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転生したトリマーがもふもふ尻尾なケモ耳娘と旅に出る  作者: ひょーう.CNP


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47話 スタッチの大群

 悲鳴が聞こえ、何事かと3階層の階段を駆け上がった俺達。

 3階層に到達すると、1人の男冒険者が深刻な顔をしてこちらに走ってきた。


「すすすすまん! 助けてくれ!」

「何があったんですか!?」

「モモ、モンスターハウスに遭遇してしまった! 奴が……奴が来る!」

「奴? どんなモンスターですか!?」

「ご、ご主人様……あ、あれ……」


 カエデは顔を真っ青にして震える指を前に突き出していた。

 その方向を見てみると……。


「うっ……!?」


 思わず吐き気がした。

 身長の半分くらいの、めちゃくちゃデカい黒茶色のGらしき物体が多数こちらに向かってきていた。


「も、モンスターハウスにそれはやばいだろ! 逃げるぞ!」


 俺達と助けを求めてきた男性冒険者は2階層の階段へ向かって走りだす。俺は緊急事態の為にやむなくドラゴン族に変身し、後方へブレスを吐く。

 メイランもそれに気付き、同じようにブレスを吐いて追手を足止めする。

 Gも流石に炎には弱かったのか足止めには成功、無事に2階層へ降りることが出来た。

 暫く様子を見たが追っては来ないようだ。


「取り敢えず助かったか……」

「君達のお陰で助かった……ありがとう……」

「いえ、助かってよかったです。あの……ここへはソロで……? もしかして他にも……?」

「……あぁ、3人PTだったんだが、2人はいきなり頭上から現れたスタッチに、逃げる暇なく呑み込まれてしまった……俺を助ける為にサリーナが魔法で俺を吹き飛ばしてくれて……くそっ……!」


 男性冒険者は悔し涙を流す、聞けば2人は姉妹で姉とこの男は夫婦なんだそうだ。

 夫婦……か。


「ご主人、スタッチは1体1体は弱くて攻撃力もかなり低いっす、だからこそ集団狩りしてくるんすけど……何かしらで守りを固めていたら、生きてる可能性はあるかもしれないっす」

「なるほど……このまま生きてる可能性を否定して、逃げる事はしたくないな……行こうか。カエデ、ソルト、この人の護衛を頼む。俺とメイランとシェミィでスタッチを叩く」


「「「了解!」」っす」


 俺とメイランはブレス、シェミィは風の刃の遠距離攻撃がある。

 接近戦の2人はアイツらの相手するには相性が……いや、多分生理的に難しいだろう。


「君達……またしてもすまない……妻のカリナと義妹のサリーナを頼む……!」

「分かりました。2人の護衛から離れず、待っててください」


 俺とメイランとシェミィは再度3階層へ足を踏み入れた。

 先程焼いたスタッチが地面に転がっており、生きているスタッチが見当たらない。出現場所へ戻ったかその辺を徘徊してるのかもしれない。


「メイラン、シェミィ、奴を見付けたら即討伐だ、いいな?」

「了解」「にゃ」


 スタッチの死骸を避けつつ奥へと進んでいると、やはりゾロゾロと徘徊している大量のスタッチを発見。速攻ブレスで焼き払う事にした。

 焼き払いつつ周りを見ると、スタッチに食い殺されている魔物もいた。サンドワームにベビードラゴン……これはポイズンスライムだ。

 流石に集団で攻められたら、守りを知らない魔物は食い殺されるか。


「気持ち悪いな、これは」

「早く行きましょう、気が狂いそうだわ」

「だな……」


 スタッチの多い道を進んでいく、モンスターハウスから湧いたのだからスタッチの多い方面に目的地があるはずだと予測したからだ。

 スタッチを焼き払いつつ、途中に現れるスタッチが唯一見向きもしないゴーレムを薙ぎ払いながら進むと、曲がり角の先に広い空間が姿を表した。

 その空間の中に大量のスタッチが居るのを確認し、一旦曲がり角へと戻る。


「この先で間違いなさそうだな」

「コウガ様、あの部屋の真ん中辺り……少し膨らんでないかしら?」

「真ん中辺り?」


 曲がり角から部屋の中を確認すると、スタッチの大群の中に少し膨らみがあるのを確認。

 目を凝らして見ていると、スタッチの大群の隙間から結界のようなものがチラっと見えた。


「アレは……もしかして防御魔法!?」

「私にも見えたわ! きっと無事なのよ!」

「よし、手前からスタッチを焼き払いつつ道を作る。メイラン、シェフィ! 頼むぞ!」

「了解!」「にゃ!」


 俺達はモンスターハウスへと足を踏み入れた。

 スタッチがこちらに気付き、一斉に襲いかかってくる。

 俺とメイランはブレスを吐くが、奥まで火の手がいかないようになるべく手前のスタッチを処理していく。

 シェミィはGを恐れないようでスタッチを引っ掻き回し、風を纏い突進し、2人居る場所までの道を空けてくれる。


「俺が助けにいく、メイランはブレスで援護を頼む!」

「了解!」


 シェミィの突進により周りのスタッチは吹き飛ばされ、2人の冒険者の姿を発見。

 1人は前に立って魔法の維持に徹し、もう1人は伏せた状態ではありつつも前に立つ人の身体を支えている。

 シェミィが周りのスタッチを吹き飛ばした事に気付き、2人は顔を強ばらせる。


「ひっ! す、ストームキャット!?」


 ストームキャットであるシェミィは、周りからすればBランク級の魔物に見られるので恐れられがちなのは致し方ない。

 2人を安心させる為にも、俺は急いで2人の元へと駆け寄った。


「お2人共、大丈夫ですか!?」

「あ、貴方は!? まさか助けに!?」

「はい。旦那さんから助けて下さいって頼まれて来たんです。このストームキャットも味方なので安心してください」

「あぁ、よかった……」


 どうやら、メガネを掛けたビショップ姿の女性が、奥さんのカリナさん。

 という事は、前に立って防御魔法を維持していた魔法使いの姿をした女性が、妹さんのサリーナさんか。


「さぁ、逃げますよ! シェミィ! 2人を乗せてやってくれ!」


 シェミィは再度周りのスタッチを吹き飛ばし、伏せをして2人を乗せた。

 その隙に俺とメイランは近付くスタッチを燃やしていく。


「乗りましたね? 落ちないようにしっかり捕まっててください! シェミィ、GO!」


 シェミィは前方に風の刃を放ち、2人を守りながら駆ける。

 俺とメイランは翼で飛び上がって、シェミィを追い掛けながらブレスを撒き散らし退散、無事にスタッチから逃げ切る事に成功した。


 階段を降りて2階層へ向かうと、階段途中にカエデとソルト、男冒険者が居た。


「カリナ! サリーナ!」

「アナタ!」

「カリオン!」


 3人は抱き合って涙を流す、全員無事でよかったな。

 あの防御魔法が切れていたら……と考えると寒気がする。


「本当にありがとうございます! 皆さんの名前を教えては貰えないだろうか?」

「俺はコウガです。助けに向かったのはストームキャットのシェミィと、ドラゴン族のメイラン。護衛の2人はこちらがカエデ、あちらがソルトです」

「皆さん、助けていただいてありがとうございます。助けて頂いたお礼をしたいのですが、今は少し手持ちが少なく……もしよろしければ、ノイシュに来ていただけませんか? ご都合が悪くなければですが……」


 カリナさんが申し訳なさそうに提案をしてくれた。


「い、いえ、お礼なんて気にしなくてもいいですよ」

「そういう訳にはいきません。 貴方達が助けてくれたお陰で私達は生き残れたんです、いわば命の恩人なんです。なのに何のお礼もせずというのは流石に……」


 見返りを求めて助けた訳じゃないし、そこまでしなくても……と思ったのだが、ふと逆の立場で考えてみるとそりゃそうかと納得。

 助けられたのが俺だったとしたら、確かにお礼をしたいって言うだろうなと思った。

 なら、有難くお礼は受け取っておく方が良さげかもな。であれば、手持ちが少なくともお礼として成り立ちそうなものといえば……そうだ。


「なら、こうしましょう。俺達も丁度ノイシュに向かっていた所だったんです。良ければ道案内をお願い出来ますか? 実はノイシュに行くのは初めてでして……」

「そうだったのですか! では、ノイシュまで私達がご案内致します。それと、お夕飯とかも任せて頂ければと」


 これくらいならお世話になってもよさそうかもな。

 案内だけならそれだけ?と言われかねないし、他にお礼になりそうな事って思い付かないしな。晩飯はご馳走になるとしよう。


「では、行きましょうか」


 カリナさんカリオンさんが先頭に立って歩き出す。

 ただ、カリナさんとサリーナさんの服が少しだけ破れ、怪我もしているように見えた。


「あ、待ってください。出発前に2人を治しておきましょう。ヒール」


 ヒールでカリナさんとサリーナさんの傷を癒す。

 幸いにも深い傷ではなかったのですぐに完治した。


「これでよしっと、痛くないですか?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

「ありがとうございます、お兄さん!」


 2人でペコっと頭を下げてお礼を言ってくれた、ほんと無事で良かった。


「よし、今度こそ行きましょうか」


 急遽発足した2PT混合チームでノイシュに向かう。

 道中の魔物も率先してカリナさん達3人が受け持ってくれたのだが、実力はかなりの物だと思い知った。

 カリオンさんが前衛タンク兼アタッカーを務め、サリーナさんはカリオンさんを魔法で援護しつつ、余裕があれば範囲魔法で敵を殲滅していく。そして、傷付いた際の回復や魔力の補助、そしてカリオンさんやサリーナさんへバフ支援まで行うカリナさんがヒーラーを受け持つ。3人なのに戦闘バランスがとても良い。


 特に苦戦することも無く、ノイシュ側の出口まで行く事が出来た。


 外は既に暗くなっていたのだがノイシュ側出口には宿がなかった為、仕方なくみんなで野宿する事になったのだった。

ご覧頂きありがとうございます。

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