地図作成
「ふむ、上空からだとこうなっているのか。」
「リビィ様、どうですが?分かりますか?」
「あぁ、そのまま、上空からの地形を伝えてくれ。」
「分かりました。」
リビィは今、自分達が本拠地にしている島、その近海の島々の地図を作成している。
己だけでも作るのは可能だったが、より精度を上げる為に進化して羽が生えたマルクを連れて上空からの情報も伝えてもらっていた。
言葉だけではなく、ジェスチャーを交えてる事によってマルクがどんな情景を見ているのかの空気を読んでいるのである。
それにしてもこの土紙と土筆と言うのは便利だな。
度々起きる津波や嵐によって、万年、材木不足の島では紙を製作するほどの材料はなかった。
もし作るだけの材木があっても、今の技術では防水性の紙なんて製作不可能なのでメルは粘土版を作って書き記して文字と記録を広めた。
だが、開発担当をしていた一人のメルビランはその粘土板をより軽量に、より利便性が上がるように研究した。
その結果、細かくした海藻と海底産の粘土を混ぜて薄く乾燥させる方法で土紙を完成させたのである。
これにはメルも驚いていた。
前世に比べたら質の悪いが、それでも今までの粘土版に比べたら天地ほど使い勝手が違った。
土筆は薄い土紙にも掘れるように土紙が破れない深さしか掘れないように小さく頑丈な出っ張りが筆先についている。
これによって土紙を破るものは極端に減った。
この島も住むには狭いか。
リビィが態々、こんな事をしているのは防衛拠点の建設場所を絞るのもあるが、増える一族の為の第二の島を探す目的もあった。
メルを含めた今の島の住民は今いる島の発展しか頭になく、先々事柄を後回しにしているのが現状である。
そんな者達を支えるのもリビィの役割だった。
「リビィ様、この島はこれくらいです。」
「ありがとう。マルクのお陰で予定より早く地図が完成しそうだ。」
「リビィ様の助けになるならこの翼を幾らでも羽ばたかせて役立って見せます。」
リビィに褒められたのが余程嬉しかったのか、頬を赤らめさせてリビィに貰った翼を羽ばたかせて喜びを身体で表現していた。
「今日はこれで終わる。続きは明日だ。」
「まだ、私は飛べますが、宜しいのですか?」
長時間、島々を飛び回ったマルクの体力を危惧して、今日の作業を切り上げたのだと思ったマルクは自分はまだまだいけますと言っていたのである。
「そうじゃない。さっきも言ったが、作業は予定より早く終わっている。だから、今からは別の事をする。」
「別の事ですか?」
リビィはそう言うと海に入って別の島へ向けて泳ぎ出した。
そんなリビィに続いて海に入ったマルクも続いて泳ぎ出した。飛んで行く方が圧倒的に楽なのだが、リビィの横で泳ぎたいマルクは態々水鳥の様に翼を折りたたんで泳いでいた。
「此処は今日初めに訪れた島ですね。」
リビィが向かっていたのは、今日最初に地図を作った島だった。
マルクからしたら周辺に比べて異常に高い山があるだけで何変哲もない島だったのだが、リビィが訪れたのからには何かあるのだろうと思い、翼に染み込んだ水分を羽ばたき落として飛んだ。
「この山の頂上に群生する樹木には小さい果実が実っているのだ。」
それはリビィにとって予想外のことだった。
実は実ってもさっさと収穫しないと津波や暴風で落ちてしまって腐るからである。
だから、メル達もあまり果実は食べれていなかった。
どうにか守って熟させて収穫して食べていた。
「でも、この山は標高が高い。此処まで高い津波が来るのはそうない。」
よって、この樹木の実は自然と熟していたのだ。
甘い香りがこの頂上一面を包んでいた。
「おかしいですね?さっきはこんな美味しい匂いしていなかったのですが?」
マルクは朝、飛んでいた時はこんな匂いしていなかったのに、今では同じくらい上空にいてもはっきりと分かるほどの強烈な甘い香りがしていた。
「この木の果実は正午に近づくにつれて香りを強くする性質がある様だ。俺も朝来た時は樹木に近づかないと香ってこない程度の香りだった。」
リビィも頂上付近で疑問に思い、頂上に来て驚いていた。
調査終わりのデザートに良いのを見つけたから。今日を手伝ってくれた褒美としてこっそりマルクと一緒に食べてみようと来て見たら、明らかに朝来た時より美味しくなっている香りがしてきたのである。
「あ、甘い。それに口の中に独特な爽やかな香りが口から鼻へ抜けていきますね。」
「泳いで山を登って熱った身体に爽快な涼しさを感じれて運動後に丁度良い果物だな。」
味、舌触り、香りと共に今の二人には丁度良い果物だった。
これは是非とも島で育てたいと思うと共に、どうやって津波と暴風から守るのかが問題だった。




