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生活


「ねぇ?ほんとに行くの?」

渚が袖をつかみながら俺に言ってくる


「もう何度目だよそれ…」



あの喧嘩の後、俺が光のところへ行くと言って玄関に立つたびに渚はこうしてくる。


「仕事なんだから。ほら、遅れちゃうから離して?」


「もうちょっと、もうちょっとだけだから。ね?…あっ!そーだ有給って事にして今日は休んじゃおう!姉さんには私から電話して――」


「あーほっぺた痛いなー渚にぶたれたほっぺたがジンジン痛むなー」


「…………わかったわよ。離します。だからその話はもう忘れて…」

渚がバツの悪そうな顔をしながら手を離す。


「渚が毎回こんな事しなければ俺も言わなくて済むかもね。」


「はーい……それじゃあ、いってらっしゃいのチュー」


「んっ……うん。それじゃあいってきます」


軽い口ずけをして家を出る。

だが向かう先は光さんの家ではない。病院だ。

もちろん光さんのところへ行く時もあるが週に2回あるかないか。それ以外は病院に直接行っている。

光さんのところへ行く日も、仕事を受け取り挨拶を済ませてから病院に向かっている。


そう、俺はあれから毎日病院に通っていた。

病院につくと受付で担当の先生を呼んでもらう。しばらく待っていると先生がやってきた。


「野上さん、ごきげんよう。ではこちらへ」


そう言って蒼空ちゃんの病室…NICUへ向かっていく。


「おはよう蒼空ちゃん。今日もパパ来たよ。そばにいるから、起きたくなったら教えてね?」


そう、ガラス越しに声をかける。

お見舞いと言っても特にできることはない。NICUはバイオクリーンルームとなっているためおいそれと部屋に入れるものではない。

そして室内には蒼空ちゃん以外にも集中治療を受けている赤ちゃんがいるのだ、俺のわがままで入るわけにはいかなかった。


俺は蒼空ちゃん声をかけたあとNICUのとなりにある休憩室で仕事をする。

パソコンで原稿の修正をしながら夕方まで過ごす。


「それじゃあパパ帰るね。また明日蒼空ちゃん」

そう声をかけて病院を後にする。


家に帰ると食事の用意。渚が帰ってくる前に支度しないと。

正直この生活を初めてすぐはとても疲れていた。


朝起きて洗濯掃除を済ませてから食事の用意。

渚を起こしてご飯を出してから着替えて家を出る。

病院では仕事をし家に帰ってすぐ食事の用意をはじめる。


食器の片付けをしてお風呂に入る頃には体はクタクタ。予想はしていたがこんなに疲れるとは。


だが弱音は吐けない。守らないといけないものがあるから

一週間もしたら自然と体は慣れてきた。辛い事には変わりないが耐えられないほどじゃなくなっていた。


あとどれほどこの生活が続くのだろうか……いや、終わりがあるのか?

そんなことを最近は考えるようになった。

ほんとは考えたくないのだが蒼空ちゃんに会いに行くたびに考えさせられる。


ほんとに目覚めてくれるのか?もう無理なんじゃないのかと。


そんな事を思いながら食事の用意をし、愛する妻の帰りを待つ。











7月23日。蒼空ちゃんが倒れてから三ヶ月が経とうとしていた。

未だ続くパパ目線

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