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転生したトリマーがもふもふ尻尾なケモ耳娘と旅に出る  作者: ひょーう.CNP


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49話 ノイシュ

「ねぇねぇご主人様。そろそろノイシュに着くんだし、まだ人が居ない内に変身先を決めた方が良くないかな?」


 野営を終えてカリオンさんPTと共にノイシュに向かっている最中、カエデに決断を迫られた。

 そろそろ決めないといけないのは自分でも分かってはいたが、やはり迷ってしまう。

 今の所ソルトとは絆を紡げていないので、カエデの狼人族かメイランのドラゴン族の2択になるのだが……どうしようか。


「やっぱり、まだ悩んでるんだね。なら、ご主人様にお願いがあるの。私と武闘会で戦って欲しい」

「えっ!?」


 意外だった。メイランのような戦いが好きならともかく、カエデが戦いたいって言うとは。


「もちろん、場合によったら当たる前に敗戦する可能性もあるから、それならそれで別の機会にするけどね。私はご主人様のモノ、だからこそ、私の全てをご主人様にぶつけてみたい! あのフードを追い掛けるに至って、1度ご主人様と全力でぶつかった方が良いと思ったの」


 フードを追い掛けるのと俺とぶつかるのに何の関係があるのか分からないが、カエデに思う所があって決めたのなら応えたいと思う。


「……分かった、それに応えよう。ただメイランは良いのか?」

「うん、実はもうメイランちゃんには話してあるよ。って言うか2人で決めたんだよね」

「そうだったのか。もしかして、野営の火の番の時か?」

「そう、あの時に話してたの」


 カエデは何のやり取りがあったのか、話してくれた。



 ーーー数時間前、カエデsideーーー



 火の番ローテーション2番手だった私とメイランちゃん。

 1番手だったカリオンさん夫妻とサリーナちゃんに起こしてもらって、火の番をしていた時の事。


「ねぇカエデ、コウガ様は変身先どっちにすると思う?」

「うーん……正直分かんないかな。未だに教えてくれないって事は迷ってるんだと思う。ご主人様は優しいから、私達の中から贔屓したくないんだと思う」

「そうね、コウガ様はそういう御方よね。でもそろそろ決めないと、もうすぐノイシュに着いてしまうわ……」


 そう、今日の野営が終わって朝出発したら、昼頃にはノイシュに着くらしい。

 近付くにつれて人が増えてくるはず、そろそろ変身しておかないと魔法使いの姿のまま戦う事になる。

 1対1の戦いに魔法だけで戦うのは無理ではないとは思うけど、個人戦じゃ接近戦に対して分が悪い。私の狼人族かメイランちゃんのドラゴン族になっても魔法自体は使えるんだし、どちらかにはなっておくべき。


「ねぇメイランちゃん……もしさ、私が個人戦に出てご主人様と戦いたいって言ったら……怒る?」

「……そうねぇ、私だってコウガ様と戦いたいわよ。でも、カエデがそんな事言うなんて珍しいわね。理由を聞かせてもらって良いかしら?」


 メイランちゃん戦い好きだもんね、ご主人様と気兼ねなく戦える絶好の機会だから。


「今、あのフードを追い掛けて旅をしてるけど、まだまだ力が足りない……私は、もっと強くならなきゃいけない。村を壊滅させたあの人を、確実に仕留めなきゃいけない。でも……ソルトちゃんをみて、メイランちゃんをみて、私……このままで良いのかなって思ったの」

「……」


 メイランちゃんは黙って私の話を聞いてくれていた。

 相槌を打つ訳でもなく、じっと私の顔を見つめながら。


「私、シェミィをテイムして以来、強くなってる気がしないの。ただ単に武闘術レベルが上がったってだけで、物理技もない、魔法もない、ただ身体強化して殴るだけ……このままじゃダメなのっ!」

「カエデ……」

「安心して背中を任せられるご主人様に、今の私の全てをぶつけたい。そうする事で、何か掴めるかもしれない……そう感じるの」

「なるほど……ね」


 メイランちゃんが少し考え込む。

 ただの我儘なのは分かってる。もしメイランちゃんが引き下がらないなら、別のアプローチを考えよう。正直にご主人様に相談して……。


「良いわよ、カエデのやりたいようにやりなさい」

「えっ……!? 良いの……?」


 意外だった、戦い好きのメイランちゃんがあっさりと引いてくれるなんて。


「えぇ、カエデがそう言った真剣な我儘なんて今まで無かったじゃない。今回は譲ってあげるわ。ただし! 次は私に譲りなさい、それで良いわ」

「うん……! 分かった! ありがとうメイランちゃん!」

「頑張りなさい、一皮剥けるといいわね」

「うん!」



 ーーーーーーー



「そんなやり取りがあったのか」

「うん、ご主人様……我儘言ってごめんなさい」

「いいよ。自分の成長で悩んでたなんて……気付けなくてごめんな」

「ううん、いいの。多分だけどそんな素振りなんて全くしてなかったと思うしね。その代わり……私と当たったら、遠慮せず全力で来て欲しい」

「分かった、約束する」


 普段のカエデを見てても、そんな素振りはなかったはずだ。

 シェミィのテイムして以来か……あの時は操られたシェミィにやられたんだったな、あの時からか。

 俺はカエデの種族、狼人族へ変身した。


「ご主人様、やっぱり狼姿が似合うね。ドラゴン姿ももちろん素敵だけど」

「ありがとう」


 こうして俺とカエデが話している最中、メイランとソルトの2人は話が聞こえないように若干離れて歩いていた。


「カエデ、ちゃんと言えたようね。コウガ様が狼姿に変身したわ」

「あ、本当っすね。カエデとなんかあったんすか?」

「カエデはコウガ様の1番奴隷だから、色々あるのよ」

「色々っすか?」

「気にしないでおきなさい」


 ソルトの頭にハテナがいっぱい浮かばせているような顔をしている、メイランはそれを見て少し楽しんでいるようだった。


 暫く歩いていくと街が見えてきた、遠目に見ても大きな街に見える。

 街は壁に囲まれており、その端にはドームが見えた。あれが武闘会会場か?


「大きいですね、あれがノイシュですか?」

「ええ、そうですよ。ちなみに、あのデカい建物が武闘会の会場です。ノイシュという街はあの会場で成り立っていると言っても過言じゃありませんね」


 カリナさんが追加説明を添えて答えてくれた。

 武闘会……どんな人が集まってくるのか、そして俺達は何処までやれるのか、楽しみだ。

 武闘会開催までは今日含めまだ4日ある。今日は観光するとして、明日から2日間はみっちり特訓だな。


 ノイシュに到着し、門番に身分証を見せて街へ入る。

 カリオンさんの案内のお陰で武闘会の会場には迷わず来ることが出来た。

 近くで見てもかなりでかいドームだ。言うならば……前世でいう東〇ドームを少し小さくしたくらいの規模だ。


「コウガ君、武闘会の参加受付はここだ。規定人数もあるから早目にするといい」

「ありがとうございます、受付して来ますね」


 俺はみんなを引き連れて受付へ向かうと、狐人族らしき受付嬢が座っていた。

 素晴らしい、見事なもふもふ具合の尻尾だ。トリマーとしての血が騒ぎそうになる。


「武闘会の参加ですか? すみません、団体戦は大丈夫なのですが、個人戦の出場枠が規定人数を超える参加希望者がいらっしゃるので、抽選枠を競っての抽選になってしまいますが……よろしいですか?」

「あぁいや、俺達は推薦枠で参加する事になってます。これが推薦証明です」


 俺はサンビークでゼミラさんから貰った推薦証明を提示した。


「これは失礼しました! 拝見致します、少々お待ちください」


 受付嬢が推薦証明に目を通す。


「確認しました。サンビークからの推薦枠で間違いないので、推薦枠で受付致します。個人戦と団体戦両方出場しますか?」

「はい、確か個人戦が2名と団体戦が3人チームですよね?」

「はい、その通りです」

「なら、個人戦の2名が俺コウガと、隣の狼人族のカエデで。団体戦が俺コウガと、後ろに居るドラゴン族のメイラン、砂狼族のソルトでお願いします」

「かしこまりました、チーム名はありますか?」

「あっ」


 しまった、チーム名がいるのか。考えていなかったな。


「すみません、チーム名考えてなかったです」

「ふふ、大丈夫ですよ。開催前日までに決めていただければ反映致します。決まらないならリーダーの名前が反映されたチーム名になります。今なら恐らくコウガチーム、となりますね」


 チーム名で名前を呼ばれるのは恥ずかしすぎる、忘れないようにしなければ。


「恥ずかしいんでちゃんと考えます……」

「その方がよろしいですね。決まったらまたこちらに来てください、お待ちしてます!」

「分かりました、ありがとうございます!」


 受付が終了、無事に武闘会に参加出来る事になった。

 個人戦がもう規定人数いっぱいになってるとは思わなかったな、推薦枠で来てて助かった。

 もし、また参加する機会があるなら早目に来ることにしよう。


「受付終わったようだね、規定人数は大丈夫だったかい?」

「はい、俺達はサンビークからの推薦枠なので大丈夫ですよ」

「推薦枠の出場!? サンビーク、あそこのギルドマスターは確か……ゼミラさんだったか。あの人の信頼を得るとは、コウガ君は凄いのだな」

「いえ、たまたまご縁があっただけですよ」

「それでも凄いわよ、コウガ君。私達を助けて貰った時から思ってたけど、凄い素質あると思ったもの! ゼミラさんの目は確かね」


 カリオンさんやカリナさんもゼミラさんを知っているみたいだ、きっとサンビークにも来た事があるのだろう。


「さて、コウガ君達は宿を何処にするかは決めているかい?」

「いえ、これから探そうかなと」

「なら私達の泊まってる宿に来てもらいましょう! サリーナもその方が良いわよね?」

「いいの!? 私、みんなともっと一緒に居たい!」

「ほら、そう言ってるけどどうする?」


 俺はみんなの顔をみる、こりゃ決まりだな。


「分かりました、その宿にしますね」

「決まりね! 行きましょう」


 俺達はカリオンさん達が泊まっているという宿に向かい、武闘会が終わる日まで連泊することに。


 宿を確保したし、今日はノイシュを観光に出掛けるとしますか!

ご覧頂きありがとうございます。

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