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25話 少女の遊園地その②

家族と行く遊園地より、修学旅行で行く遊園地の方が仲良い友達たちと行けるから楽しい。


 この考え方が一般的だと私は思う。


 ただ、私の場合たしかに修学旅行も楽しかったけど、秋羅さんと翔真くんの私が思い描く理想の家族の一員として遊園地にいれることが嬉しくて、心から楽しいと思えた。


キャラクターたちとの写真撮影もアトラクションも全てが楽しくて、翔真の笑顔がずっと眩しかった。


「パパーお腹すいたぁ」


 翔真くんのそんな言葉で私はスマホで時間を確認して、もう11時30分だという現実に驚かされる。


 時間を確認してしまうとなぜだか私もお腹が空いた気がしてくる。


「よし!レストランに行くかぁ」


 秋羅さんの掛け声と共に私たち3人はレストランに向かいながら何を食べるかをネットの情報をみながら話し合う。


 だが、現実はそんなに甘くない。


「なんだこれ……」


「やばいですね……」


「ひといーーぱい!」


 レストランには人がパンパンで入れそうになかった。


「翔真くん!こういう時は人がゴミのようだ!って言うんだよ!」


 私は終始眩しい翔真くんの表情が曇らないようにボケをかます。


 (ピンッ!)


「いたぁぁぁぁいー秋羅さんのデコピン痛すぎるぅ」


 そんな私にデコピンという名のあまりに痛いツッコミが帰ってきて私はおでこを抑えながら悶絶する。


「翔真に変なこと教えるな!」


 私に秋羅さんが注意してくるが、私の意図を汲んでいるようであっちもツッコミで言ってるのがわかる。


「パパ……これじゃあ食べれないねぇ……」


 私と秋羅さんの場を和ませようとする努力も翔真くんの空腹には勝てなかったようで落胆の声をあげる。


「そうだなぁ……」


 これには秋羅さんも落ち込んでしまったようで2人して目を合わせて落胆を表している。


 そんな息ぴったりな2人を私は可愛いなと思いながらもなにか打開策はないかと周囲を見渡す。


 その時レストランの横にある屋台が目に入る。


「それじゃあ!とりあえずあそこのターキーレッグ食べません?」


「たーきーれっく??あっ!!保育園で友達が言ってた!モンキーランドのたーきーれっくは最高に美味しいって!パパ!食べに行こ!!」


 私がターキーレッグを指しながら言うと翔真くんもターキーレッグのことを知っていたようでテンションをあげて秋羅さんのことを連れて行く。


 翔真くんのテンションが戻ってくれて良かったと安堵していると翔真くんに連れていかれている秋羅さんがこっちを振り返る


 「ありがとうな!」


 単純な感謝の言葉、人生で何度も言われたことがある言葉のはずなのに人生のどんな感謝の言葉より嬉しくて心を暖かくする感謝の言葉。


 私は秋羅さんからの感謝の言葉に答えたくて精一杯のピースサインを向ける。


 あぁ〜私きっと今顔が赤いんだろうなぁ。


 私は火照った頬と溢れ出すくらいに鼓動する心臓に素直な感想を思い浮かべた。


「はむっはむ……うみゃァーーい!!」


 そこにはターキーレッグにかぶりついて満面の笑みを浮かべる天使がいた。


 私も天使に見習ってターキーレッグを口いっぱいに頬張る。


「ほんとぉー美味しいねぇー」


 ターキーレッグが口の中いっぱいに入ったことでターキーレッグのホロホロの肉の隙間から溢れ出す肉汁とあまじょっぱいソースが絡み合って口の中が旨味でいっぱいになる。


「翔真!口の周りにソースがついてるぞー」


 そんな私と翔真くんの姿を見て微笑ましそうな笑顔を浮かべている秋羅さんを見て私はちょっと恥ずかしくなる。


 秋羅さんは翔真くんの口の周りにベッタリついたソースに気づいたようでカバンからティッシュを取り出している。


「ほんと?パパー拭いてー」


 翔真くんも秋羅さんの指摘に気づいて秋羅さんが構えたティッシュをに身を委ねようとする。


 だが、私は知っている!口の周りについたソースの最高の食べ方を!


「っちっちっちー!翔真くんも秋羅さんもわかってないですねぇー!口の周りに着いたソースはこうやってとるんですよー!」


 私はティッシュを構える秋羅さんを手で止めて、秋羅さんと翔真くんの注目が自分に向いたことを確認して自分の口の周りについたソースを舌で舐めとる。


 私の行動に翔真くんは目を輝かせていて、秋羅さんは何故か私の唇を凝視していた。


 秋羅さんの視線に私は恥ずかしさを感じながらもふつふつとイタズラ心が込み上げてくる。


「こーやって食べるのがいーちばん美味しいんだよぉー」


 私はできるだけ優美に見えるようにイタズラな笑みを浮かべながら秋羅さんの方を見ながら言うと、秋羅さんは惚けた表情を浮かべていた。


「うわぁーー!!ほんとだァーおいしいー!」


 秋羅さんの惚けた表情に私まで惚けそうになっていると私の真似をした翔真くんから大きな歓喜の声と満面の笑みが向けられて私は意識を取り戻す。


「でしょでしょ!やっぱり翔真くんわかってくれるかぁ!」


 私は少し誤魔化す気持ちを隠しながら笑顔を翔真くんに返して二人で共感しあう。

 

 (っコン)


「いったァー!なんでデコピンするんですかぁ!」


 私が翔真くんと共感し合ってると、おでこに秋羅さんのデコピンがまた襲来して、私はおでこを抑えながら秋羅さんに抗議する。


「翔真に行儀悪いこと教えるな!」


「えー美味しいのにー」


 秋羅さんの正論に私は軽い抗議を述べながら1つ私の頭に悪巧みが浮かぶ。


私は悪巧みを実行に移すためにターキーレッグに豪快に食らいつく。


豪快にかぶりついたせいで私の口の周りはさっきよりも多い量のソースが付いている。


「じゃあー口の周りについたソース取ってくださーい」


 そう言うと私は目をつぶり唇を少し尖らせながら秋羅さんに近ずいて行く。


 さーて秋羅さんは私の口の周りを拭き取ってくれるのか……それとももしかして……キスで拭き取ってくれたり……キャーー!!


 (コンッ!)


「いったァー」


 ですよねぇー私はおでこに残る痛みを感じながら予想できていた結果に少し落胆する。


「自分で拭け!」


 秋羅さんは私のターキーレッグを持っていない方の手にティッシュを持たせてくるが、その目線はどこか外れている。


「はーい!」


 私は少しでも秋羅さんへの悪巧みに効果があったことを確認して、上機嫌で唇をティッシュで拭くと、秋羅生さんの視線が唇に落ちていることに気づく。


 そんな秋羅さんにエッチと言うべきなのか、意気地無しと言うべきなのか悩んだが、素直に指摘するのはなんか癪だった。

 

「秋羅さんのバァーか」


 私の絞り出した悪態を受けて秋羅さんは頬を少し赤く染めていた気がした。

お読みいただきありがとうございます!!


明日、朝6時に26話を投稿します!26話も読んでいただけるとありがたいです。


また、面白いと思っていただけのなら評価・レビューいただけたら幸いです。

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