俺達は
パパ目線
俺は渚と二人で家に帰ってきた。
色々なことがあって疲れはしたが、結果的には良かったと隣にいる渚を見て思う。
「…ねぇ?響。…話、聞いてくれる?」
渚が俺に聞いてくる。その声は先程までの震えこそないが未だに怯えを含んでいた。
「うん。聞くよ。二人で話そう。」
そう言って俺は渚をつれてリビングのソファーに腰掛ける。
ふぅ。と息をつくと渚が俺の手を掴みながら話し始めた。
「響。まずは、ごめんなさい。病院で私、怒鳴ったりして…」
「ううん。それはもう大丈夫だよ。」
うん、大丈夫だ。だってあれはほんとの事なんだから…
「私、蒼空くんを見るまでずっと忘れてた。あんなに蒼空くんが出来たって知った時は喜んでたくせに、そんなことまで忘れてたんだから母親失格よね。」
そんなことないよ。と、言おうとしたが渚は続けて話していく。
「蒼空くんがもう目が覚めないって聞いたとき、私は世界が真っ暗に感じたの。真っ暗で、何も見えなくて……こんなの嫌だって思った時には蒼空くんのこと忘れてた。…それでね、気がついた時には蒼空くんのこと忘れててて、なんで私病院にいるんだろう?って」
渚は振り返るようにあの日からの話をしている。
「違和感はあったけど、確証が得られないまま時間が過ぎていって…響が必死に隠してくれてたのにも違和感感じて…っ…それでっ、私、響が浮気してるってっ!」
その声は次第に大きくなり、嗚咽も混じり始めていた。
「響が浮気してるってッ!思ったら我慢…っできなくて!そしたら私、響の後つけてて…っ」
渚はいま自分で振り返りながら自分を責めているんだ…。忘れてた自分に
「それでっ…!姉さんや先生と会ってるところ見てっ…誤解しちゃって…っ!もう分けわかんなくって!……気がついたら響を襲っちゃってて……」
今度は声のトーンが下がっていく。目は涙で赤くなっており、その顔は悲しみに笑っているような、呆れた自身をあざ笑うような顔していた。
「でもね、覚えてるんだ、私。…響を襲った時ね、すっごい満たされてた…征服してるって、私のものだって…………ははっ。あきれちゃうわよね。最っ低の人間よ、私は。」
違うよ渚。そうじゃないんだ…悪いのは、俺なんだ…
「そっからはもう、それしか考えられなくて……蒼海ちゃんが出来るまでずっと私は響を襲って楽しんでたのよ。……記憶がなかったなんてのは言い訳にしかならないわ。」
渚がソファーから立ち上がって俺の前に立つ。
「響、本当にごめんなさい。私、こんな酷い事続けてきました。最低な女です。」
渚は俺の前に立ちそういうと、こんどは膝をついて座り込んだ…いや、座り込んだんじゃない。土下座…と、いうやつだ。
「こんな最低な私でも…響から離れたくありません。…私に出来ることならなんでもします。謝り続けろというのなら一生謝り続けます。気が済むまで殴らせろって言うならいくらでも殴ってくれて構いません。……だから、お願いします。私を捨てないで、離れていかないでください…っ!」
そういうと渚は再び泣いていた。ごめんなさいと。許しを必死に請うように。
「やめてくれ渚…ちがう、違うから……」
そう言って俺は土下座している渚を抱きしめた。
「渚がそんなに自分を責めることないんだよ。あれは俺が決めたことだ。記憶がなくなったのだって、渚のせいじゃないんだ!……だから、お願いだから、そんなに自分をせめないでっ」
「響…でも、私……」
「いいから!………もう、いいから…。謝らないで?…俺は、渚を嫌ったりなんかしないから。」
「ひ、響ぃぃ……」
そう渚は俺の名前をいうとより一層強く泣いた。嗚咽しながら、鼻水も涙も一緒くたに垂れ流しながら渚は泣いていた。
「ほら、渚?顔を拭いて…女前な顔が台無しだよ…」
そう言って俺は渚の顔を拭いてやる。
渚はまだ少し肩を上下にしながらひっくひっくと嗚咽していたが、段々と落ち着かせていった。
「……ありがとう、響。……ほんとうに、貴方の奥さんになれてよかった。」
「俺もだよ、渚。」
そういって俺達はしばらくの間抱きしめあっていた。
落ち着いた俺達は久々に二人っきりの夕食を作っていた。
俺と渚の二人で料理を作って、二人で食べさせ合いながら夕食を食べた。
夕食の後にはお風呂にも。俺は少し恥ずかしかったが渚がどうしてもとお願いしてきたんだ。
お風呂から上がり、寝室へ行く。
「…ねぇ?響?…ほんとに、していいの?」
渚は不安そうな顔で俺に聞いてくる。
「いいんだよ。それに、俺だって渚としたいんだ。」
「そう……。」
そういうと渚は俺をベッドに押し倒し、口を塞ぐ。長い口付け。お互いを確認し合うように、優しく。
「……ぷはっ。…響、愛してるわ」
「んっ…俺も、愛してるよ渚。」
そうして俺達は、愛し合った。長い間の記憶を埋めるように。
その心に大きな誤解を生んだまま。
女前ってのは男前の女バージョンだと思ってください。いきなり単語出して申し訳ない




