88話 VS騎士団②
「ぬおぉぉぉぉ!」
メイランのブレスにより、身体が燃やされるゴリスター。
「我に集いし劫火の炎よ……」
メイランは今がチャンスとエクスプロージョンノヴァの詠唱を開始したのだが、ずっと燃やされているゴリスターではなかった。
「うおぉぉぉぉっ!!!」
ゴリスターは身体を回転させて炎を振り払う。
多少時間は要したものの、身体に纏わりついた炎を全て鎮火させることに成功した。
しかし、メイランの上級魔法の準備に必要な時間は稼ぐことに成功。
「滅却せよ! エクスプロージョンノヴァ!!」
エクスプロージョンノヴァの詠唱が終わり、太陽みたいな火球が2つが出来上がる。
その内1つがゴリスター目掛けて落ちていき、もう1つはノシュタールへと放たれた。
「弾き返してくれる!!」
ゴリスターは地面を粉砕、その反動で浮かび上がった地面が形を変えてゴリスターの拳に集結していく……すると、俺のアブソリュートフローズンを打ち砕いた奥義である土の拳が出来上がる。
ゴリスターは、その拳でエクスプロージョンノヴァを殴り付けた。
「ぬおぉぉぉぉぉぉ!!」
火球とゴリスターの拳が均衡し足元の地面を抉っていく……が、徐々にゴリスターの拳が火球を押し返していく。
「なんと素晴らしい威力の魔法か! だが、ワシは負けぬぞぉぉぉぉっ! ぬおぉぉぉぉらぁぁぁぁっ!」
ゴリスターの拳が火球に勝ち、火球がメイランの元へと跳ね返された。
「う、嘘でしょ!?」
メイランは跳ね返されたエクスプロージョンノヴァをギリギリで避けるも、上空に打ち上げられたエクスプロージョンノヴァは途中で大爆発、2つ目のエクスプロージョンノヴァもオルガーに着弾しており、2つの爆風が時間差でステージ全体を襲った。
メイランは爆風によりバランスを崩し墜落。エクスプロージョンノヴァを2つ発動したことによって魔力がすっからかんになっているので、起き上がる事も出来なかった。
ゴリスターも立っては居られないのか、地面に両手と片膝を立てて持ち堪えることしか出来なかった。
ーーー数分前ーーー
ソルトはオルガーに休み無く連撃を畳み掛けていた。
「瞬歩!」
「……っ!」
瞬歩を発動して防御の薄い所へ攻撃を仕掛けるも、オルガーは素早く反応して盾で防いでくる。
膝凸や蹴り上げ、ローキックにミドルキック、回し蹴りと様々な蹴り技を流れるように繰り出していく。
ソルトはスピリムとシャープネスが効いている間に仕留めてしまいたいと考えていたが、流石は騎士団1のタンクなだけあって一撃すら貰ってくれない。
「硬いっすねぇ!」
「……ふん!」
オルガーはタイミングを図り、盾を突き出すようにしてソルトを押し返した。シールドバッシュだ。
ソルトは押し返されて身体が浮くが、そのまま綺麗に着地。
「……!」
オルガーは長剣でありながらも、細剣のように突き刺す際の構えを取る。
「瞬剣」
オルガーは剣を突き出すと、タンクとは思えないくらいの速度で突っ込んできた。
「っ!」
ソルトは右ステップで躱し、通り過ぎたオルガーを見る。
オルガーはソルトが躱したにも関わらず、そのまま技を繰り出したまま直進していく。
一体何処に向かうのかと先の方を見た瞬間、ようやく状況を把握した。
オルガーが向かった先では俺とノシュタールが交戦中であったが、その更に背後からはメイランが放ったエクスプロージョンノヴァが迫っていた。
「ま、マジっすか!?」
ソルトは俺の援護をすべく、オルガーの後を追い掛ける。
俺とノシュタールは純粋な剣術で剣とナイフで打ち合っていた。
風魔力を乗せたナイフで応戦しているのだが、ノシュタールには効いていない。
ノシュタールの純粋な力量に押され、俺は押され気味だった。
「くっ……」
「さぁ、いつまで防げるかな!?」
剣術では間違いなく勝てない……それなら相手の想像を超えるような力を出さなければ負ける。
そして、背後からはメイランのエクスプロージョンノヴァが迫っている。
内心やばいとは思っていたが、ノシュタールがこちらの行動を妨げてくるので避けられない。
「……ふっ!」
「!」
俺はオルガーが迫っている事にギリギリ気付いて辛うじて回避するが、その隙をノシュタールに剣で斬られる。
「ぐぁぁっ!」
ノシュタールに斬られ、地面を転がる。
オルガーは俺を通り越して、エクスプロージョンノヴァを盾で受け止めた。
「ご主人! こんのおぉぉっ!」
「ふっ!」
遅れてやってきたソルトはノシュタールへ蹴り込みに行くが、剣を合わされて靴と剣がぶつかり合う。
俺はソルトがダケと取ってくれた事に感謝し、すかさずヒールを自分にかける。
「ぐっ……ヒール……」
あまり深い傷ではなかったのですぐに傷は回復。
装纏のおかげでそれ程深い傷にはならなかったのが大きいが、魔力が少し持っていかれてしまった。
「装纏のお陰で助かった……」
装纏で俺のステータスも結構上がっている、詳細はこうだ。
(狼人族の姿、右は装纏時)
STR D→C
VIT F→D
INT E→E
DEX A→A+
AGI D→C
劇的に防御力が上がっており、攻撃力と素早さが1段階ずつ上がっている。
カエデが個人戦の時に大ダメージ受けた、その際に持ち堪えたのもこの防御力が上がっていたお陰なのだろう。
回復を済ませ、瞬間的に周囲を見渡し状況を把握する。
ノシュタールの相手をソルトに任せ、俺はオルガーに迫ることにした。
エクスプロージョンノヴァを受け止めるのに集中していて背中がガラ空きの彼を倒した後、エクスプロージョンノヴァを受け止めてノシュタールに向けて受け流す。
この試合に勝つには、このエクスプロージョンノヴァをノシュタールにぶつける他ない。
「ちっ!」
「行かせないっす!」
ノシュタールは俺を止める為に動こうとするが、ソルトは脚撃を繰り出して行く手を阻む。
ドォーーーーン。
メイランの方面で爆発が起きる。エクスプロージョンノヴァの1つが爆発したようで、爆風がこちら側へもやってくる。
「ぐっ!?」
「や、やばいっす!」
「こんな威力……これではオルガーが!」
熱はそこそこだが、爆風の威力が高い。
前回放ったエクスプロージョンノヴァの何倍も威力が高い事が分かり、このままではマズいと感じた。
「アイスウォール!!」
「……っ! 瞬歩!」
俺は即座にアイスウォールを展開、そしてソルトも瞬歩の対象を俺にしたようで背後に移動してきた。
ノシュタールは剣を地面に刺し、それを支えに爆風を堪えている。
アイスウォールが溶けそうになるが、魔力を流して持ち堪える。
オルガーはエクスプロージョンノヴァを受け止めていた事により、爆風が受け止められずそのまま喰らってしまう。
そして、受け止めていたエクスプロージョンノヴァにまで飲み込まれてしまった。
「うおぁぁぁぁぁっ!!!」
2つ目のエクスプロージョンノヴァの爆発が起きる。
大量の魔力をアイスウォールの維持の為に注ぎ込み、何とか防ぎ切ることに成功したものの、魔力の半分以上が持っていかれた。
エクスプロージョンノヴァに飲み込まれたオルガーは場外へ弾き出される。
ノシュタールはそれを防ぐ魔法等はなくて素で持ち堪えたようだが、結構なダメージはあるように見えた。
「……やばいわね。1人は何とか消し飛ばしたけれど……私、もう限界そうだわ」
メイランはエクスプロージョンノヴァにほぼ全ての魔力を注いでしまったが故に、墜落した後は動けずにいた。
味方2人はちゃんと防いでくれたのを確認出来たが、勝つ為に2人を危険に晒してしまった。後で謝らなければと考えていた。
「ぬぅ……」
「……っ!」
ゴリスターが立ち上がり、こちらに歩いてくる。
爆風を生身で受けたが為に身体へ大きなダメージを与えたものの、ぎりぎり耐え切ったようだ。
「あの青年同様、お主もなかなかやりおる……ワシがここまでダメージを食らうとは」
「……そうね、ドラゴン族自慢の魔力を殆ど注いでやったわ……ざまぁみなさい……」
メイランは会話自体は可能なものの、身体はほぼ限界に近かった。場外へ弾き出されるギリギリ状態だった。
「その様子を見るに、もう戦えぬだろう。ワシが外へ投げてやろう」
「そうね……悔しいけど、もう指1つ動かせないわ。抵抗しないからやって頂戴……」
「……では、いくぞ」
(ごめんなさい……コウガ様……)
メイランは場外へ投げられて失格となり、残るは両PT2名ずつとなった。




