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第18話 世界遺産の不思議発見!万里の長城編



「セリーヌ・エカテリーネ! ついに見つけましたわ、かような場所で生きながらえて汚のうございますわ!」

「ワルちゃん行くで。早いうちに帰らんと、今日も忙しいんやから」

「覚えておいてくださいまし!」

 翌朝。こうして空から降って来たワルノは、キヨ子さんに連れて行かれたのだった。

「セリナ」

 朝食のあとだというのに、ゆう子が饅頭を手渡してきた。

「おばば様……」

 いつになく、不安さを滲ませるおばばを、セリーヌは見つめた。

「ちょっと食べ足りなかったので嬉しいですわ!」

 そして遠慮の欠片もなく、口に饅頭を丸々一個、放り込んだ。ゆう子は躊躇いがちに告げる。

「セリナ、言いたくないんやったらそれでもええ。けどな、もしいけるんやったら教えて欲しい。……あの娘と、何かあったんか」

「いえ、なにもありませんのよ」

 ゆう子はセリーヌの目を見た。若者ほどぱっちり開かないにも関わらず、その目は見透かすかのようだった。

 しばらくして、ゆう子はセリーヌの横を通り過ぎた。

「そうなん。今から買い物行くから、ちゃんと留守番しいや」

「わかりましたわ。おばば様お元気で……」

「追い出そうとすな」

 てきぱきと準備し、自転車に乗ったおばばをにこやかに見送るセリーヌ。

「……うふふ、ようやく行きましたわね」

 思わず笑みがこぼれる。これは千載一遇のチャンス。

 おばばが見えなくなるなり、家の中に滑り込んだ。その過程で手にしたのはテレビのリモコン。素早く電源を入れ、ハードディスクを起動する。もうこの操作を手元を見ずに出来るセリーヌは、よほどの玄人と言えるだろう。

「ここからは、わたくしのターンですのよぉっ!」

 録画予約は夜中でもできるものの、視聴は夜中にするとおばばが起きてしまう。

 ならば、白昼堂々と観るのだ。今日の仕事はおそらくおばばが帰宅してから。これほどのチャンスは滅多にない。

 彼女はゆっくりと、再生のボタンを押した。広告から始まってしまうが、広告すらも新鮮に感じる彼女にとっては、観る価値のあるものだ。

「シュワシュワして美味しそうですわ、この飲み物……。でも二十歳未満は飲めないって……?」

 彼女はある問いに突き当たった。自分は今、この世界で何歳だろう? 二十歳を超えているのか、超えていないのか。おそらく、元の世界とは年齢の数え方が違うはず。

 ちなみに彼女は元の世界で十七歳なので、一年の数え方が同じだとすると、二十歳を越えることはまずない。

 こうして考えている間に、お目当ての番組が始まったようだ。広大な景色の中に伸びる、外国の城が映し出される。セリーヌは目を輝かせた。

「ここに隠されし謎というより、この景色全てが謎ですわね!」

 その時だ。玄関からがたりと戸が開く音がした。しかし、景色と共に流れる大音量のクラシックが、彼女の認識を阻害した。

 そう。彼女はこの世界に来て、だんだん弱くなっていた。警戒心を忘れ、すっかり油断しきっていた。 

 床板の軋む音が徐々に近づいている。それなのに、セリーヌは気づくそぶりもなく食い入るようにテレビを見つめている。

「ふおおぉ……! 中国なかくににはこんなものがあるのですわね。これが、世界遺産というもの! 素晴らしいですわ……!」

「ねぇあんた」

 誰もいないはずの自分の横に人を発見し、セリーヌは固まった。ついでに息も止めてしまった。

 うんともすんとも言わなくなったセリーヌに、人物は少し腹を立てたようだ。放置されて流れたままのテレビの前に立ち、遮った。

「なんとか言ったらどうなの? 『偽物聖女』のセリーヌ」

「…………あ」

おばばとセリーヌのお話を読んでいただきありがとうございます。

リアクションなどもししていただけるとものすごく嬉しいです。

お手数かと思いますが、よろしくお願いいたします。

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