20話 少年と少女の契約
「パパー!明日からお休みなんでしょ?」
翔真が俺の手を引っ張りながら上目遣いで言ってる。
大体、翔真がこの行動に出る時は何かを企んでいる時なので、苦笑いを浮かべる。
「そうだよ!」
「どれくらいお休みなの?」
翔真が上目遣いのまま首を傾げて聞いてくるので、俺は翔真の顔の前に4本の指を立てて出す。
「土日もあるから4日間休みだよ!」
「そんなに!パパよかったね!じゃあさ!じゃあさ!僕、遊園地にいきたい!」
「よし!わかった!じゃあ3日後の土曜日に遊園地行こう!」
俺は翔真の前に出した4本の指のうち一本を折って説明した。
「やったー!!!遊園地ー遊園地ー!!」
「翔真くんよかったねぇー!パパと楽しんできてねぇ!」
「えっ?……彩華お姉ちゃん来ないの?」
彩華ちゃんの発言に翔真は驚いたようで、半ば泣きそうな顔で彩華ちゃんに言いよる。
「もしかして?遊園地とか嫌いなのか?」
翔真の勢いにたじろいでいる彩華ちゃんに助け舟を送るために、俺は理由を聞く。
「いや!あんまり行ったことはないですけど嫌いじゃないですよ!?」
彩華ちゃんは俺の質問に対して首を振って答える。
「じゃあ土曜日他に予定があるとか?」
「今のところないですね。」
彩華ちゃんは確認するような思い出すような素振りをしながら答える。
「じゃあどうしてこれないんだ?」
俺はこれ以上理由が思い浮かばず、諦めて彩華ちゃんに理由をきく。
「いやぁ…そのぉ……」
彩華ちゃんは気まずそうに頭をかきながらいいどもる。
「いや、無理にとは言わないが、翔真のためにも来てくれないか?」
俺は自分でもずるいとは思ったが、翔真の名前を使って問い詰める。
「行きたいんですけど、今月……バイトとかあんまり入ってなかったから……お金が……なくて……」
彩華ちゃんは暗い顔色で顔を下げながら言う。
「はっはっはー今更何をwお金は俺が出すから心配しないでいいよw」
俺は彩華ちゃんの予想外の回答に半ば笑いながら答える。
「ダメです!そう何でもかんでも秋羅さんに出してもらうわけにはいきません!それに!遊園地ですよ!入るだけで結構な値段になりますよ!」
彩華ちゃんは半睨みで勢いよく否定をしてくる。
その言葉は俺に言ってるようでなぜか彩華ちゃん自身にも言っているような感じがした。
「それなら…家で留守番してくれたお礼として一緒に行ってくれないか?」
俺はそんな彩華ちゃんの姿がなぜか痛々しく見えて、優しく提案する。
「留守番のお礼は焼肉をいただきました!なので!これ以上もらえません!」
彩華ちゃんは強い意志を感じさせる強い言い方で否定してくるが、その表情は自分の欲望を抑えているのがわかった。
どうしたものかぁ…
この数日彩華ちゃんと過ごしてわかったが、彩華ちゃんはお金のことや欲望のことになると自分を押さえて曲がらなくなる。
「むむむぅ!!!!!パパ!来月から僕!お小遣いいらない!」
俺の隣で頬を限界まで膨らませていた翔真の頬と感情が爆発して怒鳴るように言い放つ。
「翔真くん!?」
「パパ!僕のお小遣いから彩華お姉ちゃんの遊園地のお金だして!」
爆発した翔真の勢いは止まらず、俺へと懇願してくる。
「翔真くん!?どうしてそうなるの?お小遣いなくなっちゃうんだよ!?」
彩華ちゃんは翔真の勢いにタジタジになっている。
「パパは彩華お姉ちゃんがお留守番してくれたお礼に焼肉食べさせてあげたんでしょ!?なら僕は彩華お姉ちゃんが留守番してくれたお礼に遊園地行かせてあげるの!?」
翔真は美穂に似て一度決めると折れないので、諦めるしかないということを彩華ちゃんにアイコンタクトで伝えると、伝わったのか諦めの表情を浮かべる。
「こりゃ……行くしかないな!彩華ちゃん!」
「はい…でも……翔真くんのお金で行くのはお姉ちゃんとしてやっぱり……」
彩華ちゃんはこの展開にどうすればいいのかわからなくなったようで困り顔でこちらに助けを求めてくる。
「それじゃあ!今彩華ちゃんはお金がなくて、遊園地に行けないんだから、翔真がお小遣いをパパから先にもらって、彩華ちゃんに貸してあげて、彩華ちゃんは毎月翔真に借りていたお金を返してあげるって言うのはどうだ?」
俺はできるだけわかるように言ったつもりだが、翔真にはまだ難しかったようで首を傾げている。
「そうすれば……彩華お姉ちゃんも遊園地いける?」
翔真は理解するのを諦めたようでストレートに自分の目的が叶うか聞いてくる。
「あぁ!これで彩華ちゃんも遊園地一緒に行けるぞ!」
「やったぁーー」
俺が翔真に優しい声で伝えて頭を優しく撫でると、翔真の喜びが爆発したようで勢いよく駆け回って行った。
「翔真ーあんまり遠く行くなよぉ!」
「はぁーーーい!」
「ふふ……翔真くんほんとに嬉しそう!」
駆け回る翔真を見ながら彩華ちゃんは嬉しそうに微笑む。
その姿が、俺の隣にずっといた美穂そっくりで俺の歩みが止まる。
「どうしました?……もしかして!私に見惚れちゃいました?」
歩みを止めた俺の数歩先まで歩いた彩華ちゃんがこちらを振り向きながら向けてくる笑顔はいつもの彩華ちゃんの笑顔で、そしてやっぱり美穂のイタズラな笑みに似ていた。
「いや!なんでもない!ってか!見惚れてない!」
「えぇー今の顔完全にほのじでしたよぉー!」
「さっき言ったが彩華ちゃんにはこれから翔真のお小遣いを代わりに渡してもらわないとな!よし!彩華ちゃんに優しい翔真に感動したから来月からお小遣い3万円とかにするか!頼んだよ!彩華ちゃん!」
俺は何かを誤魔化すように彩華ちゃん隣に行き彩華ちゃんの肩を触りながら言う。
「えっ!今の幼稚園生ってそんなにお小遣い貰ってるんですか!……やばい!どうしよう。」
3万円というふっかけた金額に彩華ちゃんは動揺したようで頭を抱え出す。
「あはは冗談だよ!翔真のお小遣いは月1000円だからよろしく!」
俺の訂正に、彩華ちゃんの動きがピタリと止まる。
「ん?……大丈夫か?」
「だーまーしーたーなぁー!!」
彩華ちゃんは顔をがばりとあげて、俺の方へと走ってくる。
「こりゃ捕まったらやばそうだ!」
そうって俺は逃げる
「逃げるなぁー!!」
「んん!?彩華お姉ちゃんどうしたの!?」
「翔真!逃げるぞ!魔王さやーかの攻撃だー」
俺がニヤリと笑いながら翔真に言うと、俺の意思を掴み取ったのか翔真も美穂によく似た小悪魔のようなにんやり笑顔を浮かべて走り出す。
「我は魔王さやーか!人間どもよ!逃げよ!逃げよ!」
彩華ちゃんもニコニコと笑いながら俺らを追いかけ始める。
なぜだろ…ニコニコなはずなのに俺への目線は笑っていない気が…w
お読みいただきありがとうございます!!
明日、朝6時に21話を投稿します!21話も読んでいただけるとありがたいです。
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