノ様ですわ」

「そいで、その娘がなんか関わりあるんか。あの写真に映っとるんより若いんやから、本人ちゃうんやろ」

「ふふ、それがですわ」

 セリーヌとコーデリア、彼女たち二人は、揃ってにまにま笑みを浮かべて首を横に振った。

「なんや、あれがその娘や言うんか? そない言うてなんぼ向こうから来たもんや言うても、無理があるやろ」

 その問いには、コーデリアが答えた。

「ワルノ様は、お金が欲しいのですわ」

「金かて、キヨ子さんにもろたらええやろ」

「おばば様」

 セリーヌが一歩、前に出た。

「わたくしが、全て説明いたしますわ」


 ゆう子の家の客間に、交番のおっちゃん、そしてセリーヌたちとゆう子が集まった。

「元の世界にいた時の話に遡りますの。ワルノ様はもともと貴族じゃないんですわ。だから、昔からお金とかご飯に対して強く執着していたのですわ」

 ワルノは貴族になったあとも毎日街に繰り出しては、平民の落とした小銭を血眼になって探していた。むしろそれが日課になっていた。

 そしてそれは、この世界に来ても変わらなかった。もう癖のようなものなのだ。スーパーの近くに設置されている自動販売機というものがお金を入れるものだと知るや、スーパーに連れて行ってもらうたびに自販機の下を覗いて、釣り銭受けにお釣りが残っていないかを確認するようになった。

「でもそれは落ちとる小銭の話やって、スーツケースちゃうやないんか?」

 コーデリアがかぶりを振る。

「おそらくワルノ様はこんな大きな荷物なのだから、ようけお金が入ってると思いましたわ」

 こちらの世界に来てまだ日が浅いので、どんなものに何が入っているのか、セリーヌたちはあまり理解していないのだ。貧民街育ちのワルノに至っては、人のものは奪ってはいけないという考え方がほとんど定着していないため、このようなことが起こるとコーデリアは説明する。

「セリーヌちゃん、コーデリアちゃん、そう言うてもワルノちゃんやとは思えんのやけど」

 しかし。おっちゃんの言う通り、まだワルノが犯人とは思えない証拠があった。

「だって、これやで? ワルノちゃんはもっと可愛いやろ? ……顔覚えとらんけど」

「その前に、ですわ。おばば様。キヨ子さんには連絡しましたの?」

 コーデリアの話を聞いて混乱しかけていたゆう子はセリーヌを見た。

「したで。あの娘は散歩行っとる言うとったけど、帰りも遅いし探すんやって」

「やっぱりですわね。それで——」

 玄関のチャイムが鳴った。昼前、本日二人目の来客。

「「私が行きますわ」」

 セリーヌとコーデリアが弾かれたように立ち上がり、玄関に向かう。


「待っておりましたわ」

「やっぱり来ましたわ!」

 そこには、おっちゃんの持つ写真そっくりの女性が立っていた。

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