海藻の加工
「それでこれがジャックイカ?」
「そうだ。雌雄を五対ほど気絶させて連れてきた。」
リビィは海神にお勧めされたイカを島へ帰る道中によって捕まえてきたのだ。
今はそれをメル達に見せていた。
「このイカは再生能力と触手の収縮性が高いことが特徴だ。」
気絶している今では体長と同じくらいの50センチくらいしか触手がなかった。
「このイカの触手の最長は俺が見たものだと十数メートルまで伸びていた。」
リビィも捕えようと近づいた瞬間にジャックイカが触手を伸ばしてリビィに巻きつこうとしていたが、そこは遠距離用の超音波ビームで対応したのである。
「リビィを捕らえて逆に食すつもりだったのか?」
「いや、触手はビームの衝撃で取れてしまったからな。多分、触手を巻き付けて動きを鈍らしている内に逃げるつもりだったのだろう。」
触手は気絶してリビィに運ばれている間に生えてきた。
「これを家畜にするのか?」
「あぁ、このイカの卵は数も多い。俺達に優良なイカを残していけば家畜になっていくだろう。」
リビィはそんな事よりこのイカを管理する檻は出来ているのか?と聞いてきた。
「いや、それが順調とは言えない。」
メルは申し訳なさそうにリビィに報告した。
「メルが申し訳する必要はない。あんな無茶な注文をする奴が悪いんだ。」
暗い顔をするメルを励ます様にサビスが発言したが、誰が見ても明らかにリビィに攻撃的な発言をしていた。
「無能の言い訳はどうでもいい。それよりメル。問題点は?」
「…………素材だな。広大な範囲を囲むのに必要な素材が足りない。」
サビスの発言をぶった斬ったリビィはメルに聞いた。
メルは気まずそうに質問に答えた。
メルの注文は広大な海に家畜を捕らえておく檻だった。そこに餌などを与えやすい様にするための物も追加で作らないといけないので、場所も限られてはいるが出来なくはなかった。
「この島に生えている植物の量では無理があるんだ。」
メルは家畜の檻には網を使って前世の生簀みたいにするつもりだった。
ただ、問題なのはこの島では家畜が逃げない強度で網を作り、試行錯誤で檻を作ろうにも網の材料自体が足りないのだ。
「水深が深いところに作るには軽い素材で作って浮かせないとダメだが、この島で作れるものではその条件に該当するのは網のみだ。」
サビスがメルの発言を捕捉する様に意見を述べた。
「リビィ、こうなったら発展するまでは少ない土地でいける種に方向転換した方がいいんじゃないのか?」
メルとしてはリビィの提案を叶えてあげたいが、それでも今の自分達には実現不可能であった。
「はぁ………」
「何だよ?」
リビィがまるでダメな子を見る様な目でメル達を見て長いため息を吐いた。
「それはこの島ではだろう?」
「そうだが?言っておくが、近くの島も合わしてそんなに変わらないぞ。」
メルはリビィがこの島以外の近海の島を言っているのだと思い、リビィが発言する前にそれも計算に入れていると伝えた。
「惜しいが違う。」
「じゃあ何だよ?」
「それは陸に生えている植物だろう。海藻は含んでいるのか?」
陸に慣れすぎて海に生えているものを忘れていると言っているのだ。
「何を言うかと思えば、海藻だ?!そんなのが網になる訳ないだろう!」
サビスはリビィの意見に反発した。
それはリビィの事が嫌いだからではなくそんな事は昔に試していると言う事だった。
「あれらを網など陸の植物の様に加工できないかと試行錯誤した時期はあるが、結局成功しなかったんだよ。」
メルが昔に提案したのではない。
メルが考案した紐や網を見て、他の者達が海藻でもいけるのではないのかと試したのである。
「だから、無理なんだよ。」
サビスは完全に否定した。
「はぁ…………………………」
リビィはさっき以上のため息をした。
「何で俺がこの提案したと思っているんだ。出来るからしているに決まっているじゃないか。」
メルやサビスの反論には頭を抱えていた。
俺を誰だと思っているのだと、そろそろ俺の空気を読め、メルと思っていたのである。
「俺が家畜探しの移動中に何もしていなかったと思っているのか?」
「出来るのかそんな事?」
少なくともメルには移動中に泳ぎ以外を並行して身体を動かすことなんて出来ない。
それは他の者達も一緒だろう。
眠らなくても泳ぎ続けれるメル達でもそれは不可能な事であった。
「出来るから言っているんだ。俺の脳はお前達より並行活用出来る上に泳力を数%しか落とさない精度で動かす事が可能だ。」
と言うよりその特訓も兼ねて脳を活用していた中に海藻の加工があっただけである。
「そんな瑣末な問題。もう解決済みだ。」
だから、さっさと作業に取り掛かれとリビィはサビスに命令した。




