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小児科


その日以降、僕はリハビリではなく検査に追われていた。

つい先日まで僕は障害があると思われていた様でその検査だった。


何日も検査を繰り返して、結果は至って正常。

他の子と比べて少し身体の成長が遅れているとは言われたがそれ以外は全く問題無かった。


身体の成長と言っても8年間眠り続けて運動が行えなかったせいであってこれから徐々に追いついていくと言われた。


父さん達は相変わらず毎日僕のお見舞いに来てくれている。

むしろ、話せるようになってからはいつも以上に早く来て中々帰ろうとしなかった。


父さんは母さん達が来ても帰ろうとせず

「もうちょっとだけ!今蒼空くんと盛り上がってたところだからもうちょっとだけ!」


「ダメよ!響は家に帰ってご飯の用意をする決まりでしょ?!昼間たくさん話して夜もだなんてズルいわっ!」


「そーそー!パパずるいー!」


なんて事を言われて渋々家に帰る父さん。


一方の母さん達も


「の、野上さん…面会時間は終わりましたからその……」


「もうちょっと!今蒼空くんと話し込んでるからもうちょっとだけ!」


「お願い先生!お兄ちゃんともっといっしょにいたい!」


「し、しかしですね……」


「ーッ!渚達なにしてるんだ!ほらっ!早く帰ってご飯食べるよ!ほらほら!」


と、先生が父さんに連絡してやってきた父さんに連れて帰らされるといった感じだった。




検査も一段落して、僕のリハビリがようやく再開した。


一週間以上リハビリをしていなかったせいか、以前よりも立ち上がるのに体力を使った。

以前の僕なら体力の限界までリハビリをして早く歩けるようになろうとしてただろうけど、今は違っていた。


無理をせず、ゆっくりとリハビリをしていく。

これは父さん達と僕が話し合って決めたことだった。


話せるようになり、父さん達に心配させることは少なくなった。

そして意思の疎通ができる。安心させてあげなくちゃという気持ちはまだあったが、それ以上に無理をして心配をかけてはいけないと思った。


父さん達も僕にゆっくりでいいから、一緒に頑張ろうと言ってくれた。


僕はそうしてゆっくりと進めることにしたのだ。



リハビリが始まってからすぐトレーナーさんに僕は謝罪した。

僕の無茶が原因でトレーナーさんには悪いことをしてしまったと。


そう謝るとトレーナーさんは僕が話せることにビックリしながらこちらこそと謝っていた。

僕とトレーナーさんは交互に謝り続け、それを見た父さんが笑ってしまいつられて僕とトレーナーさんも笑ってしまう。


それからは僕とトレーナーさんはよく話すようになった。

なんでも男の子とあまり話したことがないと言って僕と話すのをトレーナーさんは楽しそうにしていた。

小中高と男子がいないクラスだったらしく、大学では女子大に進んで話す機会がなかったらしい。


小中高で男子と同じクラスにならなかったって、どれだけこの世界で男子は少なくなってしまったんだろう…

テレビでニュースを見ていると時々男子の出生率が何%かダウンしたと耳にするけど、それほどまでとは思わなかった。

僕が眠っていた8年間のうちにかなり下がってしまったようだった。



リハビリが再開して数ヶ月、僕が目を覚まして1年が過ぎた頃


僕は今まで使っていた脳外科の個室から小児科の個室へと移動してきた。


僕は初めは個室ではなく複数人の病室へと入るんだろうと考えていたけど違った。

複数人の病室には男子が一人もおらず全員女の子。


それを聞いて僕は女の子に悪いからしょうがないですねと先生に話たが

「ん?いやいや、それはないよ。女の子達からしたら大喜びだろう。個室に入るのは君を女の子から守るためだよ」


と言われた。

女の子から守るってどういうことだ…確かに、男女の価値観は変わっていると言っても僕はまだ9歳になったばかり。

入院している女の子達だってまだまだ子供なのに守るような事起こるのだろうか…



父さんにこのことを聞いてみると、

「あぁ、それは当然だよ。だって蒼空くんは男の子だからね。ほら、女男七歳にして席を同じうせずってことわざがある様に……」


と説明してくれた。確かに似たようなことわざが前世にあったが、そんな意味合いだっけかと思う。

僕の知らないことがまだまだこの世界にはあるのだと実感した。




僕が目覚めてから一年と3ヶ月が経った。

リハビリも順調に進み、僕は支えを突きながらではあるが歩けるようにまでなっていた。


僕が歩けるようになった日には病室で父さん達が小さなパーティーを開いてくれた。

本来ならいくら個室だろうと病院内でケーキやお菓子などは食べられないのだが先生が特別に許可をくれた。

久々に食べたケーキとお菓子はとても甘くて、懐かしい味がした。


支えを突きながら歩けるようになった僕は念願のお風呂に入れることとなった。

これまでも数回父さんの手を借りて入ってはいたのだけれど、今回からは自分一人で毎日入れるようになった。


小児科のお風呂を使うのだが、男女別々なのはいいとして何故か男子の脱衣所にいく通路には鍵のついた扉と監視カメラが備わっていた。


お風呂に入ることを看護師さんに伝えると鍵を渡される。


「いい?ちゃんと中に入ったら鍵を閉めて扉があかないか確認してね?」


そう言われて僕は送り出される。

ここまで厳重にしなくても覗きなんかないだろうに…ましてや僕は男の子だ。

世界があべこべになってるとはいえ僕自身、男の子の体というのに危機感を感じていない。

それでもこの世界の女の子は覗いてきたり忍び込んだりするのだろうか…


気になった僕はお風呂を上がったあと看護師さんに聞いてみることにた。


「あの、なんでお風呂入るのに鍵しめたりカメラで監視なんかしてるんですか?」


「ん?んーなんでって言っても…男の子だからじゃない?男の子が裸でお風呂に入ってるのを目の前に黙って見てる女の子って中々いないと思うよ?……実はうちの小児科も前に女の子がお風呂に忍び込んじゃってね…それで鍵と監視カメラつけたんだ。内緒だよ?」


「は、はい…」


何と言うか……この世界の女の子はアグレッシブというか性欲盛んというか…

前世の世界では想像がつかない。

女の子が覗き…男の子なら前世でもあったけど、それでも当たり前のようには行われていなかった。


それに比べてこの世界では当たり前のように女の子が覗きをすると。


別に男の子の体なんて見ても楽しくないのにな……


僕は楽観的に考え、特別警戒する気は起きなかった。

それがこの先色々な女の子達にサービスとして扱われるとはつゆ知らずに。



蒼空くんがだんだんとこの世界の社会を垣間見て行きます

ようやく本格的にあべこべしていきます!

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