第37話 竹林にて
「すっかりコーデリア様も元気になられて、よかったですわ。……ところで、ワルノ様はどうやってコーデリア様を回復させたのか、聞いていませんでしたわ」
実は、ワルノはコーデリアのそばについて眠るまで見守り、コーデリアが飛び起きたらあやし、彼女が「トイレに行きたいけど怖い」といえばついて行き、結局ずっとそばについていた。そのせいで寝不足になってしまったのだが、ワルノが「セリーヌには言わないことですわ! これは絶対ですわ」とコーデリアに言いまくったおかけで、いまだにセリーヌは事の真相を知らないのだった。
「そうだわ、最近暑いから、おばば様と一緒にあの竹林に行ったらきっと涼しいですわ!」
有言実行と言って楽しげに、セリーヌはゆう子の元へ向かった。
「竹林言うても、あんたさんが嫌いな虫がよーさんおるんやで? ほんまに行きたいんか?」
「だって、涼しそうですわ。それにおばば様がいたらきっと、最強ですのよ。だから虫は心配いりませんわ」
「そない言うてもや、セリナに付いた虫は払わんで。それでもええんやったら行くけどな」
がっくりとセリーヌはうなだれた。
「そんなおばば様、残忍なおばば様だとは思いませんでしたわ……」
「他にもおばばがようけおっても困るわ。ほんまにそないなことあったらあんたさんも呼び分けに困りそうやな。それはええとして、まだ許可もしとらんのに準備進めて気がはようないか?」
「わたくしもたまには押し切りたいですわ! わたくしにはおばば様がいるから虫など怖くありませんの!」
「そんならええけど……、コデリカにも言わなあかんで」
「もちろん、言われなくてもそうするつもりですわ!」
この暑いのに長袖の服装。長靴に、毛虫対策のタオルを首に巻いている。セリーヌはひと息に持参した水筒のお茶を飲み干した。
「おばば様……。ここまで着込んだら、余計に暑いですわ……」
「そない言うてもや、毛虫落ちてきたら大変や。それに
おまけに蚊も寄ってきていた。最初は長袖だから刺されないだろうとたかを括っていたセリーヌだが、ふと痒みに袖をめくると、そこには赤く小さな腫れがあり、セリーヌは思わず叫んだのだった。
「セリーヌ様……。あちらに誰かいらっしゃるみたいですわ」
そんな時に、コーデリアは何かを発見したようだ。コーデリアが指差す方角から、確かに声が聞こえてくる。
だが。
「コーデリア様、ここはおばば様の林ですのよ。誰か来るなら、おばば様が知らないはずがありませんわ」
「そうやで、誰か来るとも聞いとらんし、誰も竹林になんぞよう行かんからな、不法侵入や」
「「不法侵入ですの?」」
セリーヌとコーデリアの声が揃う。ゆう子は重々しく頷く。
「それならば成敗するまでですわああぁぁぁあああ!」
「やめときんか、どうせ冒険しに来た子どもやろ。まあこんなとこまで来たら、大体帰れんようなってベソかいてるやろけどな」
やる気に火がついた二人は、ゆう子の話も聞かずに痒みなど忘れて駆け出した。




