26話 少女の遊園地その③
「「「ごちそうさまでした!」」」
3人がターキーレッグを食べ終わり、手を合わせてごちそうさまを言う。
「ねぇねぇ!パパ!次!あれ乗りたい!」
そう言って翔真くんの指の先にあるアトラクションを見て私は固まった。
(モンス親方のジャングルフライヤー!)
そう書かれたアトラクションはこのモンキーランドの中心にデカデカとそびえ立つ巨大観覧車である。
「彩華お姉ちゃん!あのね!ジャングルフライヤーのてっぺんはすっごく高くて!モンキーランドが全部見えるんだよ!」
「ひぇっ!」
翔真くんがわざわざしてくれた説明に私は小さな悲鳴をあげてしまう。
「もしかして?彩華ちゃん高いところダメなのか?」
秋羅さんが私の異変に気づいたのかこちらを覗き込みながら聞いてくる。
「はい……ジェットコースターとかスピード感があればいいんですが……観覧車みたいなゆっくり高いところに行くのが苦手で……。」
私は下をみながらボソボソ答える。
「そっか……翔真!ジャングルフライヤーにはパパと乗ろうなー!彩華ちゃんは下のベンチで待っててくれ!」
秋羅さんはいつもみたいにとっても優しい声色で優しい提案をしてくれる。
「えー!!彩華お姉ちゃん!てっぺんの景色すっごく綺麗なんだよ!一緒に見ようよ!」
翔真くんの中にはもう私と一緒に観覧車のてっぺんで景色を見ることが決定してるようで私の手を持って駄々をこね始める。
「おい!翔真!彩華ちゃんは高いところが苦手なんだから無理言っちゃダメだろ!?」
駄々こねる翔真くんを秋羅さんが叱りつける。
いつもお利口な翔真くんといつも優しい秋羅さんのふたりには珍しい姿に私も緊張してしまう。
「だって…だって……彩華お姉ちゃんに綺麗なのを見て欲しくて……」
翔真くんは涙を目もとに貯めながら顔をくしゃりと歪ませる。
「翔真から見たらその景色は綺麗なのかもしれないけど……彩華お姉ちゃんからしたらそれは怖い景色なんだよ!」
秋羅さんさいつもみたいな優しい口調で翔真くんを諭すが、翔真くんはそれに対してついに涙を零しながら首を横に振る。
「でも……でも……」
きっと翔真くんの頭の中では景色を見て綺麗だと感動する私の姿が頭にあるようでなかなか諦められないのだろう。
「私……ジャングルフライヤー乗って見ます!」
「えっ?……」
私のポロッと出てきた覚悟の言葉に翔真くんは私の方を見て目を見開く。
「だってー翔真くんがそんなに見て欲しい景色なんでしょ?きっとそれって怖いの忘れちゃうくらい綺麗な景色だよね!私も見てみたい!」
私は覚悟を決めて、翔真くんの涙を払拭するために無理をする。
「ほんと??」
翔真くんは溢れ出ていた涙を服の裾で拭いながら聞いてくる。
「でも私も苦手なものに挑戦するんだから!今度翔真くんが苦手なピーマン食べてみようね!」
「……うん…」
私がここぞとばかりに翔真くんに交換条件を出すと、翔真くんは弱弱しくコクリと頷いた。
「彩華ちゃんはいいお母さんになりそうだな……」
私は右側から聞こえた優しい声にガバリと目線を送る。
「そそそれって!翔真くんのお母さんですか!?」
私はいきなりなことにテンパってしまってかなりの勢いで聞く。
「ちっ違う!これは……将来彩華ちゃんが誰かと結婚したらいいお母さんになるって話だ!」
秋羅さんは焦った様子で訂正している。
「ふふっ!ちゃーんとその誰かに秋羅さんのことも入れて置いてくださいね!」
私はそう言って秋羅さんをからかうと、秋羅さんはいつもみたいに怒るのではなく私から目線を外して首の後ろをかいていた。
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明日、朝6時に27話を投稿します!27話も読んでいただけるとありがたいです。
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