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第19話 はじまるコメ栽培—共闘—



匈奴きょうどの侵入に、度々頭を悩ませた始皇帝は、ついに……』

「ちょっと、聞いていますの?」

 ワルノが遮りきれずちらりと見えるイメージ映像、緊迫した語り口調のナレーター。

 セリーヌは、鑑賞を邪魔されたことに腹を立てた。

「ワルノ様、少しずれていただけませんこと? この番組、面白いですわよ」

「あんたねえ! 人が話してる時に……、……?」

『一本の城に繋ぎ合わせていったのです……!』

「なんなのよ、これは」

 テレビの声に反応したワルノに、セリーヌは目を輝かせた。

「これはですね、『世界遺産の不思議発見!』という番組でございますわ」

 ワルノはセリーヌに対する怒りより、テレビに意識が向いたようだ。セリーヌの隣に座る。

「この世界には、これがあるってことですの?」

「その通りですわ! わたくしもみてみたいんですの」

 ライバル同士のはずが、会話に花が咲く。はっとしたワルノは、早口で言い訳した。

「ああああんたのことを許してはなくってよ」

「わたくしは悪い子ではないんですの、許すもなにもありませんので大丈夫ですわ」

 風で戸でも揺れたのか、かたかたと聞こえる。ワルノはそれが鬱陶しく、そろりと襖を閉めた。

「…………?」

「ワルノ様、何かあったんですの」

「セリーヌ、これ壊れてるわ」

「そんなはずは……」

 ワルノの力が弱いだけかと思ったセリーヌは強く襖を押した。

「なんてことですの!」

 驚いて手を離す。と同時に、勢いよく襖は開かれた。

「おばば様ァっ!」

 そう。ゆう子が襖に手を挟んで、閉まらないようにしていたのだ。

 セリーヌは大急ぎでテレビの音量を戻し、電源を消す。その間わずか五秒。だが、もう遅い。

「セリナ、なんでテレビ見とるんや。それにな、そこの娘も。二人で何やっとるんや」

 セリーヌは青ざめた。ワルノはセリーヌの様子を見て、ようやくことの重大さを知った。

「おば……。おばおばおばおばばばばばばばばば」

「動揺せずに反省せんかい」

「せせ、セリーヌ? これはどういうことですのよ! わたくしを騙したっていうの? ……おばば様様、わたくしセリーヌに騙されましたの。こんなことになるとは知らずに……ッ」

「ちったあ黙らんかい!」

 ぴしゃりと言い放つゆう子は、一歩進んだ。そしてその背後にいたのは。

「…………キヨコさん!」

 セリーヌの掠れた声に、ワルノは完全に固まった。車に乗る前に逃げたのが、まさかばれていたとは。

「なんやと思たんや。キヨ子さんえらい困っとったで。あんたが急に消えてまうもんやから。……そいでセリナ」

「ひ……ぁいっ」

「あんたさんがこっそり録画しとったんは知ってたんや。やけど、こないな時間からだらだら観るんはあかん。お仕置きやな」

 セリーヌは震え上がった。そして、精一杯に罰を軽くしようとした。

「おばば様……! わたくし、この世界のことが知りたかったんですの。相談すればよかったですわ……」

「相談してもあかんわ。やかましゅうてしゃあない」

 セリーヌは、絶望した。そして傍には、初めての罰を受けんとするワルノがいた。

「ワルちゃんに裏切られたんや、厳しくいかんとな。……まずは、土手の雑草全部抜いてもらおか」

 キヨ子の家は、米農家なのだ。途方もない作業に、ワルノはさらに青ざめた。

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