89話 VS騎士団③
メイランの放ったエクスプロージョンノヴァによって、生き残ったのは共に2人ずつになった。
盾役であったオルガーを倒すことに成功したものの、メイランはその魔法により魔力を大半消費してしまい、ゴリスターによって場外へと投げ飛ばされてしまった。
「……メイランのおかげで1人減らせたな」
「っすね。ゴリスターもかなりのダメージ入ってるっすから、メイランのおかげで勝ち筋が見えそうっす」
俺とソルトは共に頷き……。
「アクセルブースト!」
「瞬歩!」
2人同時に加速スキルを発動、行き先はゴリスターだ。
身体を見るにゴリスターは既にボロボロだ、今の内に速攻をかけて仕留める!
「……っ、まずい! フレイムアクセル!」
ノシュタールも俺達の向かう先がゴリスターなのに気付き、剣を地面から抜いて急いで援護に向かう。
しかし、ノシュタールは脚が早い訳ではなく攻防に優れたステータスなので、加速スキルを持ってしても狼である俺達には追い付けなかった。
「シェミィ装纏!」
コウガは四足歩行へ切り替え、シェミィ装纏させる。
「はぁぁぁぁぁ!」
俺より先に瞬歩でゴリスターに辿り着いたソルトは、回し蹴りでゴリスターの腹部を狙う。
「ぐぬっ!?」
ゴリスターも腕をクロスにしてガードするが、瞬歩の加速が乗った蹴りにより身体をよろめかせる。エクスプロージョンノヴァによる身体的ダメージが大きかったようで、あの肉体にもダメージが入りやすくなっている印象だ。
「てぃ! せいやっ! はぁぁぁぁ!!」
「ぐぼぁっ!!」
よろけたゴリスターに3連撃を加えて、身体がくの字になる。
そこへ最後に両手を地面につけ、両脚をゴリスターの腹部に蹴り上げ、ゴリスターを上空へ打ち上げる。
「ご主人!」
「ナイス、ソルト!」
シェミィ装纏させてしっかり魔力を圧縮していき、身体に纏わせた魔力を身体にフィットさせる。
これは、カエデの使うシェミィとの協力奥義……2人共、俺に力を貸してくれ!
「装纏猫、疾風弾!!!」
「ぬおぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
カエデの奥義を、上空に浮いたゴリスターへ喰らわせる。
ゴリスターはダメージ上限により、場外へと弾き出された。
「はぁぁぁぁ!」
「……っす!」
背後から迫っていたノシュタールにソルトが気付き、篭手で剣を受け止める。
「騎士団は定期的にこの武闘会に出ているけど、最後の一人になった事なんて……過去に一度しかないよ。素晴らしいね」
過去に一度……なるほど、恐らくミツキ達が出場した時の話だな?
「そうっすか、光栄っすね」
「……少し、本気を出そうか」
「!?」
ノシュタールの雰囲気が変わっていき、剣に炎が宿っていく。
「ソルト! 下がれ!」
「っす!」
ソルトはバックステップで俺の所まで下がる。
「さぁ……ここからは全てを解禁しようか! 覇道、滅炎斬!!」
炎を宿した剣……それが振られると身長より高い炎の塊がこちらに伸びてくる。
「避けろソルト!」
「うわぁ!」
お互いに左右へ回避したものの、ソルト側の方にもう1度技が放たれていた。
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
「ソルトっ!」
ソルトに攻撃が命中、ダメージ上限によりステージ外へ弾き出される。
「くっ……これで1対1か……!」
遠距離で先程の技を放たれ続けるのはマズイ。
接近戦を挑むべく、ノシュタールの元へ走っている間にナイフへ風魔力を纏わせていく。
「風刃!」
放たれた炎の塊が通り過ぎた瞬間を狙い、風刃を放つ。
「!」
ノシュタールは剣を振りかざしかけていたが中断してガードをする。
「今だ! アクセルブースト!」
その隙を狙いアクセルブーストで間を詰める。
「はぁぁぁ!」
「はっ!」
ナイフと剣が合わさると、互いに攻防しながらも刃を打ち付けあう。
「くっ……」
「ナイフ捌きがまだまだ甘いね」
攻防してはいるが、やはりノシュタールには剣術で敵わない。
「ここだ!」
「ぐっ!?」
防ぎ切れない攻撃が俺の身体を装纏ごと傷付けていく、炎を使われている以上アイスウォールなぞ役に立たない。
俺はなるべくナイフに魔力を溜めて、剣が当たる瞬間に弾けさせる。
ノシュタール相手にはあまり効かないが、一瞬離れる隙が生まれればそれでいい。
「その程度じゃ攻撃を緩めさせようなんて無理だよ!」
剣をいくら弾いても即攻撃が飛んでくる。
「くそっ!」
打ち合いも危険だと感じ、俺はアクセルブーストで間を詰められないように移動しつつ防御に徹する。
「ちょこまかと!」
速度ではこちらが上だが、剣を避ける為に確認して避けながら動いているので、間が一向に開かない。
「……! そろそろ終わりにしよう!」
「!?」
ノシュタールの剣が赤く光り出す、すると移動先の地面が急に赤く光出して魔法陣が浮かび出す。
そこは先程、エクスプロージョンノヴァを耐えるためにノシュタールが地面に剣を突き刺した所だった。
「炎陣!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
魔法陣より火柱が立ち上がる。俺はそれに飲み込まれ、身体中が激しく燃えていく。
この炎は恐らく、設置型の魔法……相手が踏み入れた瞬間に発動するタイプ。
まさか、あの時に魔法を設置までしていたのか……?
気付いた時には、俺はステージの外へ弾き出されて倒れていた。
要するに……負けてしまったのだ。
「……」
天を見上げながら、俺は目を閉じた……俺達の出番は終わったのだと悟って。
サンビークで勧められた力試し。
結果は、個人戦3位決定戦に勝って3位と、団体戦は準々決勝のベスト8となった。
ステージ外には救護班が既に居たが、ミツキも既に近くにまで来ていた。
「お疲れ様です、コウガさん」
「ミツキか……すまんな、負けちまった」
「いえ、騎士団相手にここまでやれたコウガさん達は凄いですよ」
「……そうだといいけどな」
「魔力ポーションです、飲んでください」
「ありがとう」
魔力ポーションをがぶ飲みして魔力を回復させる。
飲んでいると、ノシュタールがこちらへやってくる。
「お見事だったよ、コウガ君」
「……いや、まだまだですよ。本気出した瞬間敵わなくなりましたから」
「逆だよコウガ君、私に本気を出させたと評価するべきだよ」
「……」
と、言うことは……そもそもは相手にならないと言われているような物だ。
本気を出させたとはいえ、中々に複雑である。
「……嫌味ですね」
「事実なのだから、それは仕方ないのではないのかい?」
「……ごもっともで」
「ふふ、では後で集まる場所を話そうか。ではまた後で」
ノシュタールが入場口より退場していく。
「では、俺達も戻りましょうか。みんな医務室に居ますよ」
「……だな、肩貸してくれるか?」
「お易い御用です」
ミツキの肩を借りて、医務室へと歩いた。




