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天使さん


翌日


俺達は光さんのところへ来ていた。

預かってもらっていた蒼海ちゃんを連れにきたのと、謝罪をするためだ。


俺も一緒にと思ったのだが、姉妹で話をさせてと言われ俺は蒼海ちゃんと別の部屋で待っていた。

しばらくして渚と光さんが戻ってきたのだが、二人は明るい表情をしていて俺は安心した。

一時は最悪なところまでいった姉妹関係だったがどうやら修復できたらしい。

兄妹のいない俺にとってはそんな二人が羨ましった。



光さんにお礼を告げ俺達は一旦自宅に帰ってきた。

そのまま病院に行っても良かったのだが、手術が終わってからにしようと話し合って決めたのだ。

そして、蒼海ちゃんにも話をしておかなきゃいけない。


「ねぇ?蒼海ちゃん?大事なお話があるんだ」

と、俺は蒼海ちゃんに話しかける


「んー?なーに?パパ」


「実はね、蒼海ちゃんにはお兄ちゃんがいるんだ。蒼海ちゃんより一つ年上のお兄ちゃんだよ」

俺はそのままを伝えた。もう少し間接的に伝えていく方法もあったのかもしれないが、このあとすぐ会いにいくので時間がない。


「……ほんとっ?!わたし、おにいちゃんいるの?!」

蒼海ちゃんは顔を輝かし始めた。


「うん。本当だよ。でもね、内緒にしてた理由があるんだ。」


「りゆー?」

蒼海ちゃんは不思議そうに聞いてくる。


「うん。実はね、お兄ちゃんはずっと眠っちゃう病気なんだ。いつ起きるかわからなくて、それで今まで蒼海ちゃんには内緒にしてきたんだ。ごめんね」


「ずっとねてるの?どーして?」


「それがね、お医者さんでもわからないんだ。……でもね、蒼海ちゃんや、パパやママが起きてーってお願いすればお兄ちゃんも起きてくれるかもしれない。だから、今日は3人でお兄ちゃんのところへ行くよ。」

蒼海ちゃんには眠っていると伝えた。植物状態と説明してもこの子にはまだ難しすぎるから。


「うん!わかった!おきてー!っておにちゃんにおねがいする!」

そういってワクワクし始める蒼海ちゃん。突然できた兄妹に喜んでくれているのだろう、良かったと一安心。



俺達は3人で病院へ向かった。

受付で聞くとどうやら手術は終わっており、蒼空くんは病室にいるとのこと。人工呼吸器の取り外しだけだった為、手術は思いの外早く終わっていたらしい。


俺達は病室へ向かう。

病室へ入ると蒼海ちゃんが蒼空くんのベッドへ駆け寄っていった。


「…………」

蒼海ちゃんは無言で蒼空くんを見つめていた。


「蒼海ちゃん?どうかしたの?」

と、渚が蒼海ちゃんに問いかける。


「……てんしさんだ……」


「天使さん?」俺は蒼海ちゃんに聞き返す。


「…おにいちゃんはてんしさんだっ!」

すると蒼海ちゃんは顔を輝かせてそう言った。


「わたしのおにいちゃん!てんしさんみたい!!」


「天使さんって、どういうこと?」

渚は良く分からないと蒼海ちゃんに聞いている。


「えっとね!このまえテレビでやってたの!てんしさん!」

テレビで…それを聞いて思い出す。

このまえ3人でテレビを見ていたとき児童向けのアニメがやっていた。その中に天使が子供を助けているという物語がやってたのだがそれのことだろうか?


「それって、この前やってた女の子を助けてくれる天使?」


「そう!てんしさん!とってもきれいなんだよ!!」


そうか。と、俺は合点がいく。蒼海ちゃんは蒼空くんの外見が天使のようで天使さんと言っていたのだ。

確かに寝たままの蒼空くんは成長していると言っても体は細くて肌も白い。もちろん日光を浴びてないからシミやソバカスなんてないし、怪我も喉以外には見られない。


「わたしのおにいちゃんてんしさんだったんだ!……ねぇ!おきてーっておねがいしてもいい?!」


蒼海ちゃんは声をかけたくて仕方が無いらしい。

俺はいいよと言った。もしかしたら何か反応してくれるといいな


「わかった!……おにいちゃん!おきてー!いっしょにあそぼー!」

蒼海ちゃんは声をかけていた。


「おにいちゃんー!わたし、いもうとのうみだよー!」

声をかけ続けるも蒼空くんには反応が見られない。次第に蒼海ちゃんがしょんぼりとし始める。


「…おにいちゃん、おきてくれない……。」


「大丈夫よ、蒼海ちゃん。おにいちゃんはまだ眠くてしょうがないんだって。これから暇な時には3人でお兄ちゃんのお見舞いに来ましょ?そうすれば、いつか起きてくれるわよ」

と、渚は蒼海ちゃんをはげます。


「…うん!わたし、いっぱいいっぱいおにいちゃんにあいにきたい!」

そう蒼海ちゃんはまた笑顔をし始める。

いい子に育ってくれたなと俺は嬉しくなる。

こうして3人でお見舞いにこれるなんて少し前まで思いもしなかった。また一歩前進できたと、俺は思っていた。







(はやくおきてね!わたしのてんしさん!)




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嬉しくて震える

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