傷だらけの眷属
「これで最後だ。」
「うわぁ、すごい量……」
リビィは捕まえたクラゲ達を地下冷蔵・冷凍庫に運ばれていた。
全てのクラゲが急速に冷凍していき、今日食べる分だけ調理場に運ばれて行った。
地下に冷蔵・冷凍庫があるのは津波で食糧が流されてない為と島の敷地面積の問題で大食いが多いこの島民では地上で食糧保管をすると島の半分を使う事になってしまうのである。
「でも、この量の食糧を入れて大丈夫なのか?」
「僕の冷蔵・冷凍庫は完璧さ!この量でも温度を一切下げずに運び入れる事が可能!魔石の消費量も前のアップデートで軽減した!この量が増えてもまだ改善前より消費量は減さ!」
メルの心配を他所にハカセは声高らかに説明し出した。
この冷蔵・冷凍庫は魔石による運用がされている。魔石の採掘はまだ安定した採掘技術が確立されていない為、特定の人物しか採掘出来ないのが現状である。
リビィのエコーでこの海域にはかなりの貯蔵量がある事は分かっている為、採掘技術を確立さえ出来れば長年の安定供給が出来るのである。
それでも魔石は化石燃料である。
いつかは枯渇する事が確定している代物なのだ。
だから、ハカセは冷蔵・冷凍庫の多機能化ではなく、効率上昇に力を注いでいた。
シンプルイズベスト
それがハカセのモットーである。
「それでこれが故障品かい?」
「まだ不良品とも、故障品とも決まっていないぞ。」
ハカセが唯一残っている捕獲機を見て言った。
ハカセ的には他の捕獲機には異常がない事から何が故障や不良になったのか原因を突き詰めたくてうずうずしていた。
それを見ていたリビィは苦笑していた。
「まずは開けるか。」
リビィは本当に満タンになっているのか確認するためにこの場で開ける事にした。
鳥ならこの場にいる者達で消費するかと考えていた。
「はぁ?!」
「なんだ?この生き物?」
「僕達に似ているね。」
捕獲機から出てきたのは傷だらけのメルビラン似の生物だった。
クラゲの毒も傷口に直接入っている様で物凄く弱っていた。
リビィとハカセが興味深そうと見ている中メルだけが驚いていた。
「メルは知っているのか?もしかしてこれが大陸の人か?」
メルの空気を読んだリビィはこの生き物が大陸の人だと考えた。
そして、それはメルの反応から当たっていたのだろうと確信した。
何で見たことのない生物をメルが知っているのかはどうでも良い。問題なのはこの生き物をどうするか?だ。
「へぇ、これが大陸の人か。本当に僕達に似てるね。尻尾は見当たらないし、心肺機能も低そうだね。」
「でも、コイツ神の眷属だ。」
リビィはこの生き物から漂う空気に神の空気が混じっている事に気がついていた。
ばあちゃん亀より凄く薄い事から最高でも2年というところだろうと推測した。
「それじゃあ、傷ついているうちに殺す?」
ハカセは実験とかしたいが、この島に神の眷属を抑え付けられる装備はない為今のうちに絞めて食べようと提案した。
弱者なら大陸の情報を抜けるだけ抜いてから絞めようと思っていた。
「流石に可哀想じゃないか?」
「メル様?何言っているですか?弱肉強食、弱っているだからただの餌でしょう?」
メルの発言に心底分からないとハカセは不思議がりながら弱っているから餌だろうと当然の様に発言した。
「…………リビィはどう思う?」
「うーん、取り敢えず治療しよう。」
「えぇー!食べないんですか?」
リビィの発言に驚きを隠せないとハカセは思った。
リビィも食べる派だと確信していたのに餌を強敵にする理由が分からなかった。
「ハカセ、興奮しすぎと焦り過ぎだ。まずはコイツから真っ先に聞かないといけない事がある。」
「あっ!」
「………?」
そこまで言われてすぐにハカセはリビィが何を知りたいのか分かった。
空気が読めないメルは未だに分かっていないようなので説明する事にした。
「リビィ様、この眷属は何でこんなに弱りきっていると思いますか?」
「そりゃ、何か……と戦っ……て…」
自分で一番可能性のあるものを言おうとしてリビィの知りたいものに気がついた。
「この眷属をここまで傷つけた生物が近海に潜んでいる可能性がある!」
「そうだ。だから、この生き物には生きて貰わないといけない。今はな。」
リビィはそう言うとハカセを連れて診療所に向かった。




