46話 山脈の大石窟②
4人全員でギャグ漫画かのように倒れ込み、その音でレアメタを逃がしてしまった。
「あのキラキラした丸いヤツ、レアメタって言うのか?」
「ええ、あれはごくまれにしか現れないレアな魔物よ。非常に硬い体をしてるのとかなり足の速いのが特徴で、討伐出来たって人なんてあまり聞かないわね」
なるほど、思った通り某ゲームのメタル〇〇〇厶だな。
「それに、その硬い体はメタルで出来てるんすけど、それがまた高値で売れるんすよ!」
「マジか、お金になるのかぁ……出来れば倒したかったなぁ」
4人で暮らしていくんだし、ある程度はまとまったお金を持っておきたい。もしまた見掛けたら是非とも倒したいな。
「まぁ、追い掛けても追い付けないだろうし、時間も惜しい。行こうか」
「「「了解」」っす」
こうして、暫く魔物と出会うことなく歩いていたのだが、ふと違和感を感じて足を止めた。
「どうしたの、ご主人様? 敵?」
「いや、何か地面が微妙に揺れてないか?」
「えっ? そうかな……あ、いや、確かに」
俺と同様にカエデも揺れを感じ取ったようだ。
周囲を警戒していると、ソルトが何か気付いたみたいだ。
「しっ、ご主人……耳を澄ますっす」
「音?」
耳を澄ませると、ゴゴゴゴと音が聞こえてきた。しかも地面の中からだ。
「これってもしかして……みんな! 敵は地面の中だ! いつ飛び出してくるか分からない、注意しろ」
集中攻撃されないように全員散らばって警戒する。
ゴゴゴゴッと揺れが大きくなっていく中、カエデが何かに気付いたようで後ろへ飛び跳ねる。
その瞬間、カエデの居た場所から人の横幅くらいの大きさでミミズのような姿をした魔物が2匹飛び出した。
その魔物は口を大きく開けて、こちらを睨む。
「な、何だあれは!」
「ご主人! あれはロックワームっす! 小ぶりっすけど、手足を喰われたら持っていかれるっすよ!」
「それは勘弁願いたいね!」
俺は杖をかざして魔法を放つ。
「ウォーターボール!」
水球を2つ呼び出し、2体のロックワームへ飛ばし両方命中させた。
水は苦手だったのか、苦しそうに直ぐに地面の中へ戻ってしまう。
「くそ、潜られた!」
「ご主人! 今のかなり効いてたみたいっす、もう1回魔法いけるっすか?」
「もちろんだ! ただ、どうやって地面から引きずり出す?」
「自分に考えがあるっす、潜った穴の中に魔法を!」
「っ! そうか、そういう事か!」
奴が出入りする穴……それは言ってしまえば必ずその穴の何処かには敵がいる。
ならそこに魔法をぶち込めば敵に必ず当たるって事だ! 引きずり出せるか、もしくは倒せるかもしれない!
「メイラン! あの穴の中にブレスいけるか! 魔法よりブレスの方が範囲が広い!」
「なるほど、分かったわ!」
メイランは大きく息を吸い込み、穴の中にブレスを吐き出す。
恐らく穴の中で火炙りになっているであろうロックワーム、石には火は通りにくいとはいえ、これには堪えたようで1匹が地面から飛び出してきた。
「ギギギギギ!」
ブレスに包まれて苦しがっていたロックワームは、火から解放された瞬間に再度ウォーターボールを命中させると息絶えた。
遅れて2体目も地面から飛び出してきたので、同じくウォーターボールで仕留める事に成功した。
「ふう、何とかなったか」
「地面に潜るような魔物でも無傷で倒せたし、この調子なら大体の魔物には対応出来るんじゃないかな?」
「油断すると足元掬われるわよ。まぁ危険度Bを2回撃退してきてるし、気持ちは分かるけれど……」
「えっ、ご主人。危険度Bの魔物と2回も戦ったんすか……?」
「あぁ、そう言えば話してなかったな」
歩きながらソルトにこれまでの経緯を簡潔に話した。シェミィの件と巨大トレントの2件だ。
その件を話してる間にも魔物は出てきていたが、難なく討伐していた。
魔物の種類としては、1階層のゴーレム、アジットスライム、ロックアルマージ、そして新たにベビードラゴン、先程のロックワームが出現。
カエデ、メイラン、ソルトの3人だけでも苦戦はしていない。
カエデが気配を探りながら慎重に探索しているので、必要以上に戦っていないのも順調な要因だろう。
「なるほど、そんな事があったんすね。そして腕試しに武闘会に出ると」
「そんな感じだ」
「武闘会っすかぁ、自分も出られるっすかね?」
「大丈夫じゃないかな? ソルトちゃんが出るなら、個人戦出る人が団体戦は応援、団体戦に出る人が個人戦応援で丁度いい人数で分けられるよ!」
個人戦出場は2名、団体戦は3人チームだったな。
俺は両方出るのは確定で、個人戦に出るもう1人は俺の変身先の種族となっている。狼人族に変身するならカエデ、ドラゴン族に変身するならメイランといった感じだな。
そして余った2人は、団体戦で俺と組むとすれば丁度良い。
ただ、ソルトとはまだ絆を紡いでいないので、武闘会までに絆を紡ぐ事が出来れば個人戦候補になるが、無理だったら団体戦側になるのが確定だな。
「まぁ、個人戦に出る人は俺の変身先によって変わる。だからソルトは今の所、団体戦が濃厚だ」
「了解っす! 自分の砂狼族にご主人が変身出来るようになったら、自分が個人戦に出るのも有り得るっすよね?」
「そうだな。このダンジョンを抜けて、ノイシュに着く前までには変身先を決めたいって感じだ」
「了解っす!」
まぁ、個人的はカエデの狼人族にしようかなって思ってるんだけどな。
1番早く仲間になって1番絆が深いと思ってるカエデと、1回戦ってみたい気はする。
「結構進んできたな、身体はどうだ? みんな」
「私は余裕だよ!」
「私も、それ程疲れていないわ」
「自分もいけるっす! 魔物もかなり強いって訳じゃないっすからね」
「よし、ならもう反対側まで抜けるって事でいいか?」
俺はそう言ってみんなの顔を見ると、みんな頷いてくれた。
「うん、良いと思う! 武闘会までまだ後4日あるけど、先に到着しておけば、旅の疲れを抜くのと特訓の時間も作れるよね!」
「そうっすね、早目に着いて特訓出来ると自分的にも嬉しいっす」
「だな。じゃ、気合い入れてダンジョン出口まで向かおうか!」
「「「おー!」」」
2階層も順調に進み、2階層の新敵であったロックワームもベビードラゴンも苦戦せず倒していく。
歩いていると、行き止まりに辿り着いたが宝箱が置いてあった。
「お、宝箱だ」
「何が出るっすかね? 一応ミミックかどうか確かめるっすね」
ソルトは小石を掴み、思いっきり投げつける。
小石が宝箱に当たるが反応がない、ミミックではないようだ。
「ミミックじゃないっぽいっすね、一応動き出すかもしれないって注意だけはしといてほしいっす」
「了解、じゃ開けるぞ?」
恐る恐る開けてみると、中にはナイフが入っていた。
鑑定してみるとククリナイフと書いてあった。
「ククリナイフか」
「ご主人の持ってるナイフと入れ替えても良いっすね、多分今のナイフより強いと思うっす!」
「だな、利き手側のナイフをククリナイフにしようか」
俺はククリナイフを装備して、普通のナイフを予備用にした。
更に進むと、ようやく3階層への階段を発見。
看板があり、ノイシュ側とサンビーク側の案内が書いてあった。
「あ、これだな」
「あっちに向かえばノイシュ側出口だね」
「よし、少し休憩してノイシュ側に行こうか」
「了解っす!」
そして階段に座って休憩しようとした瞬間……。
「誰か! 誰か助けてくれぇぇぇぇぇ!」
「「「「!?」」」」
階段上から叫び声がした、声からして男性のようだが……。
「何!? 今の声!?」
「上の3階層で何かあったみたいだな、行くぞみんな!」
「うん!」
俺達は予定変更し3階層へ走り出した。
ご覧頂きありがとうございます。




